お弁当

「ドライブ行こうよ。黒狼峠にまで来て」


 いや誘いなら迎えに来いよ! 夜の八時過ぎてんだけど! それでも久しぶりの二連休だったので優しいヒカルはパパっとお弁当を作ってあげて最寄りのバス停まで走った。終電一本手前、無人駅のロータリーで見慣れた車が停まっている事に安心した。


「ナビが休憩しろって言うからね。今日の弁当なーに?」

「簡単な物」

「食べやすくて良いね、おにぎり。中身は?」

「塩昆布、野菜炒め、ウィンナー、ふりかけ……」

「ラインナップがカオス」

「冷蔵庫の整理整頓にご協力お願いします」

「いいよ」


 山中で魔法瓶に入れた味噌汁と一緒に食べる。一応、駅の自販機でミネラルウォーターのペットボトルも買って来てある。ヒカルはチラリと後部座席を占領する長細い物体を見やった。


「後ろのアレ何? 死体?」

「うん」

「は?」

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