第544話 おまじない?

みんなでぞろぞろ。畑の中を移動中


サーヤとモモとスイは、ぽぽちゃん兄弟とおて手を繋いで


「おみみゃい♪おみみゃい♪」ぶんぶん

ぴゅいきゅい『『おみまい♪おみまい♪』』ぶんぶん


『あ、ありがとなんだな』

『『ありがとなんだな』』

サーヤとスイとモモに、お手々ぶんぶんされながらぽぽちゃんたちがお礼を言ってます。

「えへ~♪」

ぴゅいきゅい『『いえいえ~♪』』

モモとスイはぱたぱた飛びながらだから、自分たちが空中ブランコみたいになってます。


『ぽぽちゃんのお父さんは~どんな風におけがしちゃったの~?』

ハクがぽぽちゃんたちに聞いてます。そういえば、まだ聞いてなかったね。


『え?それがなんだな?おっきなカブが育ったから、抜こうとしたんだどもな?』

『大っきすぎて抜けなかっただよ』

『すっごくおっきいだよ』ぶんっ

『『わわわっ』』ぶーんっ

ぴゅいきゅい『『きゃはは~♪』』ぐいーんっ

「ふお~?」


なずなちゃんを挟むようにおてて繋いでたモモとスイが、どれだけ大きいカブか教えようとしたなずなちゃんが、おっきく手を回したものだから、両隣でモモとスイと手を繋いでたぽぽちゃんとつくしちゃんが慌てて合わせて手をぶーんっ!

モモとスイが一回転して楽しそうに笑ってます。


『『なずな、危ないだよ』』

『ゴメンなんだな』

ぴゅいきゅい『『きゃはは~♪』』

ぴゅい!『もういっかい!』

きゅい!『やって~♪』

『『『え?』』』

うん。全然大丈夫だったね。


「うにゅ?」

あれ?おっきなかぶ?

『あらあらまあまあ?どこかで聞いたお話ね?』

『そうだな』

やっぱり?絵本?


『あ、そうだったんだな。そんで、あまりに大っきいもんで、みんなで力を合わせて抜いたんだども』

『一番後ろで引っ張ってた父ちゃんだけ尻もちついちゃったんだな』

『そんで、こし、うっちゃったみたいなんだな』


「ふお~?うんとこしょ~どっこいしょ?」

『あらあらまあまあ、最後にすぽんっと抜けてしまって』

『勢い余って転がったんだな。そんで、そのカブは?』

あ、そうだよね。カブどうしたのかな?


『あれなんだな。大八車にのっけてあるだよ』

『空飛ぶ畳には他のお野菜を乗せてたんだな』

『カブのらなかっただよ』


「ふお~?おっきい~」

大八車からはみ出てる~

『あらあらまあまあ、ほんとね』

『うおっカブの胚軸⋯白い部分、サーヤよりでかいな、葉っぱだけでも俺と同じくらいあるか?』


いつの間にかぽぽちゃんたちの休憩所に到着。

お家の横に噂のカブはありました。

はいじく?なに?ってお顔をみんなでしたら白い部分だって。初めからそう言ってくれたらいいのにね?

『悪かったよ』

いいんですよ?それにしても


「ふぉ~あしゃぢゅけ、にゃんにんぶん?」

おっきいね~

『あらあらまあまあ、浅漬け?どうかしら?サーヤの好きな浅漬けって、葉っぱもカブも細かく刻んで、お塩で揉んだ漬物のことよね?』

「あい。ごはん、のっけちぇ、おしょうゆ、ちゃらり」じゅるり。おいしいよ。

『あらあらまあまあ、そうねぇ、葉っぱ、細かくするだけでも一苦労じゃないかしら?サーヤの好きな茎なんかサーヤくらい太いわよ』ふきふき

「ふお~おちゃわん、こわりぇりゅ」

サーヤは茎の輪切りが、ドン!と、乗ったのを想像した。

『そうよね~。揉むのも大変よね~』

おばあちゃんは、茎を縦に横にみじん切りにして、大変な量になったものを想像した。


『いやいや、そんな問題じゃないだろ』

おいちゃんは、それは両方とも違うと思った。


『う~ん、そもそも細かく切るのに向いてないと思うんだな』

『うん。それは普通のカブさんですればいいと思うんだな』

『サーヤちゃん、こっちのカブさんつかうだよ』

「あい。あちがちょ」

ぽぽちゃん兄弟が一番まともなことを思った!


〖まあ、カブのことはひとまず置いておきましょう。当初の目的を思い出しましょうね?〗にっこり


「あ、あい。ごめしゃい」ぶるぶる

『あらあらまあまあ、ごめんなさいね』

『す、すまん』

そうでした。エル様、ちゃんと思い出したから、許して?


〖医神、ちびっこにまでそれは止めてやれ〗

『そうだぞ。医神のは強力だからな』

ヴァル様と王牙様が呆れてます。

〖おや、すみませんね〗にっこり

〖『俺らにもやめてくれ』〗ヒクッ

おお、エル様が笑顔を撒き散らしてます。


『父ちゃん、母ちゃん、ただいまなんだな。腰はどうだか?』

『『ただいまなんだな』』


ぽぽちゃんたちが縁側に向かって声をかけると、座布団に座って、麦茶を飲みながら、うちわで隣の茶色いおいなりさんを扇ぐ、ぽぽちゃんたちのお母さんがきづきました。


『おかえりなんだな。おやまあ!皆さんお揃いでどうしましただか?』カランっ

慌ててコップを置いたお母さん。からんッて、氷のいい音がしたら、隣のおいなりさんが動きました。


「ふお~おいにゃりしゃん、うごいちゃ!」

あれ?でもずいぶん、おっきい?


『う~ん?皆さんお揃いで、どうなさりましたか?』くりっ


「ふお~おいにゃりしゃん、おめめあっちゃ!」

『おいなりさんですだか?』

おいなりさんが不思議そうにしてます。


ぴこんっ

「ふにゃっ」

何するの?おいちゃん、またぴこぴこハンマーだ!


『何するのじゃないだろ?あれはうつ伏せで寝てる、ぽぽたちの父ちゃんだ』

「ふおっ」

お父さんデシタ!

『あらあらまあまあ、サーヤったら⋯ごめんなさいね。お加減はいかがかしら?』

「おみみゃい、きちゃ!だいじぶ?」

忘れてないよ!


『お見舞いですだか?』わたわた

『なんと?皆さんわざわざ?申し訳ないだ』もそ


「うごいちゃ、め!」

ぴゅいきゅい『『うごかないで』』

『そうだよ~。ねんねしてて~』

みんなで、縁側に駆け寄って、お父さんに寝ててもらいます。


『え?でも、今お茶でも⋯』

『そうですだ。神様方を立たせたままでは⋯』


〖大丈夫ですよ。それより、ちょっと診せて下さいね〗ぽわっ


『『え、え?』』

何が起きてるか分からないお母さんと、お父さんを他所に、かまわずエル様がお父さんを診察。ついでに、お母さんも視てるみたいです。


〖ふむ。確かに打撲と出てますが、お二人とも少々肩や腰が凝っているようですね〗


『『え、え?』』

お父さんたち急に言われてワタワタしてます。


『あ~そりゃ、やっぱり働きすぎなんじゃないか?悪いな。いつも手伝ってもらって』

おいちゃんが申し訳ないって頭下げると


『い、いえいえ、こんなに良くして頂いて、楽しく暮らさせて頂いて、こちらこそ、申し訳ないくらいなんだな』

『そうですだ。頭を上げて下さいなんだな』

慌ててまた起きようとするお父さん。


〖まあまあ、そのままで。今日はお願いがあって来たのですよ〗

『え?』

『お願いですか?』

〖ええ、実は、先程⋯〗

エル様が、さっきのことをお父さんとお母さんに説明してくれます。

サーヤが「痛いのいたいのとんでけ」したら、つむちゃんのケガが治ったらしいこと。本当におまじないで治ったのか確かめたいから、お父さんの腰に、おまじないを試させて欲しいことなんかを説明してくれてます。その間に


「うんちょ、うんちょ」

『サーヤ、がんばれ~』

ぴゅいきゅい『『あといちだんだよ』』

「あい。よいちょ」

お靴脱いで、縁側に上がるちびっこ(サーヤ)用の階段を登ります。

「ふう~。とーちゃく!」ぴっ

腕を広げてポーズ!

『うん、ひとりでできたね』

『おいちゃんに持ち上げてもらわないでできたね』

『『『えらいえらい』』』

なでなで

「えへ~♪」

肩に登って来たフルー、フライと妖精トリオが頭なでなでしてくれます。


「んちょ、ありぇ?もやもや?」


『『え?もやもや?』』

『『『ん~?』』』じー

ぽぽちゃんのお父さんとお母さんの肩と、腰、あと、膝?特にお父さんの腰が

「もやもや?」

なんか、もやもやして見えます。みんな見えない?

『『え~?』』

『ぼくには分からないや』

『ぼくも。妖精トリオは?』

『『『ん~?まりょく、ながれわるい?かな?』』』

『でもこれ』

『まりょく?』

『ちょっとちがう?』

フライとフルーには見えないけど、妖精トリオは何か見えるみたいです。


「うにゅ~?」

『『『なんだろ~?』』』

なんだろね?

『『触ってみたら?』』


「しょだね~」

『『『さわってみよ~』』』

『『うん!』』

というわけで、まずはぽぽちゃんのお母さんから


ぺた

『え?』

ぺたぺた

『え?』

ぺたぺたぺた

『え?え?』


〖サーヤたち、どうしたのですか?〗

『フルーたちまで何してんだ?』

お母さんは急にちびっこたちに触られてびっくり。エル様とおいちゃんも急に意味不明な行動に出たサーヤたちに首を捻ってます。でも、ちびっこたちは


『『もやもやここ?かたい?』』肩ぺたぺた

「あい。しょこ。ちゅめちゃい?」

腰ぺたぺた

『『『こっちのもやもやも、かたい?つめたい?』』』

膝ぺたぺた

みんなでぺたぺた確かめます。ほかの声は聞こえてません。


『あらあらまあまあ、サーヤ?もやもやって何かしら?』ぽん

聞こえてないことに気づいたおばあちゃんが、サーヤの肩をぽんっとして、気づかせました。


「う?もやもやみえりゅ」

『ぼくと、フライは見えないんだけど』

『サーヤと妖精トリオにはもやもやがみえるんだって』

『なんかながれわるい?』

『でもまりょく、ちがう?』

『でもなんかもやもや』

「『『『う~ん?』』』」

分かりません。

『ね?だからね、触ってみたら』

『他のところより、固くて冷たい』

『『気がする?』』

「『『『『『う~ん』』』』』」

とにかく、モヤモヤ見えるけど、よく分かりません。


『あらあらまあまあ?それって⋯』

『血行不良からくる』

『『凝りなんじゃ⋯』』


「う?」

『『『『『ん?』』』』』

コリ?けっこーふりょー?


〖ふむ。じゃあ、こちらはどうですか?〗

エル様が指さすのは


「いちばんもやもや」

『『『うん。もやもや』』』

お父さんの腰です。

「あちゅい?」ぺた

『『あついね』』ぺた

『『『うん。あつい』』』ぺた

やっぱり、あついよね?


『あらあらまあまあ、それは』

『炎症起こしてるからだな』

『『打ち身(ね)だな』』


〖ふむ。サーヤと妖精トリオには患部がモヤになって見えてるのですかね?実に興味深い〗


『あらあらまあまあ、それじゃあ、試しに⋯サーヤ』

「う?」

なあに?

『はい。ここに立って』

「あい」

ぽぽちゃんのお母さんの後ろに立ちます。


『え?』

ぽぽちゃんのお母さん、サーヤも分からないから待っててね。


『じゃあ、さんはい♪母さんお肩を叩きましょ~♪』

「たんとん、ちゃんとん、ちゃんちょんちょん♪」タントンタントン


『え?』ほわん


『お縁側には日がいっぱい♪』

「たんとん、ちゃ、たんとん、ちゃんとんちょん♪」タントンタントン


『ええ?』ほわん


『はい。そこまで~。よく出来ました』にっこり

「あい!」

肩たたきの歌だね~。あれ?肩のもやもやが


『凛さん、途中は?確か白、髪⋯』

『あらあらまあまあ?何かしら?』にこにこごごご

『いや、そんなものは存在しないよな。うん』

『あらあらまあまあ、ゲンさんたら。おほほほ』

おいちゃんとおばあちゃんがなんかやってるけど



「うにゅ~?もやもや?」

『『『あれ~?ない?』』』

『『え?ないの?』』

やっぱり?もやもや消えてるよね?


『あらあらまあまあ、やっぱり?奥さん、肩の調子いかがかしら?』

『え?え?あの、嘘のように軽くなりましただ。肩も腰も、あと、膝も?え?な、何がおきただか?』

え?治っちゃった?


『じゃあ、今度はこっちで⋯はい!サーヤ、痛いの痛いの?』

「ちょんでけ~♪」

ぶわっ

「ふおお?」

な、なんか?

『すご~い』

『もやもや~』

『とんでった~』

妖精トリオがもやもやが飛んで行ったお空を見ています。


『あ、あれ?』がばっ


「ふお?」

お父さん、腰痛いんでしょ?急に起きちゃ


『い、痛くないだ。な、なんか体がスッキリ軽いだ?』

『おとうもかい?』


『『『とうちゃん!かあちゃん!』』』

ぽぽちゃんたち、家族でびっくり!


「ふおお?」

まさか?

サーヤもびっくり!


『あらあらまあまあ、大成功みたいね』にこにこ

おばあちゃん、満足気!


『凛さん⋯』がくんっ

おいちゃんは、一気に疲れた!


〖なんと⋯〗

〖とんでもねぇな、凛のやつ〗

『だな。「痛いの痛いの」だけじゃなく、他にもサーヤが意味がわかってるおまじないなら効き目があるって証明しちまったぞ』

神様たちはびっくりと、感心を通り越して、おばあちゃんに呆れてます。


『サーヤすご~い』ぱちぱち

ぴゅいきゅい『『なおしちゃった~』』ぱちぱち


「ふおお?」

治っちゃった?

『あらあらまあまあ、肩たたきは歌なんだけど、効いちゃったわね♪』


『凛さん、気づいてたんだろ』じとー


『あらあらまあまあ?ゲンさんたら人聞きが悪いわね。もしかして?と思っただけよ』にこにこ


『そうかよ』はぁ~

おいちゃん、でっかいため息ですね。


『くすくす。思えば今までも何度かあったのよ。ほら、もふもふさん達のお産の時とか、ハクちゃんたちをブラッシングした時とか』

『あ!あ~そういや、そうだな』がくっ

おいちゃん、なんで気づかなかった~とか下向いてブツブツ言ってます。


『じゃ、じゃあ、やっぱり』

『つむのけがも』

『サーヤちゃん、なおしてくれたんだね』

『『『ありがとう』』』

小鬼ちゃんたちも改めてお礼です。


「ふおお?」

なんでこんな大事に?


〖ふむ。まあ、サーヤは全属性持ちですからね。妖精トリオも見えるということは可能性がありますね〗

何やら考え込むエル様に


『あら、それを仰るのでしたら、双子ちゃんも全属性持ちですわよ』

『そうだったにゃ』

『ええ。才能がありますわ』

ぴゅいきゅい『『え?』』

アイナ様とニャーニャにゃんが思い出したことを口にすると、リノ様が太鼓判押しちゃいました。


〖ふむ。では、やはり適正のある子は早速、治癒魔法の練習をしましょう。使えるとわかったなら正しく使いこなさなければ。ふふ〗


「ふえ?」

『『『え?』』』

ぴゅいきゅい『『え?』』

な、なんですと?


〖おいおい。あんまり無茶させるなよ〗

『そうだぞ。まだみんなちびっこなんだからな?』

不敵な笑を浮かべるエル様に何かを感じたヴァル様と牙王様が慌ててとりなしてくれるけど⋯


〖ふふふ⋯〗

悪いお顔⋯


〖だ、ダメかもしれん〗ひくっ

『すまん、ちびっこ』ひくっ

〖『がんばれ』〗ぽんっ


「ふええ?」

『『『えええ?』』』

ぴゅいきゅい『『なんでー?』』


〖『がんばれ』〗ぽんっ


「う、うきゃーっ」

『『『ひえーっ』』』

ぴゅいきゅい『『どちてーっ』』


こうして、訳の分からないまま、妖精トリオと、双子を巻き込んでサーヤたちもエル様に弟子入り決定したようです。


『わ~い♪いっしょにがんばろうね~♪』

ハクは仲間ができて嬉しそうです。


〖フフフフ⋯〗

エル様も嬉しそうです⋯色んな意味で


『あらあらまあまあ?大変ね?』にこにこ

『凛さん⋯ひでぇ』

おばあちゃん、一番楽しそうです。


☆。.:*・゜☆。.:*・゜

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