第547話 光の中から飛び出してきたものは?

 バートさんが指を鳴らすと、ピカーっと空中に光が!そこが縦に裂けたと思ったら⋯


 ひゅんっ!

 ばさっ


「ふお?」

なんか音した?ふたつ?


『バート!それにふざけた鳥!よくもこの美しい私をこんな姿に!』


「ほえ?」

な、なに?


〖わ~天ちゃんてば、ずいぶん可愛くなっちゃったね~〗


「ふお?」

 てんちゃん?


『主神様!何を呑気に!』


〖天馬、あなた少し会わない間に随分と縮みましたね〗ふっ


『医神!笑いましたね!?あなたの大切なパートナーがこんな姿にされたというのに笑いましたね!?』


〖おや、心外ですね。この私があなたを笑うわけないではありませんか〗ふっ


『笑ってますよね?絶対笑ってますよね!?』

『ほぉ~煩いですね』ばさっ

『だまりなさい!この性悪鳥!』

来て早々、とっても賑やか。周りは呆然。


「ふああああ?」きらきらきらきら

『あ~サーヤのお顔が~』

 ぴゅいきゅい『『きらきらだ~』』

サーヤだけは違うようです。


『あらあらまあまあ、ロックオンね⋯』

『あ~見事にサーヤのツボを押さえてるもんな』

おばあちゃんとおいちゃんは残念なおめ目。

なんですか?みんな?だってだって


「かみちばいにょ、てんちにょおうましゃん!」きらきら

それにそれに

「もふもふほーほーしゃん!」きらきら

バートさんの肩にもふもふのとりさん!


『え?』

『ほぉ?』

〖おや?〗

天使のお馬さんと、ほーほーさんと、エル様もサーヤの状態に気づいたみたいです。


〖あ~サーヤ?食べちゃだめだよ?〗

イル様は苦笑いを浮かべながらサーヤに一言。

「う?」

何言ってるの?食べないよ?


『ふふ』

〖〖バート、狙ったわね〗〗じと

『おや?なんの事です?』ニヤ

意味深な笑いを浮かべるバートさんにジーニ様とシア様が不信の目を向けるけど、バードさんはそ知らぬ顔。

〖『うへぇ、胡散臭ぇ顔だな』〗

ヴァル様と牙王様はお口の端がヒクヒクしてます。


『ところでサーヤ~?かみしばいってなぁに?』

「う?」

結葉様が不思議そうに聞いてきました。

あれ?知らない?


『あのね~おばあちゃんがぼくたちのために作ってくれたんだよ~』

ぴゅいきゅい『『おもしろいの~』』

『『お話とね、絵が書いてあるんだよ』』

『『『かわいいの~♪』』』

みゃあ『よるねるまえによんでくれるにゃ!』

ちびっこたちが大興奮で教えてあげてます。


『そうなのですか?』

『どのようなお話なのですか?』

『ニャーニャも知りたいにゃ!』


そう?

「あにょにぇ?さーやおひめしゃまにゃにょ」


〖うんうん。サーヤは僕たちのかわいいお姫様だからね~〗

〖〖当然〗〗うんうん

イル様が家族で頷いてます。


『それでね~サーヤ姫は森の中で、ぼくたちみたいに動物さんたちと仲良く暮らしてるんだよ~』にこにこ

『そうか』

ギン様がハクにつられてにこにこです。


ぴゅいきゅい『『でもね~?』』ちっちっちっ

『でも?なんだ?』

もったいつける双子に、お父さんのアルコン様が先を促します。


『『わる~い悪魔がかわいいサーヤ姫をね』』

『『『ゆーかいしようとするんだよ!』』』ぷんぷん!

フルーとフライが悪魔の真似して、妖精トリオが逃げるフリしながら怒ってます。


『『まあ!』』

『それは許せないにゃ!』

みんなもぷんぷん!


みゃあ『そうにゃのにゃ!』

『だから、姫たちも戦うんだけど負けそうなのだ』しゅん


〖それは〗

『まずいな』う~ん

ヴァル様たちまでう~んってしてます。


きゅるるん『『『でもだいじょうぶ!』』』

きゅるるん『『『『ぱからぱからってきこえてくるの!』』』』


『ん?いよいよ白馬に乗った王子様の登場か?』

何言ってるの?おいちゃんちがうよ?


「おしょりゃかりゃ、てんちにょおうましゃんちょ、おばあちゃん!」


〖〖〖え?〗〗〗

『『『『『おばあちゃん?』』』』』

そうだよ!


『あのね~翼の生えたかわいいお馬さんの背中にね~』

ぴゅいきゅい『『きしさまのかっこした~』』

『『かわいいくまさんのぬいぐるみが乗っててね』』

『『『たすけてくれるの~』』』


『『『『『は?』』』』』

あれ?みんなおめ目が点?


みゃあ『ひひーん!ぱかっ!っておうまさんもあくまをけってばしてくれるにゃ!』

『それでおばあちゃんが、エイヤッて正義の剣で切り捨てるのだ!』

きゅるるん『『『つまらんものを』』』

きゅるるん『『『『きってしまった~』』』』

『『『かっこいいんだな!』』』

『『『ぅ、ぅん。かっこいいぃ』』』


〖〖〖へ、へぇ~〗〗〗ヒクヒク

『凛さん?何やってんだ?』ヒクヒク

あれ?みんななんで変なお顔?かっこいいでしょ?


『あらあらまあまあ?だって、絵本の王子様ってあんまり自分で戦わないじゃない?毒林檎が出てくるお話の王子様とか、最後においしいとこどりじゃない?頑張ったのは小人さんよね?』

『え?ん?んん~たしかに?』

あ、おばあちゃんがおいちゃんを悩ませてる~


『顔がいいだけの王子様にかわいいサーヤ姫を渡す訳にはいかないじゃない!なら私がサーヤ姫を助けるのは当然よね!』

『うん?んん~?そ、そうなのか?』

あ~おいちゃんが騙されてます。


『それに、どうせならただの馬より、空を駆けるペガサスの方がかっこいいじゃない』

『う~ん?まあ、そうか?』

おいちゃん、考えたら負けだよ?


『だから私は、ペガサスに跨り、サーヤを助ける騎士になったのよ!』ばばーんっ

『そ、そうか』

あ、諦めたね。


きゅるる『現在、凛さんの紙芝居に合わせてぬいぐるみ作成中だった』

『そうなんだよ』

『衣装とかもね』

『作ってたんだよね』

『続編もあるっていうからよ』

『俺たちは舞台装置も作ってるんだぜ』

『なかなか凝って作ってたんだぞ』


『へ、へ~』

実はおばあちゃんの提案で、おいちゃんは今回除け者⋯

『あらあらまあまあ?人聞きが悪いわね~ちょっと内緒にしてただけよ?おほほ』

『ぷっ。面白がってただけ』

みあちゃん?


『実はそのお話に出てくるお馬さんに』

『サーヤが夢中になってまして』

フゥとクゥも一緒に聞いてるからもちろん知ってます。

『なんたって、とっても可愛いんです』ちらっ

『絵本の中のサーヤ姫も抱っこしてしまうくらい』ちらっ

山桜桃ちゃんと春陽くんが、なんだか気の毒そうな目を天馬さんに向けてます。だって


『『『『『そっくり~♪』』』』』


そうなのです!ちびっこたちの言う通り!

バートさんの顔の前でプンプンしている天馬さんはサーヤでも抱っこできるくらいの大きさ!ふわふわのたてがみをなびかせて、真っ白なふわふわの翼!ふわふわふさふさのしっぽ!


『ま、待って下さいっ!この姿はバートに無理やり変えられたまやかしの姿!本来の私ではっ』

何焦ってるのかな?


『まあまあ、いいではありませんか。狭い亜空間、小さいお姿の方がよろしいかとおもったのですよ』ふっ


『うそですね!?絶対うそですね!?』

楽しそうなバートさんにめちゃくちゃ怒ってる天馬さん。

なにがだめなの?かわいいよ?だからね?


「てんちにょおうましゃんっ」きらきら

『え?え?天使ではなく、私は天馬ですよ』

「あい!てんちにょおうましゃんっ!」きらきら

『⋯聞いてませんね?』じと

「ぎゅうっさしぇてくだちゃい!」きらきらきらきら

『え?ぎゅ、ぎゅう?』

「あい!ぎゅうっ」きらきら

『え?あの?私、食べられちゃいます?』ひく


〖違うよ~サーヤは天ちゃんを抱きしめてもふもふすりすりしたいんだよ~〗


『主、主神様?何ですか?それは?第一、私の本来の姿はこんなちんちくりんではっ』


「ぢゃめ?」うりゅ~

だめなの?ぎゅう⋯


『え?あわわわ、泣かないでください、愛し子』


「ふえっいとしごちやう~ぎゅう、じゃめ~?」うりゅりゅ


『え?え?』

〖良いではないですか。サーヤに抱きしめてもらえるのですよ?何が不満なのです?〗ふっ

『ほら、あなたのご主人の医神様もこう仰っているではありませんか』ふっ

『こ、この似た者鬼畜がっ』わなわな

〖『何か?』〗ひゅお~

『わ、分かりましたよ』


エル様とバートさんに叶うはずはなく、諦めてサーヤの前でぷかぷか浮かぶ天使なお馬さん(天使は外見だけ)

『愛し⋯ではないですね。サーヤ、言っておきますが、これは本来の私の姿ではなくですね、本来の私はもっと気高く美しく⋯』

「う?」こてん

『はあ⋯いいですよ。どうぞお好きになさって下さい』

「⋯あいっ!」にぱあっ

『うっ!』かあああっ

「う?」

どうしたのかな?まあ、いっか♪ぎゅう~


〖真っ赤ですね〗ニヤ

『真っ赤ですね』ニヤニヤ

エル様とバートさん、悪いお顔


「ぎゅうう~ふわふわ~」すりすり

『そ、そうですか?あまりスリスリされるとくすぐったいのですが』かあああっ


〖落ちたな〗ニヤ

『だな』ニヤニヤ

ヴァル様と牙王様もニヤニヤ。


「とりしゃみょ、ぎゅ~」

『ほぉ?私もですか?』

「あい!ぎゅう~」にぱあっ

『仕方ない。その馬とも引っ付かねばならぬのは不本意だが⋯ほ~』

『それはこちらのセリフです!』

「んふ~にゃかよち!ふわふわもふもふ!ぎゅう~」すりすり

サーヤだけはいっぺんにふわふわもふもふをすりすりできてご満悦。


〖さすがサーヤだね~〗

〖あの犬猿の仲を手懐けたわね〗

〖偉いわ。サーヤ〗

感心するイル様家族


きゅるる『凛さん、いいサンプルがとれた』

『あらあらまあまあ、本当ね~採寸させてくれないかしら?』

『『『大丈夫だよ』』』

『見ただけで大体わかる』

『『その通り』』

『あらあらまあまあ、さすがね~』

おばあちゃんたちは何か企んでるみたいです。


『イル様、神獣様相手に大丈夫なのでしょうか?』

〖大丈夫だよ~心配しないで〗

『そ、そうですか』

一人、まともなギン様、胃がキリキリ⋯

〖ギン、あとでハクにヒールかけてもらいなさい〗

『は、はい⋯』

〖真面目な森の主であるギンには負担が大きかったでしょうか⋯〗

次から次に訪れる大物ゲスト。女神様に同情されるギン様でした。



「もふもふ~♪ふわふわ~♪」むぎゅ~すりすり

『あ、あのそろそろ?』

『諦めなさい』ほ~


☆。.:*・゜☆。.:*・゜

お読みいただきありがとうございますm(_ _)m

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る