第530話 何する?

あだ名のはずが、なぜだか少々姿が変わって強くなった牙王様。

その理由はサーヤたちの祝福らしい。


『う~ん、俺、ついでに若返ってる気がすんだけどよ。なんなら昔より力、強くなってるよな?』

牙王様が自分の足やら体やらをまじまじと見ながら呟いてます。

『おお、魔力もか』

今度は爪の先に魔力を集めてます。


〖う~ん、どうやらそうみたいだな〗

〖あだ名でも若返りましたか。すごいですね〗

ヴァル様とエル様もまじまじと牙王様を見ています。


『まあ、結果オーライってやつか?なんか得した気分だよな。これってよ、俺以外の神獣も交代で来て、サーヤたちにあだ名つけてもらうべきか?守は強い方がいいだろ?それに、俺だけ若返ったなんて、帰るのが怖ぇだろ?』

牙王様が他の神獣たちもあだ名をつけてもらうべきじゃないかと言うと


〖あ、それは考えつかなかったな。でも、力が強くなるなら⋯〗

〖有り、ですかね。試しに私の天馬を呼びますか?〗

〖それは、一応、主神に確認とってからの方が良くないか?〗

〖おや、鍛治神にしては慎重なことを言いますね〗

〖いや、俺たちが来る時、虎まで連れていくことにバートは渋ったんだよ。何か起こるんじゃないかってな〗

〖そうでしたか。ある意味当たったわけですね〗

〖そうだな〗

〖そういうことなら、様子を見ることにしましょう〗

ヴァル様とエル様は、まだ様子を見ることに


『そっか。まあ、俺の変化も一時的って可能性もあるからな。様子見た方がいいかもな』

〖そうだな〗

〖そうしましょう〗

牙王様も納得したようです。


そんな話をしていると


ぽふっぽふんっ

『ん?なんだ?』

何かが当たったような感覚がした牙王様、足元を見ると


「⋯⋯」きらきらきらきら

『『『『『⋯⋯』』』』』きらきらきらきら


『お、おお?みんなしてどうした?』

足に抱きついたサーヤたち、ちびっこたちが、ものすごいキラキラな期待のこもった目で自分を見あげていた。


「がおーしゃま、もふもふ!」

ぴゅいきゅい『『もふもふ!』』

『触っていい~?』

『『遊んで~』』

『『『のっけて~』』』

みゃあ『おねがいにゃ』

『お願いなのだ』

きらきらきらきら~


『わはは!そうか!俺様のパワーアップしたもふもふが気になって仕方ないんだな!いいぞ!みんなまとめて乗っけてやるぞ!』ニカッ


「やっちゃ~♪」

ぴゅいきゅい『『わ~い♪』』

サーヤたち大喜び!ぴょんぴょんして喜んでると


『ん?なんだ?そこにもちびっこがいるな』

牙王様が、布団に寝てるぽぽちゃんたちに気づきました。


「ふお?」

『あ、ぽぽちゃんたちだ~』

ぴゅいきゅい『『ねんね~?』』

自分たちも、例のピカーっで目が見えなかったサーヤたち。ぽぽちゃんたちに気づいてなかった⋯


『あらあらまあまあ、今頃気づいたの?』

『あのな、ぽぽたちは丁度、ここに野菜を届けようとしてくれてたみたいでな?道の途中で光を見ちまったらしいんだよ』


「ふあっ」

『『それは大変だ~』』

ぽぽちゃんたちはもぐらさんだから、光に弱いもんね。


『それでね、ゴラちゃんたちが空飛ぶ畳に乗せて、野菜と一緒に運んできてくれたのよ』

『『タイミングが悪かったな(わね)』』はぁ⋯


「ふあっ、ごらちゃん、きゃらちゃん、えりゃい。あいがちょ」

もう畑に帰っちゃったみたいだから、あとでお礼しなきゃ。


『まぶしかったもんね』

『きぜつしちゃったんだね』

『ぼくたちといっしょだね』

みゃあ『おっきなごしゅじんもにゃ』

『あ、ホントなのだ。アイナ様も寝てるのだ』

「ふおぉ」

そっか~、妖精トリオもねんねしちゃったもんね。


『あ~地の精霊王にモール族かぁ、そりゃ、あの光じゃ眩しいよな。悪いことしたな。医神、治せねぇか?』

牙王様がエル様に頼んでます。


〖そうですね。目のチカチカするのは治しておきましょう。起こすのは、自然に起きるのを待ちましょうか〗すっ

エル様が手をかざすと、ぽぽちゃんたちのお顔がちょっと優しくなった気がします。

『多分、気絶しながらも目をぎゅっとしてたんだな』

そっかぁ。おいちゃん、頭いい!


〖すまねぇな。ありがとよ医神。んじゃ、虎⋯じゃなかったな、牙王はちびっこたちと遊んでてくれな〗

『おう!鍛治神はどうすんだ?』

〖そりゃあ、お前、決まってんだろ!ここには優秀なドワーフがいるようだからな!ちょっくら、ここの鍛冶場を見てこねぇとな!〗ニカッ

『そりゃそうだな!』ニカッ

おお!そっくりな笑い方!


『『『『『『えええっ』』』』』』ずざっ

ドワーフさんたち驚きながら一歩下がった!

「ふおお、うごきかちゃ、おしょりょいっ」

揃ってるよ!

『あらあらまあまあ、おそろいと言うより、シンクロ?』

『仲良いな』

だよね!


〖なんだ?俺が行ったらまずいもんでもあるのか?〗ふふん


『『『そそそ、そんなっ』』』

『『『そんなわけではっ』』』


わあ、ヴァル様なんかいたずらっ子みたいなお顔だぁ。ドワーフさんたちはすっごいワタワタだね。


「ゔぁるしゃま、ちゃにょちちょう」

お顔がニーッてしてるよ。

『ほんと~楽しそうだね~』

ぴゅいきゅい『『うん』』

『『『『『楽しそ~』』』』』

だよね?


『しーっだぞ。サーヤ、みんなも。面白そうだからしばらく見てようぜ』ニッ

わあ~牙王様がニッて、同じお顔でいいます。

「あい」

『うん』

お口チャック!それから、


『くくっ。それ、隠れてるつもりか?』


こそこそ

「う?しーっ」

『牙王様、シーッなんでしょ~?』

ぴゅいきゅい『『しずかしなきゃ』』

みんなで牙王様のあんよに隠れます。牙王様のあんよはもふもふで大きいから大丈夫

『ハハッ。悪かった。そうだったな。んじゃ、よっこらしょ』


ふぁさ~


「ふあああっ」キラキラ

『うわ~』キラキラ

ぴゅいきゅい『『すご~い』』キラキラ

『これはサーヤじゃなくても』うっとり

『とろけちゃうね~』とろ~ん

『『『きもち~』』』ほわぁ

みゃあ『ふわふわもふもふにゃ~』へにゃ~

『最高なのだ~』ぽふっ

そうなのです。牙王様ってば、みんなが隠れやすいように座ってくれて、その上、しっぽでくるんってしてくれました!


「もふもふ~ん♪」ほわ~

寝ちゃいそ~

『きもちいいね~』はふ~

ぴゅいきゅい『『ねむくなっちゃう~』』ふあ~ぁ

『『ぼくも~』』もぞもぞ

『『『す~』』』

みゃあ『ようせいトリオ、もうねてるにゃ~』ふあ~ぁ

『みんな眠そうなのだ~』むにゃ

ほんとだね~きもちいいね~


『おいおい。寝るなよ?この格好失敗したか?面白いの見損なうぞ?』

「ふあっ」

『そうだった~』

ぴゅいきゅい『『あぶないあぶない』』

『『あ、でも手遅れかも』』

『『『⋯す~』』』

みゃあ『ようせいトリオねちゃったにゃ』

『ほんとなのだ』

もふもふが気持ち良すぎるのがいけないよね!


『あちゃあ。まあ、仕方ないか。さて、ドワーフたちはどうするかな?』ニヤッ

「ふおっ」

『見なきゃ~』

そうだね!



〖じゃあ、大丈夫だろ?ほれ、はやく案内頼むぞ!〗にやにや

わ~ヴァル様、更に悪いお顔~


『『『いやいやいや』』』

『『『お、おおおそれおおいっ』』』

わあっこんなに慌ててる親方たち初めて~。みんなワタワタしてる~


『何だよ。やっぱりなんか隠してるのか?』むう

むうってしてるけど、お口の横

ぴゅいきゅい『『ぴくぴくちてるね?』』

だよね~



『『『いやいやいや』』』

『『『めめめ、滅相もない!』』』

ぶんぶんぶん

さっきから、親方たち『いやいや』としか言ってないような?


〖じゃあ、案内しろ!この俺がお前たちの打つ姿をしっかり見てやる!〗ニイッ


『『『『『『えええっ』』』』』』

『そそそ、それはまさか』

『かかか、鍛治神様から』

『じ、直々にご指導いただけると?』

『あああ、あんたら』バシッ

『なんて大それたことをっ』どすっ

『そそそ、そんなバチあたっちまうよっ』ゲシッ

『『『ぐおっ』』』



「ふおおっ」

みゃあ『いたたにゃ』

『強烈なのだ』

急にバイオレンスっ!

『おお、どこでも女は強いな』

牙王様、感心しすぎですよ。



〖ん?いいぞ!ただし、俺は厳しいぞ!まずは鍛冶場を見てからだな。鍛冶場の様子によっちゃ、鍛冶場を見ただけでやめるかもな〗ニイッ


『『『⋯』』』

『俺たちは誇りを持って鍛冶師をしとります』

『鍛冶場はもちろんのこと、道具だって大事に扱っとります』

『鍛治神様にお見せして恥ずかしいものなどないと、自負しとります』



「ふお~かっちょい~」キラキラ

『かっこいいね~』

親方たち、さっきまでと違って、ビシッてしてます。なんか、おめ目が

『うん。強い良い眼だな!俺は気に入ったぞ』ニッ

「ふお~」

『『『おお~』』』

『『やったあ!』』

やったね!親方たち!まずは牙王様から合格だよ!


〖ふんっ。じゃあ、見せてもらおうか〗にんまり


『『『はい』』』

『『『どうぞ』』』


わ~ヴァル様のあのお顔は

『してやったりって顔だな』

『あらあらまあまあ、まあ、親方たちなら大丈夫でしょう』

「う?」

おいちゃん、おばあちゃん!いつの間に!


『なんでお前たちまで俺に隠れてんだ?』

『『何となく?』』

『そうかよ⋯』

そうなんだ~


『んじゃ、俺たちも行くぞ』

ふわっ

「ふおお~」ふわふわ

『わ~』ふわふわ

『『浮いてるよ~』』ふわふわ

ぴゅいきゅい『『とべるのに、ういてる~』』ふわふわ

サーヤたちふわふわ飛んでます。


〖牙王の魔法ですね〗


みゃあ『わあ、エルさまが、さきにいるにゃ!』

『一番のりじゃなかったのだ』


牙王様の背中にはすでにエル様がいました!

それでサーヤたちをどんどん背中に座らせてくれました。


〖それでは、行きましょうか〗ニッコリ

『そうだな。俺も楽しみだぜ。どんなの打つかな』にやにや


『おお、親方たち、試練の時だな。まあ、大丈夫だろうけどな』

『あらあらまあまあ、そうね』

「ふお~」

『試練~』

ぴゅいきゅい『『がんばれー』』

『『応援しよう』』

『『『こっそりね』』』

みゃあ『こっそりにゃ』

『楽しみなのだ』


親方たち頑張れ!

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