第331話 完成!

ドワーフのおっちゃん、パワフル⋯あれ?図面は?いいの?


『ま、まあ、大丈夫じゃないか?』

「しょ、しょだね」

ドワーフさんの行動力に、ギン様もビックリだよね。


〖う~ん。ドワーフさんたち、サーヤに名前をつけてもらおうと思ってるのだけど、今でさえすごいのに、どうなっちゃうかしら?〗


「うにゃ?」

お名前⋯

『それは⋯』

ギン様と思わず見つめ合っちゃいます。え~?今までの例だと?


『最盛期の頃に若返る?力も強くなる?進化する?』

そうだよね。ギン様もだもんね?ということは?


「おいちゃんが、ふえりゅ?」

性格、ちょっと似てるよね?すぐ動いちゃうとこも


『え?ゲンが増える?』

そうだよ。おいちゃんが一人~。おいちゃんが二人~。おいちゃんが三人~。おいちゃんが⋯ん?おばちゃん?


〖やっぱり、サーヤもそう思う~?〗

ほっぺたに手をあてて困ったように笑ってるジーニ様。

と、言うことはジーニ様も想像しちゃった?たくさんのおいちゃん⋯


「ふわぁ~ぁ」

『そ、それは⋯』


『ワハハハハハハハハハ』×七


おおぅ。なんか、なんか、なんか?


『⋯大丈夫なのだろうか?』

〖⋯ねぇ?〗

「⋯こわこわこわ?」

三人でなんだか怖い想像をしていると


『お~い!作るぞ~!この辺りでいいか~?』

ドワーフのおっちゃんが呼んでます。いよいよコンロが!


「あ~い!」

『今行く』

〖ちょっと待ってね〗

怖い想像をしたまま、ジーニ様に抱っこされてドワーフさんたちの所へ行くと


『この辺りにさ、作業台と、この子達専用の焼き台を別に作ろうと思うんだよ』

早速、山桜桃ちゃんと春陽くんを見ながら、おかみさんが説明してくれます。

そうだよね?山桜桃ちゃんたちとおいちゃんにしか出来ない作業もあるもんね?


『あと、私らは身長が違うからね。私らのも作らせてもらうよ』

そうだね。体に合わない作業台は大変だもんね。


『それで、あとは座ったまま焼けるテーブルみたいのをいくつか作ろうと思ってるんだけど』

おお!待望の!


『長い奴を作ろうかと思ったらよ?この二人が「サーヤちゃんたちのお手伝いをするのに、それは不便です。こうしたらどうでしょう?」って形を提案してくれたんだよ。なかなかいいアイデアでな?この二人、俺たちの弟子に出来ないかな?ワハハハハ』


『『ええ?そんなとんでもない』』

急なスカウトに山桜桃ちゃんたちがワタワタしてます。


「えへへ。ゆすらちゃんちょ、はるひくんは、すごいにょ!」

山桜桃ちゃんたちが褒められると、サーヤも嬉しいよ♪


『そうだな。いつも頑張ってくれてるな』

〖そうね。縁の下の力持ちって言うんだったかしら?ゲンも褒めてたわ。もちろん、私達もね〗

ほらね!みんな褒めてるよ!


『『ええええ?そんな!もったいない!』』


山桜桃ちゃんたちが更にワタワタしてます。


「ふへへ♪」

山桜桃ちゃんと春陽くんは、もっと褒められることに慣れないといけないと思います!


『ふふ。そうだな』

〖そうね~〗


ほらね?ギン様もジーニ様もそう思うでしょ?


『『あう~』』

山桜桃ちゃんたち撃沈。顔をお手手で隠してしゃがみこんじゃいました。ありゃりゃ?


『まあまあ、その辺にしといてやりなよ』

『そうだな。そろそろ作るぞ』

ドワーフさんたち、くくって笑いながら言います。

そうでした。


「がんばりぇ~!」

フレーフレーっ!楽しみだね~♪


『おっしゃ!じゃあ、いくぞ~』

『トレントさん、悪いけど石よろしくね』

『⋯⋯』こく

「まかしぇちぇ!ゆってりゅ!」

『うん。今のはなんか分かったな』

『そうだね』

そう?


トレントさんがドワーフさんたちの指示の元、大体の位置に石をそっと置き終わると、

『⋯⋯』こてん

「こりぇでいい?ゆってりゅ」こてん

『うん。そうだろね』

『なんか、わかる気がするな』

『ふふ。サーヤちゃんの頭まで』

『一緒に、こてんってしてるしね』


おお!みんなが分かるように?

サーヤの頭は、ありゃ?ほんとだね。とにかく


「とれちゃん、よかっちゃね」

『⋯⋯』こく

「うれちい!ゆってりゅ」

『うん。そうだね』

『俺らも嬉しいぞ』

よかったね~


〖はいはい。次行きましょ〗

ジーニ様が苦笑いです。


『おう!そうだな!じゃ、いくぞ!』

『そうだね』

そういうと、それぞれ石に手を置いて、なんか集中してます。


「うにゅ?」

何するの?

〖ふふ。サーヤ、しっかり見てるといいわよ〗

「あい」

なになに?


ドワーフさんたちが、次の瞬間、

『ふんっ!』

と言うと、ゴゴゴゴゴっと光と一緒に大きな音が!

うっすら目を開けて頑張って見ると下の方から石が形に!


「ふお~?」

〖流石ね〗

なになに~?


『うん。こんなもんかな?』

出来上がったのは石でできた大っきなコンロ!上に炭が入れられるようになってます。


〖サーヤ、あれが錬成よ。簡単にやってるように見えるけど、これだけ大きなものを作り出せる者は、極わずかよ。恐らく、ここにいるドワーフと親方兄弟位じゃないかしら?〗

「ほえ~」

すごいね~


『よしとくれよ~』てれ

『この位なら里にいるもんでも出来るさね』てれ

『それにまだまだだしね』てれ

『これからが本領発揮ってのに、その前に誉められちまったらな』てれ

『『『『やりにくいじゃないか(ね)~』』』』てれてれ


〖あら、それは申し訳なかったわね〗くすくす

「うにゅ?」

なんか、変わった照れ方だね?あれ?でも、まだ完成じゃない?


『おし!鉄板は任せろ!』

『テーブル部分は私だね』

『椅子と足台は私らだね』

『そうだね』

ん?足台?


そしてまたもやトレちゃんが、今度は鉄鉱石と魔鉱石を少し?おっちゃんの前に優しくそっと。木材をおかみさんたちの前にやっぱりそっと置いてくれました。

トレちゃんは気遣い屋さんです。

『⋯⋯』

手をすって出してます。


『ワハハ!どうぞ!ってか』

『ありがとね』

おお!通訳なしになりました!


〖う~ん、多分トレちゃんが、みんなに分かるようにしてくれてるような?〗


そうですか?それはそれで、

「とれちゃん、しゅご~。いいこいいこ♪」

『⋯⋯』くねくね


『照れてるな』

『照れてるね』

〖そうね~〗くすくす



『よし!仕上げだな!ふんっ!』

『『『それっ!』』』

またまた、パーッと光が!


おお!

『おしっ!どうだ?魔鉱石混ぜたからな!形も変えられるぞ!』


ほえ?


『テーブルいいね!さすがトレント材だね!ツヤもいいし、何しろ丈夫でちょっとやそっとじゃ燃えないしね!』


そ、そうなんだ?


『火の周りに使うにはこれ以上のもんはないよ!』

『足台はこんなもんかね?サーヤちゃん!ちょっと来ておくれよ』


「うにゅ?」

手招きするドワーフさんたちのところに行くと


「ふお~?」

〖あら!〗


すご~い!!

背もたれ付きのちびっ子なら四人くらい座れそうな長椅子です!だけど、それだけじゃありません!お子ちゃま用の高い座面の椅子になってて、端っこに階段が付いてます!


「しゅごいしゅごい!」

これなら一人でおすわり出来ます!

「じーにしゃま!じーにしゃま!」てしてし!

〖ふふっ。はいはい。行ってらっしゃい〗

「あい!」

ジーニ様に下ろしてもらって、一人で「よいしょ!よいしょ」と、階段を使って椅子に座ります!


「できちゃ~」バンザーイ!


ぱちぱちぱちぱち!みんなが拍手してくれます!

〖良かったわね~〗

「あい!」

ジーニ様が頭なでなでしてくれます。


『これならサーヤだけじゃなく、ちびっこたちも楽だな』

「あい!」

ギン様も感心してます。


『山桜桃ちゃんたちがお世話しやすいように、この階段は一応、畳めるからね』

『足、引っ掛けたら危いからね』

『四角く作ったから両脇と前から手伝えるだろ?もちろん角は丸く落としてあるよ』

おかみさんたちが、ふふんって説明してくれます。


『『ありがとうございます!』』

「あいがちょ~」

すごいすごい!


『鉄板は魔鉱石使ったからよ、必要に応じて、魔力通せば形を変えられるぞ。網とかな。まあ、一応、別に網も作ったけどな』


お~!こっちもすごいすごい!

「あいがちょ~!!」

〖ほんとね。いいものをありがとう〗

ジーニ様もニコニコしてお礼を言います。


『よしとくれよ~』

『このくらい、なんでもないんだからさ~』

『だよね~』

『て、照れちまうぜ』

ドワーフさんたちも、モジモジです。


『あ、あの、作業台もありがとうございます』

『とっても素敵です!』

『では、早速、お昼の準備しますね!』

『皆様、少々お待ちください!』

『『では!』

ばびゅんっと言うだけ言って、山桜桃ちゃんたち走って行っちゃいました。


「さーやみょ、おてちゅだい、しゅる!」

よいしょ、よいしょ、階段にお手手をついております。


『ありゃりゃ、これじゃ、おしり丸見えだね』

『手すりつけた方が良かったかね』

『改良の余地ありかね』


ありゃりゃ?だ、大丈夫だよ?

さあ、ホットケーキパーティーだよ~♪


☆。.:*・゜☆。.:*・゜

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