第455話 がさがさがさっ再び


ジーニ様たちが、こわこわこわこわっになっても誰も助けてくれません。誰か助けて~?


がさがさがさ


ん?誰か来た?


がさっ

『あら、あなた?誰かいらしたのかしら?』

『とと様。ただ今戻りました。先にお戻りだったのですね』


んん?あなた?とと様?と、言うことは?


『かかしゃま!あにしゃま!』

『お前たち、戻ったか』


やっぱり!

「かにょこちゃんの、おかあしゃんちょ、おにいちゃん!」

美人さんの鹿さんと、イケメンな鹿さんです!


『『え?』』


『あら~。救いの神が来たみたいねぇ』

たしかに!ナイスタイミングだね!

『『『ハッ!』』』

『『『私らは何を?』』』

あっドワーフさんたち元に戻った~。

〖『チッ』〗

ちっ?ちって何?何?ジーニ様、フゥ!


『え?あなた?それに私の可愛い娘まで、その姿は?天使?天使なの?』

『かか様。それだけではありません。私の可愛い妹がしっかり喋ってます。私の妹は天使で天才だったのですね?』

おお?もしかして、かのこちゃん溺愛されてる?


『かかしゃま、あにしゃま、おかえりなしゃいでしゅ。かにょこ、おなまえもらったんでしゅよ。しょちたら、ととしゃまとおんなじ、はねはえたんでしゅ!』ぱたぱた

かのこちゃんが羽をパタパタさせて一生懸命説明してます。嬉しそうです。かわいいです。でも~


「かのこちゃん、おしゃべりじょーじゅ⋯」

『そうだな。しっかり喋ってるな』

『あらあらまあまあ、サーヤもがんばりましょうね』

「あい」

しくしく⋯


『ええ?あなた、どういうことでしょうか?』

『それにとと様のその立派な翼は?』

そうだよね、びっくりしちゃうよね?


『それはな、そちらにいらっしゃる愛し子様⋯』

じとー

『サーヤ様⋯』

じとー

『サーヤに⋯』

にぱっ!うんうん。


ぽかっ

「いちゃっ」

おいちゃん、なにするの?サーヤの頭、木魚になっちゃうよ?

『だから顔で威圧するんじゃない』

だって~。様いらないの~。


『こほん。サーヤたちに森で偶然お会いしてな』

『かにょこがしゃきにみちゅけたんでしゅよ!』

そうだね~。かのこちゃんがぴょこって来てくれたんだよね。


『そうだな。鹿の子のおかげだな』

『はいでしゅ!』ぱたぱた

かのこちゃん羽がぱたぱたしてます。可愛い~


『それでどうしたのですか?』

『早く本題をお願いします』

おおっ、そうだよね。邪魔してごめんなさい。


『あ、ああ、それでな?サーヤに名を頂いたのだ。私はイヒカ』

『かにょこは、かにょこでしゅ!』

『そうだな。鹿の子、良い名を頂いたな』

『はいでしゅ!ねぇねしゃまにもらいまちた!』

かのこちゃんが嬉しそうに御報告してます。しっぽふりふり、お羽ぱたぱたです。


『ねぇねとは?イヒカに、かのこ、ですか?』

『でも、それだけではその翼の意味が⋯』

そうだよね~


〖それはね?私たちがそうなるように仕向けたのよ〗

『あらぁ。ジーニ様ったら、認めちゃうのねぇ?私は知らないわよぉ』くすくす

〖ちょっと結葉?あなたも共犯でしょ?〗

『え~?なんのことぉ?』くすくす

いやいや。すでにバレバレですよ?


『ジーニ様に結葉様?も、申し訳ございません。ご挨拶もせず御無礼をっ』

『申し訳ございませんっ』

ジーニ様たちに今気づいたんだね?慌てて頭下げてるね~。でもぉ、仕方ないんじゃないかな?


〖気にしないで。いきなりお邪魔してるのは私たちだし、しかも家族の姿がいきなり変わってたら、そちらにしか目がいかないわよね〗

『そうよぉ。気にしないでぇ。それにギンもいるわよぉ』くすくす

ジーニ様の言う通りだよね~。でも結葉様?その言い方は面白がってるよね?なんか、ギン様もかわいそうな気が⋯


『え?ギ、ギン様にエンシェントスライム様たちまで?』

『気づきませんで申し訳ございませんっ』

あ~お兄ちゃん、焦るのはわかるけど、その言い方は⋯


『いや、気にするな。最近はよくある事だ⋯』ふっ

ぷるるるん『『そうそう⋯』』ふっ

『『あ、あの、申し訳ございません』』


『ギン様たち哀愁漂ってるな』

『あらあらまあまあ、お気の毒に⋯』

「ふあ~」

ギン様たち、泣かないで!サーヤたちがいるよ!ギン様のもふもふは最高だよ!アルとアウルもぷにぷに最高だよ!ジーニ様達にはもふもふもぷにぷにもないよ!

『ありがとうサーヤ』

ぷるるるん『『うん』』

どういたしまして!もふもふぷにぷには正義!


『そうそう。それでねぇ、イヒカの翼はねぇ、サーヤが犯人よぉ♪』

「ふあっ?はんにん?さーや、はんにん、わりゅいこ?」うりゅう

〖ああっ違うわよ!サーヤは悪くないわ。いい子よ!結葉!なんてこと言うの!〗むぎゅう~うぅ

「くえっ」

悪い子じゃないのは分かったよ~でも、くるちっ!今日むぎゅう攻撃多すぎ~

〖サーヤは天使よ〗むぎゅう~

「あ、あい⋯ぐ、ぐるちっ」助けて~ しゅぽんっ

『うふふ。ごめんねぇサーヤ。犯人なんて嘘よぉ。ジーニ様、今日はもうサーヤ抱っこ禁止ねぇ』

「くあっ」ぜーはー

助かった~ジーニ様のお胸は凶器。

〖いやぁん、サーヤ返してぇ〗

『だぁめ。ねぇ、サーヤ』

「あい」

結葉様のお胸の方が優しいです。ぽふぽふ。

〖そんな~〗

くるちいのはダメダメ。あれ?でも?


こそこそ

『ねぇねぇ~お父さん、今のは結葉様のせいだよね~?』

『あ、ああ。そうだな。だが、相手は結葉様だからな』

ぴゅいきゅい『『うわぁ』』

『『ぜったい』』

『『『わざとだよね?』』』

みゃあ『かく、かくにんはんなのにゃ』

『ココロ、それを言うなら確信犯なのだ』

みゃ『かくしんはんにゃ!』

やっぱり~?

『うふふ。なんのことかしらぁ?』

なんだろね~?


『あ、あのそれで、主人の翼はどうして』

『それに私のかわいい天使まで?』

あっごめんね。途中でした。それにしてもお兄ちゃん、ついに天使固定?


〖ああ、ごめんなさい。そうね、サーヤたちがいた所にはね、白い鹿の姿の神の使いがいたらしいのよ〗

『あら、神様じゃなかったぁ?』

「どっちもいりゅにょ」

〖そうだったわね。それでね、その姿を描いた絵に、翼がある者もいたんですって〗


『『は、はぁ』』

お母さんとお兄ちゃん大丈夫?なんのことか分からないってお顔だね~


『うふふ。だからね?サーヤに名前をつけさせた時にねぇ、その姿を想像するようにしむけたのよぉ』

〖その結果、私たちの思った通りの姿になったわけ。鹿の子はイヒカと一緒に名付けされたから、一緒に羽がはえちゃったんでしょうね〗

『親子だしねぇ。でも、すごく綺麗でしょ~?鹿の子の羽はまだ小さいから飛ぶことは出来ないけど可愛いしぃ。翼って言うよりぃ、羽って感じよねぇ?』

ジーニ様と結葉様がにやにやにこにこです。イタズラ成功!みたいなお顔です。


『そ、そうなのですね』

『ええ!正に天使の羽です!』

うん。お兄ちゃんはかのこちゃん大好きだね。えっと、こういうのなんか言ったよね?ええと、ええと、あっそうだ

「ししゅこ⋯」

くるくる、ぱしっ

「んにゅ?」

お口、チャック?

『あらあらまあまあ、サーヤ?それ以上はダメよ』にこにこ

「あ、あい」こくこく

『いい子ね』にこにこ

おばあちゃんが飛んできました。こわこわ


『ねぇねしゃま、おばあちゃま、かにょこにょ、かかしゃまとあにしゃまでしゅ。とってもやしゃちいんでしゅよ』にこにこ

かのこちゃんがお母さんとお兄ちゃんを紹介してくれました。そう言えば、まだちゃんとご挨拶してない!


「あわわわわわわ。おばあちゃん」たいへんっ

『あらあらまあまあ、そうね。まだご挨拶きちんとしてなかったわね』

そうだよね!ご挨拶大事!


『じゃあ、ご挨拶しないとねぇ。この子はサーヤ。今代の愛し子よぉ。かわいいでしょう?それでこっちの編みぐるみのクマさんは凛ねぇ。中身はサーヤのおばあちゃんなのよぉ。よろしくねぇ』


『『はい?』』


結葉様が抱っこしてるサーヤを見せながら紹介しちゃいました!自分でしようと思ったのに~。おばあちゃんは結葉様の肩に乗っかって?引っかかって?お手手振ってます。でも、この軽~い紹介って


〖結葉、あんたその紹介は⋯〗

だよね?かのこちゃんのお母さんとお兄ちゃん、固まっちゃったよ?みんなもシーンってしたけど~。


『え~?本当のことでしょ~?』

〖そうだけど、言い方ってもんがあるでしょう〗は~あぁ

だよね~?ジーニ様、結葉様の空いてる方の肩に手をついておっきな溜息ついてます。分かるよ~


『あらあらまあまあ、サーヤ。もう一度自分でご挨拶しましょうか?』

「あい!むすびはしゃま、おんりしゅりゅ」

『あらぁ。降りちゃうのぉ?残念』

結葉様?じとー

『はぁい。よいしょ』くすくす

まったくもう~。おばあちゃんもピョンッて降りてきました。


「かのこちゃんにょ、おかあしゃんちょ、おにいちゃん、さーやでしゅ。よりょちくおにぇがいちましゅ。いひかしゃまちょ、かのこちゃん、おはねはえちゃっちゃ。ごめしゃい」ぺこり

お名前つけたらお羽生えちゃったの。サーヤもびっくりだったんだよ。ごめんなさい。


『サーヤ様、主人と娘に⋯』

「さーや!さーやにゃにょ!」

お母さんダメダメ~様はいらないのよ!

『え?ですが、愛し子様』

「ちやうの!さーやにゃにょ!」

お兄ちゃんもだめだめ~

『『え、ええと⋯』』


『二人とも、サーヤは様付けは嫌なのだそうだ。サーヤか』

『さーやちゃんでしゅよ!でも、かにょこは、ねぇねしゃまよぶでしゅ!』

イヒカ様とかのこちゃんの言うとおり!


『で、ではサーヤちゃん。主人と娘に名を頂きありがとうございます。驚きはしましたが、謝って頂く様なことは何もございません。むしろ一族の誉。ありがとうございます』

『サーヤちゃん、天使の妹を本物の天使にしていただきありがとうございます。素晴らしいです!』


そ、そう?良かった。お兄ちゃんは、ほんとにかのこちゃんラブなんだね。とにもかくにも


「あい!なかよくちてにぇ」

『はい。こちらこそ』

『よろしくお願いします!』

わ~い!良かった♪


『あらあらまあまあ、孫が驚かせてごめんなさいね。私は凛よ。この姿は世を忍ぶ仮の姿なの。本来の姿は今違う場所で修行中なのよ。本当はもっとナイスバディな大人の女性なの。よろしくお願いしますね』


『『⋯⋯』』

しーん ハッ!

『こ、こちらこそ』

『よろしくお願いします』


「おばあちゃん⋯」

『凛さん⋯』

お母さんとお兄ちゃん、なんて答えていいか分からなかったんだろうなぁ。ごめんね



こそこそ

『ちょっとちょっとジーニ様、実際のところどうなのさ』

〖⋯え?〗

『そうだよ。だって凛さんの言うナイスバディってのはジーニ様達みたいなのだろ?』

〖⋯ええと?〗

『間違いなく若返ってるだろうけどさ、ゲンさん曰くスレンダー美人だったんだろ?ならさ⋯』

〖⋯⋯〗ダラダラダラ

ドワーフの奥様方が容赦なくジーニ様に詰め寄ってるけど⋯


こそこそ

『おいおい。ジーニ様すごい汗だな』

『完全に顔反らしてるしな?』

『無言だしな?こりゃあ』

親方たちまでこそこそ。一瞬黙ってから、ジーニ様(と、サーヤ)以外の視線がおばあちゃんに向くと


『⋯⋯』にこにこにこにこごごご


『『『『『『ヒッ』』』』』』

あ~あ⋯


『よをちのぶかりのしゅがたなんでしゅか?さすがおばあちゃま!かっこいいでしゅ!ごごごごもかっこいいでしゅ!かにょこもやるでしゅ!』

あああっかのこちゃんがっ


『え?鹿の子?』

『わ、私たちの天使がっ』

『ああっ僕の天使!ダメだよ、そちら側に行ってはっ!』

あああっイヒカ様、お母さん、お兄ちゃんがっ


『あらあらまあまあ?いい子ね、かのこちゃん』なでなで

『はいでしゅ!にこにこごごごごっでしゅ!』

『そうね、いっしょにやりましょうね』

『はいでしゅ!』

『『⋯⋯』』にこにこごごご


あああっダメだよ!かのこちゃん!無言でにこにこごごごごはっ


『ああっ鹿の子っ』

『私の可愛い天使っダメよ』

『帰ってきてくれ、僕の天使ーっ』

あああっごめんなさいごめんなさいごめんなさいっ



こそこそ

『ねぇねぇ、お父さん、おいちゃん~』

『なんだ?』

『どうした?』

『ぼく~あのお兄ちゃんの方が怖い気するんだけど~気のせいかな~?』

ぴゅいきゅい『『やっぱり~?』』

『『ぼくたちも思ったよ』』

『なんかおばあちゃんとは~』

『なんかちがういみで~』

『なんこわい~?』

みゃあ『あぶにゃいにゃ?』

『後ずさりしたくなるのだ?』

何か違うと警戒するちびっこたち

『あ~』

『そうだな⋯』

なんと言っていいか困る大人たち。それはね?


「やっぱち、ししゅこ⋯」


『サーヤ?』にこにこごごご

『ねぇねしゃま?』にこにこごごご


「ごめしゃい」

なんでもないです。ごめんなさい。


☆。.:*・゜☆。.:*・゜

お読みいただきありがとうございます。フォロー、応援、感想、星などありがとうございます。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る