生活リハビリ

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生活と運動

 生活リハビリとは、高齢で体が不自由であったり、疾患を持つ方の生活動作を、最小限の介助で実施し、できる能力としている能力との差を埋めていくものです。

 高齢者を対象とした施設や病院の場合、評価表を用いて、日常生活動作能力を数値化したり、目標設定を行い、計画と評価に基づいて介護やリハビリを実施していきます。

 生活リハビリの例として、整髪や洗顔など、整容動作練習と、下肢筋力訓練を組み合わせ、自信や、対人交流への意欲につなげる方法があります。

 化粧を行うことは、精神、認知面の活性、生活の質向上への働きかけになります。自分で化粧をすることは、上肢の筋力の衰退予防、手を使い、顔にふれることで大脳を刺激し認知機能に影響を与える可能性があります。

 歯磨きでは、食べかすや痰による菌の繁殖や肺炎予防に加えて、歯ブラシを用いて歯肉や舌や頬などに刺激を与えることや、電動歯ブラシのスイッチをいれて頬の内側(歯ブラシの背をあてる)や舌、歯肉にあててマッサージし、唾液の分泌や口腔の機能を高める目的もあります。舌ブラシや球状ブラシの利用により、粘膜のケアと合わせて、舌や頬をストレッチする方法もあります。

 着替えは、時間や季節を認識することにもなり、認知機能賦活に利用できます。立ったり座ったりという全身の動作、手指の動きの運動にもなります。姿勢バランス能力、ボディイメージ、手足の協調動作など身体機能が関係してきます。

 上着の着替えは、肩の柔軟性向上、両手動作能力の向上、袖を引っ張る、両手でチャックをしめる動作が必要です。皮膚への服の摩擦、袖を通すときの布の張りを感じる感覚も必要です。ズボンなどは、通したズボンを座位や立位でたくしあげる際に、バランス能力が必要です。靴下を履くときは、足をくむ股関節の柔軟性や手指の動作が必要です。

 トイレ動作では、ズボンを上げ下げする感覚や運動、便座では臀部や大腿後面で座位を支える能力、肛門括約筋弛緩のための安定した座位、便座の上で臀部を最適な位置へずらす能力が必要です。

 排便時には、呼吸をとめると腹部のインナーマッスルがはたらきやすいですが、血圧を上げないために呼吸に合わせ排便を促します。息を吐きながら腹圧をあげることを、インナーマッスルへの徒手誘導を行いながら実施する方法があります。

 腹横筋は便を押し出す要になります。へそから5〜6cm下の弓状線という、腹直筋鞘後葉の下縁が弓状になっているところに力が入ると、S状結腸を刺激します。弓状線から下の腹横筋の腱膜は腹直筋の前方に位置し、腹直筋を支えています。腹横筋がゆるむと腹直筋の収縮を助けられず下腹部全体の収縮が腸に伝わりにくく便秘の原因になります。複式呼吸の練習、下腹に力をいれる足上げ腹筋、腹斜筋を鍛える斜め腹筋、骨盤底筋を鍛える四つ這いや腹臥位での体操などと合わせて鍛えることも考えられます。

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