ある日の山の日日記 番外編

『登山したいな』

「う?」

山登り?おいちゃんがボソッと言いました。いきなりですね?でも、その肝心の


「やま、にゃい」

『そうなんだよな~』

アルコン様がむか~しむかし

ぴゅいきゅい『『こわちたもんね』』

『うっ』ぐさっ

だよね~

ぴゅいきゅい『『おとうしゃん』』

『⋯な、なんだ?』びくびく

ぴゅいきゅい『『だめだめ~』』

『うぐっ』ぐしゃっ

あ~やられちゃったね


『あ~すまん。アルコン様。巻き添い食わす気はなかったんだ』

「ごめしゃい」


『ぐっ』かはっ


『ゲン、サーヤ、そりゃトドメだ』ふぅ

「う?」

そう?

『それは、重ね重ねすまん』


『⋯』ちーん


『気の毒に⋯』はあああ

親方、深いため息だね


『で?親方、どうした?』

『ん?ああ、今、登山がどうのって言ってたろ?』

『ああ、言ったな』

「さーや、おりゅしゅばん、いいこちてりゅ」

先に言っておくね。


『まだ山に行くとも言ってないのに何でだよ。山、いいだろ?気持ちいいぞ。自然を楽しみながら、苦労してたどり着く山頂。最高だろ?』

「やまは、かえりもありゅにょ。さーやはいいこちてまってりゅ」

『なんでだよ』むっ

「や。おいちゃん、やまにょぼりちやう。あぶにゃい。さーや、ちんじゃう」ぷんっ

『そんなことないだろ?』

「や」ぷい


おいちゃん大好きサーヤが、何だかいつもと違います。


『なんだなんだ?サーヤがおかしいぞ?凛さん、どういうことだ?』

訳の分からない親方がおばあちゃんに助けを求めました。


『あらあらまあまあ、ゲンさんの登山ね~』

「おばあちゃん」

『凛さん』


『どういうこった?』


『ええとね?サーヤも山は嫌いじゃないのよ?でも、あまり高くない山で登山というより、ハイキングみたいなものね。私と行くのは大丈夫だったものね?』

「あい。にょんびり、おはにゃみちゃり、くもみちゃり。たのちい」

おばあちゃんとなら大丈夫です。でも~


『ゲンさんはね~険しい山をかき分けて道じゃないとこを行っちゃうから。あれはサバイバルに近いわよねぇ。サーヤは迷子になりそうになるし、熊には遭遇するし⋯』


『あ~、前に言ってた、悪い熊さんをパンチでってやつ~?』

いつの間にかみんなが話に加わっていて、ハクが思い出して言うと


『そう。それよ~。ゲンさんがこっちの道が近道な気がするなんてドンドン行っちゃうものだから、少し遅れた所に熊に遭遇してね。あれは怖かったわね』

「あい。がおー」

大っきいくまさんでした。


〖それはなんと言うか⋯〗

『災難だったな~』

〖よくご無事で⋯〗

ヴァル様と牙王様だけじゃなくて、エル様まで同情してくれてます。


『本当よねぇ。そういう訳でね?サーヤはゲンさんが山に行くぞって言うと』


「さーや、おりゅしゅばん、いいこちてりゅ」

お家でいい子でお留守番してるよ


『と、言うわけなのよ⋯私もこればっかりは行きましょうって言えなくてね~』ふぅ⋯


『それは、ゲンが悪いのではないか?』

『我も同意見だ』

『『『『『うんうん』』』』』

ほら、ギン様もアルコン様も、みんなもそう言ってるよ


『う⋯』

みんなが、じと~っと、おいちゃんを見るのでおいちゃん、珍しく後ずさりしてます。


『でもよ、それならゲン俺たちと山行かねぇか?』

『ん?親方たちと山?』

あ、そう言えば親方、山に反応して話しかけてきたんだっけね


『おうよ。山っつっても鉱山だけどな?』ニカッ


『鉱山?』


『おう。鉱山だ。この聖域にいれば素材に困ることはねぇけどよ、たまには自分の手と足で採掘しねぇと、腕が鈍るからよ』

『俺たちの里の外なんだけどよ、魔物を駆除しながら採掘すんだ』

『まあ、岩山だからよ、緑は無いけどな?』

『『『溶岩ならあるぞ』』』


『は?』


『活火山だからよ』

『タイミング悪いとな』

『噴火するんだ』

『『『ドカンっ』』』

『てな。けどまあ』

『そんときは』

『ドワーフロードで逃げちまえばいいからな』

『『『ワハハハハ』』』


『へ、へぇ~』ヒクヒク

わあ、流石のおいちゃんもヒクヒクしてるね


〖ワハハハハ!中々スリリングなことしてたんだな!おし!俺は行くぞ!楽しそうじゃねぇか!な?牙王!〗

『そうだな。夕飯前の腹ごなしには良さそうだな!』ニカッ


「ふおお?」

行くの?爆発するんじゃないの?ヴァル様の筋肉なら大丈夫かな?


『サーヤちゃん、無駄ですわ』

『親方たちにとってはピクニックと一緒にゃ』

はあ~ああぁ


「へ、へぇ~」

そうなんだ~


〖まったく、これだから脳筋は嫌なんですよ〗

『医神様、まったくの同意見ですが、諦めましょう』


わあ、エル様とバートさんも疲れたお顔してる~


『まあ、とにかくよ。行こうぜ!魔石あるかもしれねぇしな』

『お宝発見しようぜ!』

『ほら、行くぞ!』

〖『おうよ!』〗


『あ~ああぁっ』ずるずるずる

「いってらっちゃ~い」

サーヤはお留守番してるよ。いい子だもん。


おいちゃんは親方たちのドワーフロードの光の中に吸い込まれて行きました。


そして


『『『ただいま』』』

〖帰ったぜ!〗

『いや~中々面白かったな!』

〖『ワハハハ』〗

親方とヴァル様たちは元気に帰って来たけど


『⋯ただいま』ボロっ


「ふおお?」

お、おいちゃん?

『あらあらまあまあ?』

〖し、師匠?〗

おいちゃんだけボロボロです。みんなびっくり!


『なんだいなんだい?』

『ゲンさんだけ随分くたびれてんね?』

『まさか、一人だけ噴火に巻き込まれたとかかい?』

『『まさかだよね~』』

『『『ワハハハ』』』


『いや、そのまさかだぜ』

『なんとまあ、新しい火口が元の足元から吹き出したんだよ』

『ゲンが打ち上がったんだぜ』


『『『はあああ?』』』

「ほぇぇ?」

『あらあらまあまあ?』

〖なんとっ〗

おいちゃんが打ち上がった?


〖頑丈な体で良かったよな~〗

『俺もあんなん初めて見たぜ!』

〖『ワハハハハ』〗

わ、笑い事じゃないんじゃ?


「お、おいちゃん、だいじぶ?」てててっ

おいちゃんに駆け寄ると


「ふわわわっまっくりょ!」

『あらあらまあまあ!』

〖これは、クリーン。そして、ヒール〗

おいちゃん、真っ黒の下は火傷してました!エル様が治してくれたよ!


『あ、ありがとう』

「あいがちょ!」

〖いえいえ。しかし、無茶しますね〗はあ

ホントだよ!


『まあ、当たり前よねぇ』

きゅる『むしろ、歩いてたことが不思議』

だよね?


『いやあ、親方が少し熱い所にいい石があるっていいから、ちょっと熱中してたら、すっ飛んでたんだよな~ワハハハ』

「うにゅ」

『あらあらまあまあ、ワハハハじゃないでしょうに』

だよね?


『でもほら、これは死守したんだぞ!』ニカッ

キラキラっ

「ふえ?」

『え?』

な、なに?


『サーヤと凛さんに、すごいだろ?二つ並んでたんだぞ!この石!』


『あ、これフラワーダイヤじゃねぇか!』

『しかも赤!』

『炎属性を持った石だぞ!』


『へ~そんな名前だったのか。赤い薔薇みたいでキレイだったからな。ちょうど二つあったからな、お揃いでいいんじゃないかと思ってな』ニカッ


「おいちゃん」うるうる

『あらあらまあまあ、石より、怪我なく帰ってきてくれた方が嬉しいのに』

そうだよ!ケガしたらやだよ!


『でも、ありがとう。とっても綺麗だわ』

「あい。だいじしゅりゅ。あいがちょ」


『おう!』ニカッ


そんなこんなで、おいちゃんの異世界初登山?は、成功?したみたいだけど、やっぱり


「さーやは、おりゅしゅばん。いいこちてりゅ」

異世界の山も怖いです。爆発反対。


『あらあらまあまあ、普通は噴火しないとおもうのだけどね~』



☆。.:*・゜☆。.:*・゜

お読みいただきありがとうございます。

感想や応援もありがとうございます。


新作二作、『転生初日に~』のおばあちゃんこと凛さんが主役の『転生したおばあちゃん。同じ世界にいる孫のため、若返って冒険者になります!』

まったく違うお話だけど、主人公はやっぱり二歳の女の子の『小さな小さな花うさぎ達に誘われて、今度こそ楽しく生きます!』

を、今日から投稿します。2話いけるかな?そちらもどうぞよろしくお願いします。


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