ある日の誕生日日記2 番外編

ある日のいつもの昼下がり、なんてことない会話だったはずが⋯


『うふふ♪記憶に残る特別な体験♪それならぁ、ダンジョンを作っちゃおうと思ってぇ♪』にまぁ

結葉様から飛び出たとんでも発言!!


〖〖〖〖はあああ?〗〗〗〗

『『『『『『は?』』』』』』

『『『『ええ?』』』』


神様たちですら間抜けな声を出すほど理解不能な発言。

神様たちですらそんななのだから、結葉様の滅茶苦茶に免疫のあるはずのドワーフさんたちも、アルコン様達だって『何言ってんだこいつ!?』となるのは当然のお話⋯


『『う~ん⋯』』ばたんっ

『にゃーっ!ご主人、リノ様、しっかりするにゃーっ!死んじゃダメにゃーっ!』

まして、免疫ありありなアイナ様とリノ様が気絶してしまうほどの衝撃!


『あらぁ?みんなどうしたのぉ?』きょとん


『あらあらまあまあ、結葉様⋯』ずきずき

あ、どうしようかしら?聖域に来てから初めての頭痛がする気がするわ。私はかわいいくまの編みぐるみなはずなのに?


『凛さん、何を言ったらこうなるんだ?』ずきずき

『あらあらまあまあ?』だらだら

あら嫌だわ。ゲンさんまで頭が痛そうにしてるわ。


〖そうよ。私たちがいた時はそんなこと言ってなかったわよね?〗

〖そうですわ。普通にプレゼントの話だったはずでしたよね?〗

〖〖凛?〗〗じとーっ


『あらあらまあまあ?』だらだら

私もこんな大事になるとは思ってなかったのよ


『ええぇ、だってぇ、凛が記憶に残る特別な体験って言うからぁ』

結葉様!?そこだけ言うの!?


〖〖凛?〗〗じとー

ほら!?ジーニ様たちが誤解しちゃったじゃないの!


『あらあらまあまあ、違うのよ?私は結葉様がプレゼントをどうするか迷ってらしたから、物じゃなくてもいいのよってお話をね?一緒にお料理したり、ピクニックに行ったりとか、そういったことを言ったつもりだったのよ?』あせあせ

それが何故、ダンジョンに結びつくのか私も知りたいわ。


〖〖あ~なるほど〗〗

〖普通の相手でしたら、それで良かったでしょうが、相手が普通じゃない結葉ですからね〗

〖そうね。今回、凛は完全に言葉を〗

〖〖間違えましたね〗〗


うんうん


『あらあらまあまあ⋯』だらだら

皆さんに頷かれてしまったわ


『ええ~みんなして酷いわぁ』ぷくぅ

結葉様、空気を読んで下さいな。かわいくほっぺた膨らませてもダメよ。既に皆さんの視線が痛いわ。


『なあ、ところでダンジョンってさ、どんなもんなんだ?そもそも、そんな簡単に作れるもんなのか?』

あ、あら、もう一人の空気を読まない発言をゲンさんが。でも、もしかして助かったかしら?


〖ん?そうか、ゲンたちがいた世界は魔法が無かったんだな。じゃあ、ダンジョンを知らなくて当然か〗

ヴァル様がそういうと


『そうなんだよ。マンガや小説の中には出てくるんだけどな?魔物を倒したらドロップアイテムが手に入ったり、貴重な素材が手に入ったり、宝箱とか隠し部屋とか、ダンジョンボスとか、レベリングしたりとか、何より美味いもんが手に入るとか、ほんとにそんな感じなのか?』わくわく


〖え?ええ、まあ、そうね?〗

〖そ、そうですね?概ね、間違いではない、でしょうか?〗


『マジか!』ずずいっ

〖〖え、ええ⋯〗〗じりっ

『すげえな!』わくわく


〖し、師匠?〗ひくっ

〖な、何だ?ゲンがおかしいぞ?〗

『何であんなに嬉しそうなんだ?』


『あらあらまあまあ、ゲンさんが少年に戻ってしまったわ⋯』だらだら

全然大丈夫じゃなかったわ。ゲンさん、何気に冒険もののお話とか好きだったものね⋯


『そんで、そのダンジョンは、ほんとに作れるのか?』わくわく


〖え、ええ、まあ、ここにいる連中なら作れるわね?〗ヒクッ

〖そ、そうですね〗ぎゅう

〖⋯⋯〗カチン


『あらあらまあまあ、あのジーニ様が完全に引きつったお顔で後ずさりしてるわね』だらだら


『凛さん、ダメじゃないか。ちゃんと現実を見ないと。シア様なんかジーニ様にしがみついてるじゃないか』ぽん

『罪作りな発言しちまったみたいだね。まさか、ゲンがあんなに食いつくとはね』ぽん

『あれじゃ、冒険に出られる歳になった時のウチらの息子と変わらないね。ご覧よエル様を』ぽん

『『『完全に引いてるね』』』ぽぽんっ


『あ、あらあらまあまあ?』だらだら

おかみさんたちに囲まれちゃったわ


『あらぁ?サーヤたちのプレゼントのつもりだったのにぃ、ゲンのプレゼントになっちゃったかしらぁ?』こてん


『そ、そんなことはねぇぞ!サーヤの好きなかわいいもふもふとか、おもちゃとか、サーヤの好きな食材とか、サーヤのための道具とか、宝探しみたいに出来たらサーヤも喜ぶしな?』あせあせ


『⋯分かりやすいな、おい』

〖なら、ついでに、違うフロアに倒しがいのある魔物とか、面白い武器なんかが手に入る宝箱とかあったら?〗


『もちろんオレが!あっ!』


〖『⋯⋯』〗

『⋯⋯』


『⋯単純だな、おい』じとー

〖簡単に引っかかったな〗じとー


『な、なんの事だ?わ、わははは』


『あらあらまあまあ、ゲンさんたら、牙王様とヴァル様に遊ばれてるわね』

仕方ないわね~


『ん?サーヤちゃんたちのおもちゃに道具?』

『ねえ、それってさ』

『うん。ねぇ、ジーニ様、そのお宝ってさ、うちらが作って宝箱にいれられるなんてことは』


〖ん?できるわね〗


『『『できるのかい!?』』』ずずずいっ


〖え、ええ〗じりっ


『あらあらまあまあ?』だらだら

今度はおかみさんたちのスイッチが?


『な、なあ、なら、ヴァルカン様』

『俺らが打った武器なんかを隠すのも』

『出来たりとか?』


〖ん?もちろん出来るな〗


『『『ほんとですか!?』』』


〖お、おう〗じりっ


『あらあらまあまあ?』だらだら

親方たちまで?


『『『凛さん!』』』

『『『ゲン!』』』


『『は、はい!?』』

な、何かしら?

な、なんだ?


『『『こうしちゃいられないよ!』』』

『『『さっそくっ』』』


きゅるる『待った』


『『『え?』』』

『『『なんだよ?』』』


きゅるる『他にもできることあるかも。聞く』キランッ


『『『あ、そうだよね』』』

『『『す、すまん』』』


『あらあらまあまあ、絹さんまで』だらだら

何だか、どんどん大事に⋯


きゅるる『例えば、サーヤの好きそうな魔物を作れるとか』キランッ


『絹、あわよくば、その素材を⋯とか考えているのでは?』


きゅるる『当然』キランッ


『そうか⋯』はぁ⋯


『あらあらまあまあ』だらだら

ギン様の予感は的中したようね


きゅるる『それで?作れる?』ギランッ


〖え?ええ、と⋯ま、まあ、ねぇ?〗ひくっ

〖で、できないことも、ない、ですね?〗ひくっ


きゅるる『そう。結葉様、作ろう、ダンジョン』ギランッ!

『あらぁ、賛成してくれるのぉ?嬉しいぃ』ぎゅっ


『あらあらまあまあ?』

絹さんに結葉様がだきついちゃったわ


『こほん。し、仕方ないね』

『そうだね。本来なら結葉様を止めるんだけど』

『今回は特別だからね』


『ふ、ふん。そうだな』

『仕方ないから手伝ってやるよ』

『いいか?仕方なくだからな?』


『『『決して面白そうとか思ってないからね!』』』

『『『誤解すんじゃねぇぞ!ふん!』』』


『うふふ♪分かってるわぁ♪』にこにこ


『お、俺も手伝うぞ!』


『あらあらまあまあ⋯』

おかみさんや親方だけじゃなくてゲンさんまで⋯


『ジーニ様、よろしいのですか?』

『我は知らんぞ』

ギン様とアルコン様、同感よ


〖あ、あはははは〗

〖ど、どうしましょうか?お母様〗

ああ、ごめんなさいね。何か私の何気ない言葉からこんなことになるなんて


〖おーい、医神。大丈夫か?〗

『おお、医神が固まるのなんて初めて見たぜ』

〖『さすがだな、凛』〗

『あらあらまあまあ⋯』

う、嬉しくないわ



『よし!んじゃ、ジーニ様、シア様、エル様にヴァルカン様頼むぜ!』

『そうだね。どんなダンジョンにするか具体的に決めないとね!』


『ええ~?なんでぇ?発案者は私なのにぃ』


『あのね、結葉様に任せちゃいけないくらいの良識は』

『『『『『『あるんだよ!』』』』』』


『ええ~ひどぉい』ぷくぅ


『『『『『『ひどくないっ!』』』』』』


〖は、はは、良識があるなら〗

〖ダンジョンは諦めて⋯〗


『『『『『『それは無い!』』』』』』

あらあらまあまあ、そんなはっきりと⋯


きゅるる『さあ、行こう』


〖〖ええぇ~〗〗ずるずる


『あらあらまあまあ⋯』

ジーニ様たち攫われちゃったわ


コンコン

〖おーい!医神!しっかりしろ~〗

『すげぇ。かちんこちん。どうするよ?』

〖仕方ねぇから、持ってくか。おらよっと〗ひょい

『あとで医神に殺されないといいけどな』

〖嫌なこと言うなよ〗


『あらあらまあまあ⋯』

すごいわ。エル様、丸太のように直立不動で肩に担がれてるわ


『お、俺も行ってくる』そそくさ


『あらあらまあまあ⋯』

ゲンさん⋯子供じゃないのよ



『ふぅ⋯仕方ないのぉ』

『どうするのかの?こちらは⋯』


『えっ?』びくぅっ

そ、蒼さんに青磁さん?い、いつの間に?


『ん?まあ、ともかくのぉ』

『こちらをどうしたもんかの』


こちら?あっ


『ご主人ーっリノ様ーっしっかりするにゃーっ』


『あ、あらあらまあまあ⋯』

アイナ様、リノ様、まだ気絶してらしたのね


『この惨状』

『どうしたもんかのぉ』


『あ、あは、あはははは』

あらあらまあまあ⋯


『仕方ない。私が運ぼう』

『我が手伝おう。だが、どこに運ぶのだ?』

『どことは?』

『決まっている。平穏か混沌か』

『あ~』


『あらあらまあまあ⋯』

アルコン様ったら

『ほう。上手いこと言ったものですのぉ』

『ほんにの。サーヤたちの元(平穏)へ行くか、ドワーフたちの元(混沌)へ行くか』

『『言い得て妙ですの(ぉ)』』

ほんとねぇ


『あ~何があったか尋ねられても困りますし、ひとまず混沌へ⋯』

『だろうな⋯』

『『はぁ⋯』』


『あらあらまあまあ⋯』

ギン様、アルコン様、巻き込んでごめんなさいね。


しゅるしゅるしゅるっ

『あ、あらあらまあまあ?』

な、何かしら?

しゅぱっ

『あ~れ~?』

飛んでるわ~

すとんっ

きゅるる『何してる?凛さんも行く』

『あ、あらあらまあまあ?』

絹さん?わざわざ戻ってこなくても良かったのに

きゅるる『さあ、行こう』スタスタ

『あ~れ~』

誰か~攫われるわ~



『行ってしまったのぉ』

『では、ワシらは平穏の地に行くとするかの』

『『誤魔化さんといかんからの(ぉ)』』


『じじぃども、頼んだぞ』

『悪いな』


『『ほっほ。任されましょう』』


こうして、突如ダンジョンプロジェクトが発動されたのでした。



☆。.:*・゜☆。.:*・゜

お読みいただきありがとうございますm(_ _)m

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