ある日の「はっぴーはりょいん」の日日記2 番外編

 ぱっかぱっかとかぼちゃの馬車は王宮へ


「ごっはん♪ごっはん♪おっちりょにょごっはん♪おっいちいにゃ♪」じゅるり

『あらあらまあまあ、サーヤレラ、まだご飯は食べてないでしょ?』ふきふき

「うにゅ?おっいちいかにゃ?」じゅるり

『そうね、おいしいといいわね』ふきふき

「あい♪」

きっと美味しい気がするよ♪


〖いやぁん♪可愛い~♪〗むぎゅう~

「くえっ」ぐるちっ

『ちょっと!サーヤレラを離しなさい!』てしてし

〖嫌よぉ~離さないわぁ~〗ぎゅむ~

「ふぎゅ⋯」息が~

うらやまけしからんお山がぁ

『離しなさいっサーヤレラが死んじゃうわっ』てしてしてしっ

〖あら?やだ~ごめんなさい?〗てへ

「ぷはあっ」ぜーぜー

 く、空気がおいしい~

『大丈夫?まったく、テヘじゃないわよ』

〖ごめんなさい〗

「ふい~」

ジーニ様のお胸は凶器!危険です!


『ほっほ。そろそろ城に着きますぞ』

『準備はよろしいですかのぉ?』

「う?ごはん!」じゅるり

『あらあらまあまあ、準備できてたとしても、そのお顔じゃ台無しよ』ふきふき

「う、ごめしゃい」

がまんがまん


『それじゃ、仮面舞踏会なら仮面が必要よね。はい。これどうぞ』

「う?」

『あらあらまあまあ、全員分あるのね。よく見たら黒猫かしら?』

〖そうよ。可愛いでしょ?それから、おいで子グモたち〗

きゅるるん『『『は~いっ!よばれてとびでて』』』

きゅるるん『『『『ジャジャジャジャーン!』』』』

「かあいい~♪」きゅっ

 きゅるるん『『『『『『『えへへ~』』』』』』』

『あらあらまあまあ、アラクネなの?なんて小さいの。可愛いわ』

小さい男の子と女の子。でも、腰から下がクモさんです。

〖この子達は七つ子なのよ。だから繋がりが強いの。何かあったらこの子達で連絡を取りあえるから、ポケットにでも忍ばせておいてね〗

「あい♪よりょちくにぇ」

きゅるるん『『『『『『『まかせて~♪』』』』』』』

お友達たくさん!


『ほっほ。ワシらも待機しておるでの』

『何かあったら駆けつけるからのぉ。ちゃんと呼ぶのじゃよ』

「あい!」

じゃあ行くぞー!待っててご飯!


そして王宮の広間では


「ふおお~」

『さすが、力入れてるわね。給仕もガイコツ?重いもの持たせたら崩れそうね』

『メイドさんはみんなコウモリのカチューシャね。カラコンかしら?みんな赤い目に口から血糊垂らして⋯』

「こわこわ」

お部屋の中もドラキュラさんのお城みたいです。本物なんか見たことないけど。かぼちゃのお化けが光りながらぷかぷか浮いて、ロウソクはゆらゆら揺れたり、勝手についたり消えたり

あれは棺桶かな?蓋ぱくぱくしてる~

「こわこわ」ぷるぷる

ちょっとビクビクしてると


ぴゅいきゅい『『だいじょーぶ!』』ぱたぱた

ぴゅい『こわくないよ!わたち、モモ!』

きゅい『ぼくたちといっしょいよ!ぼくは、スイ!』

ぴゅいきゅい『『よろちくね!』』

突然話しかけてくれたのは、ピンクと水色の小さい

「どりゃごんしゃん!」

すごーいっ!かぼちゃみたいな王冠とジャックオーランタンのかぼちゃパンツ!ポンポコリンなお腹で、にたぁって笑ってます。かわいい♪おともだちならなきゃ!

「さーやでしゅ!」

今日は正体バレちゃいけないからね!サーヤにしようねって馬車の中で決めてたんだよ。でも、この方がしっくりくるのはなんでかな?


〖ピンクと水色のドラゴン?もしかして〗

『ん?あなたはもしや⋯』

〖あ、やっぱりドラゴン国の王⋯〗

『それ以上は⋯今日はお忍びなのでな』

〖そうね。悪かったわ。あの子たちは、あなたの?〗

『そうだ。同じ年頃の友だちを作らせてやりたくてな』

〖なるほどね。さっそくできたみたいで良かったわね〗

『ああ。この国の王子も同じくらいの子らしいぞ』

〖あら、そうだったのね〗

どうやらジーニ様とドラゴンパパはお友達だったようです。


「じーにしゃま、ごはん」じゅるり

はやくはやく!何日か分食べとかなきゃ!

ぴゅいきゅい『『どちて?』』

「いじわりゅにゃやちゅに、おうち、にょっちょられちゃ。さーや、ごはん、にゃい」しゅん

だから、食べためしとかないと。できたら

「おみょちかえり、ちたい」

できないかな?

『あらあらまあまあ⋯』

ぴゅいきゅい『『ええ?かわいしょう!おとうしゃん』』

『魔女よ。どういうことだ?』

〖アイツらよ。あの三人、この子の父親を騙して後妻に納まったあげく、父親を殺して家を乗っ取ったのよ。それでこの子をいじめて、こき使ってるのよ。こんな可愛い子に許せないわ〗

『まったくだ。それでどうするつもりだ?』

〖ふふ。頃合いを見て、アイツらを血祭りにあげてやろうかしら?ふふふ〗

『面白そうだな。我も参加させてもらおうか』

〖まあ、頼もしいわね〗

〖『ふふふふふ』〗


う、うわぁ?何するつもりかな?わかんないけど、それより

「ごはん」じゅるり

ぴゅいきゅい『『そうだったね』』


『なぁに~?ごはんたべたいの~?』

「う?」

ぴゅきゅ『『え?』』

誰かな?


『ごはんたべたいの~?』にこにこ

白いわんちゃんのお耳としっぽの可愛い男の子だ~

『あらあらまあまあ、サーヤと同い年くらいかしら?』

『くまさんお話できるの~?すごいね~』にこにこ

誰かな?かぼちゃの国の王子様?モモ達とおんなじようなかぼちゃの王冠に、マントも表がかぼちゃ色で、裏が黒。白いシャツに、やっぱりジャックオーランタンのかぼちゃパンツ!サスペンダーが可愛い!おしりにフサフサの真っ白なしっぽ♪

白いタイツにぽっこりかぼちゃ色の靴!持ってる長杖のてっぺんにもかぼちゃ!


『ぼくはハクだよ~。ご飯食べたいならあそこ行こうよ~』

「あしょこ?」

『うん。子供用にね~料理長のゲンさんが席を作ってくれたんだ~行こう!』きゅっ

『ドラゴンさんたちも』にこっ

「あい!」

ぴゅいきゅい『『うん!』』ぱたぱた


ハクくんはあっという間にサーヤレラたちを引き連れて走って行きました。


『あらあらまあまあ、やるわね』

〖とっても自然に手を繋いだわね〗

『あれは、この国の王子か』

『そうなの?あらあらまあまあ、我が孫は王子様を射止めたのかしら?』

〖それは分からないんじゃ?まだあんなに小さいんだし〗

『そうだな。だが、我が子らに友達がまた増えたのは喜ばしい』


『我が息子にとっても同じですよ』

ん?誰?


『おお、久しいな。やはり貴殿の息子か、ギン』

『お久しぶりでございます。アルコン様。そしてあなた方は⋯』

〖私は見ての通り魔女よ。ジーニと呼んで〗

『私はあの子の祖母です。この可愛いくまさんは世を忍ぶ仮の姿なのよ。因みに、息子はアイツらに騙された上に殺されたから、今どうやって血祭りにあげようか思案中なの』

『なんですと?アイツらとは⋯ああ、東の辺境伯の。そうですか⋯ん?そうするとあなたは既に亡くなっているはずでは?』

『そうなのよ~だから、ひとりぼっちのあの子をどうしようかと』

〖今はアイツらに虐められてこき使われてるのよ〗

『なんと⋯それはひどい。いいでしょう、私も計画に乗りましょう』

『あらあらまあまあ、ありがとうございます』

〖なら、こんなのはどうかしら?〗

『『『ん?』』』

 こしょこしょこしょ

〖どう?〗

『『『いいですね』』』

 ニヤリ

 何やら悪い顔⋯



その頃

『おう!嬢ちゃん、いい食いっぷりだな!美味いか?』

「うぎゅ⋯あい」もっきゅもっきゅ

お子様用の低いテーブルに低いいす。しかも、めちゃくちゃメルヘンチックなかわいい作り。木で作られた、きのこの形のテーブルにイス。それを作ったのもこのおいちゃん。料理長のゲンさんである。


『そうか!そりゃよかった!だが、そんなほっぺたハムスターになるほど突っ込んだら』

「ふぎゅっうぐぐっ」

く、くるちっ

『ほら、言わんこっちゃない!』とんとんとん

「ふぎゅっぜーはー」

く、くるちかった

『大丈夫か?』とんとん

「ふい~。あい。あいがちょ」ぺこん

『そうか。良かった。だが、そんな急いで食べなくても飯は逃げないぞ』

「うにゅ~」

そう言われても~

『あのね~サーヤは食いだめをしなきゃいけないんだって~』

『は?食い貯め?王⋯じゃない、ハク坊どういうこった?』

「うにゅ~」

『『それはぼくたちが』』ちょーん

『『せつめいるすね』』ちょーん

『うお?その頭と肩の妖精と猿とモモンガ飾りじゃなかったのか?』

『『ぼくたち、ボディーガード!』』えっへん

『『『ガード!』』』えっへん

『そ、そうか。それで?』

『『あのね、かくかく』』

『『『しかじか~』』』

『なるほど、それで魔女が今日までの魔法をかけてくれたけど、嬢ちゃんはそこまで起きてられないから、今食い溜めしていると』

「あい。もっきゅもっきゅ」

できれば、余ったごはんお土産に持って帰りたいです。


日付が変わると同時にとける魔法。どこかのお姫様はバレる前に逃げ出そうとするだろうけど、そこはちびっ子。逃げる前に自分でばらす。だってきっとおなかいっぱいになったら寝ちゃうから。


『そうか。なら、俺んとこくるか?城勤めで収入も安定してるしな。ハク坊のいい遊び相手にもなりそうだし』

『それいい~♪そうしなよ~』

ぴゅいきゅい『『ずる~い!うちにきてもいいよ』』

「ふにゅ?でみょ、はちゃけ」

『そんな小さいのに畑仕事までしてんのか?』

「まほーちゅかえりゅ」

『んじゃ、その畑のもん、全部うちの畑に移しちまえばいい。俺が手伝うからよ。だから、無理に食わずに、ゆっくり食え』ぽんぽん

「あい!」

こうしてサーヤレラは自力で保護者と住処をゲットした。


そして⋯

「すぴょ~」

『むにゃむにゃ』

 ぴゅいきゅい『『すぴ~』』

『『すーすー』』

『『『すやすや~』』』

『くく。ほんとに寝ちまったな』

お腹がいっぱいになって寝ちゃったちびっ子。いや⋯

きゅるるん『いまからわるものやっつけるって!』

子グモちゃんはちゃんとお仕事してた!

『うお!?なんだ?アラクネ?隠れてたのか』

きゅるるん『うん!れんらくがかりだよ!それより、ぶたいにちゅうもく!』

『な、なんだ?』



舞台では⋯

ガッシャーンっ

『このグズっ』どんっ

『ノロマッ』どんっ

『早く働きなさいよ!』ゲシッ

「あい⋯」


突然映像が映し出された。幼いサーヤレラが罵られ、突き飛ばされ、足げにされる映像が⋯


『『『な、なんでっ』』』

いきなり自分たちの映像が流れだし、慌てて逃げようとするが⋯


『逃がさん』ざざざざざっ

ぐるっと騎士たちに囲まれ逃げ場を失った継母たち。更に


『やっと死んでくれたわね』

『馬車は谷底に真っ逆さま』

『細工のあとも分からないわよね』

『これでこの城の物は私たちの物だ』

『『あーっはっはっ』』

辺境伯を殺したことも得意げに語る姿が


『ち、違うわ』

『こんなの』

『でっちあげよ』

焦る継母たち


周りのものたちは冷たい目を向け

『ひどいわ』

『あんな小さい子に』

『なんてことを』

『父親まで殺したのか』

『それではいずれあの子も』

『人間じゃないな』

囁き始める


『『『ち、違う、でたらめよ』』』


『いいや。これは間違いない真実だ』

『これはお前たちの記憶だからな。先程触れた時に読み取ったものだ』


『『『え?』』』



そう、先程の内緒話⋯

〖この魔石は触れた者の記憶を読み取るの〗

『ふむ。ではすれ違いざまに触れるか』

『あらあらまあまあ、ああいう輩は、いい男だと分かれば自分から擦り寄ってくるわよ。だから、ぶつかる振りをして、ちょっと『失礼』とでも言って微笑めば⋯』ニヤリ

『『自分から触れてくるか⋯』』

そして⋯



『結果はこのとおり』

『この者たちをひっ捕らえ、牢に!三人別の牢へな!』

『『『『『はっ!』』』』』

『『『いやーっ』』』

 騎士に引っ立てられ連れていかれた。これでサーヤレラを苦しめたヤツらはいなくなった。


そして⋯

『サーヤ~これもおいしいよ~』

ぴゅいきゅい『『これも~』』

「あい!」


こうしてサーヤレラはハク王子と、しょっちゅう遊びに来るモモ王女とスイ王子らと仲良く、おいちゃんの作るおいしいご飯やおやつに囲まれて、幸せに暮らしましたとさ。


めでたしめでたし


 ☆。.:*・゜☆。.:*・゜

 お読みいただきありがとうございます。ハロウィン終わってますけどすみません。

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