第166話 あぁぁ

テーブルの上は、サーヤが広げたものでいっぱいです。

フゥとクゥは落としたり失くしたりしないかハラハラしながら見守ってます。

絹さん親子は裁縫道具や布に興味津々です。ジーニ様と結葉様は、手鏡やつげの櫛、それと一緒にあった椿油に興味があるみたいです。


『ねえぇ?サーヤ、この櫛でサーヤの髪とかしてみていいかしらぁ?』

結葉様がサーヤの柘植のお櫛を手に取って、なでなでしてます。お顔もなんだかうっとり?

「いいよぉ」

さぁどうぞ!

サーヤはしゃきっと背筋を伸ばして準備オッケーです。

そしたら、おいちゃんが


『つげの櫛はな、毛先をまずほぐすようにとかして、それから徐々にとかしていくんだよ。最終的に頭皮に軽く当てるようにしてとかすとマッサージ効果があるんだ。椿油が染み込んでいるから髪をツヤツヤにするしな』

「あっ!おいちゃん…」

サーヤの髪が間違ったとかし方で傷んだら大変だと結葉様に説明しちゃいました。サーヤのためだからうれしいけど、でも、最後の一言は…


『ゲン、うかつすぎるわぁ』

結葉様はサーヤの髪をおいちゃんが教えてくれた通りに、の~んびりとかしながら言います。

『え?なにが…?』ハッ

「お、おいちゃん…」

おいちゃんが何かに気づいて固まりました。その何かとはもちろん…


〖ゲン、今なんて言ったのかしら?〗ゆらり…


『え?』

あわわわわ…おいちゃんが


『とかすだけでツヤツヤになるんですか?』ゆらり


『え?あ、あぁ』

あ~。やっぱりジーニ様とフゥに捕まっちゃった…。そして、

『あらぁ~。ほんとにツヤツヤになるわぁ。光の輪っかまで出来ちゃったわぁ♪』うふふ

と、のんきな声でトドメの一撃。それは天使の輪だけど

「む、むすびはしゃま…」

今の、わざと…

『うふふふ。何かしらぁ?』にこにこ

なんでもないです…


〖ゲン〗

『ゲンさん』

そうこうしてる間にも、美の探求者となってしまったジーニ様とフゥのコンビがおいちゃんをジリジリと追い詰めています。

『お、おう?』

おいちゃん、汗だらだらだよ…


〖私たちにも〗

『もちろん』

〖作ってくれるわよね?〗

『ますよね?』

ずずいっとおいちゃんに迫るジーニ様とフゥ。お顔ごっちんこしそうです。おいちゃん、逃げて~


『あ、あぁ。わ、分かった。けど、俺は職人じゃないから…』

『〖大丈夫(です)よ〗』


あああ、あれはダメだ…

きっと、職人さんが作ったようにはいかないと言いたいんだろうけど


『い、いや、だから、な』

『〖大丈夫。頑張って。ね?〗』

『は、はい』

ツッコミ気味にジーニ様とフゥに遮られてます。

あ~ぁ。やっぱりぃ。逃げられないやつだ~。すごい圧です。


『うふふ。サーヤ、他人事じゃないと思うわよぉ』

結葉様が嬉しそうにサーヤの髪の毛とかしながら言います。時々『うふふ。つやつやねぇ♪きらきらだわぁ』とか言いながら…


「うにゅ?」

なんでサーヤも?

『うふふ。だってぇ。その材料はどうするのぉ?』

結葉様はお櫛をサーヤに見せるようにキラキラお日様に反射させます。

「ふあっ」

そろそろそろっと顔を背けようとすると、ギラッと光るお目目が四つ…

「ふえっ」

ち、近寄ってくる~ぅぅ

ぽんっ「ふにゃっ」

肩をぽんっされましたっ


『サーヤ、どうしたの~?ふふ』

〖そうよぉ。そんなにおびえないで?ふふ〗

こくこくこくこく

逆らっちゃいけない気がします…

『ゲンさんと』

〖一緒に〗

『〖がんばってね♪〗』

こくこくこくこく

絶対に逆らっちゃダメなやつです…

『うふふ~♪サーヤ、ついでに私の分もお願いねぇ♪』

「あ、あい」

結葉様、一番ずるい気がします。


『ねぇねぇ、サーヤ、これはなぁに~?』

はっ!癒しと救いの声がします!

「はく~」

もふもふさせて~もふもふ~

『これ、なぁに~?』

ハクがつんつんしてるそれは、

「しょりぇはにぇ~、おちぇぢゃま」

ぼふんっハクに抱きつきます。は~癒されます。もふもふです。

『お手玉な』

これ幸いと逃げてきたおいちゃんも話しに加わります。

『おてだま~?』

ハクがまだつんつんしてます。

『そう。こうやるんだよ』

そう言っておいちゃんは、まず両手でふたつのお手玉を回し始めました。それが三つ、四つとどんどん増えていきます。

「しゅご~い」

さすがおいちゃんです。サーヤはふたつしか出来ません。でもおいちゃんは、今度はそれを片手で回し始めました。

「しゅごいしゅご~い」ぱちぱち。

おいちゃんはこういう遊びの天才です。


『すご~い』

ぴゅいきゅい『『どうなってるの~?』』

『『目がまわる~』』

『『『ぐるぐる~』』』

『器用ねぇ』

空中でひょいひょい回ってるお手玉を、ハクも双子も結葉様も感心してすっごい真剣に見てます。おいちゃんに穴があきそうです。

フルーとフライ、それから妖精トリオは一緒に頭を回してたみたいでフラフラしてます。大丈夫?

そして、おいちゃんがピタッと止まりました。お手玉もひとつも落とさずキャッチです!ぱちぱちぱち。

「しゅご~い!」ぱちぱちぱち!

『すごいね~』

ぴゅいきゅい『『うん!』』

みんな拍手喝采です!

『『ぐらぐらする~』』ふら~

『『『せかいがまわる~』』』ふらふら~

フライ、フルー、妖精トリオはふらふらしてます。回るものをそんな見方しちゃダメだよ。


『そ、そうか?』

おいちゃんてば照れ照れです。ふへへへ

『サーヤ?食後のデザートはなくていいんだな?』

「ごめしゃい」

デザートください。


『こほんっ。この箱はサーヤのおもちゃ箱だな。お手玉に、けん玉に、おはじきにビー玉、コマに、竹とんぼ。縄跳びに、ゴム段…けっこう入ってるなぁ。これは、カルタとトランプかぁ』

「あい。いっぱい!」

みんなで遊ぼうね!


『竹とかあれば、竹馬とかぽっくりとかも作れるかな~そしたら、みんなの分も作れるしな』

おいちゃんはみんなの分も作ってくれるみたいです!優ししいです!

『ぼくたちにも、何か作ってくれるの~?』

『そうだなぁ。ハクたちが出来るやつも考えような!』

『わ~い!ありがとう~』

ぴゅいきゅい『『ほんと?』』

『『ぼくたちも?』』

『『『やったぁ!』』』

良かったね!みんなで遊べるね!


『じゃあ、こっちは?』

『これは何をするものですか?』

フゥとクゥが見ているのは

『それは折り紙だな!』

「ちゅりゅちょか、おりゅにょ」

作ってみた方が早いと、二人で鶴を折る。ただし、サーヤは普通の。おいちゃんのはひと味違う。連鶴だ。しかも速い。

『すごいわねぇ~』

〖さっきまでただの四角い紙だったのにね〗

結葉様とジーニ様もおいちゃんの手に釘付けです。


『そういえば、この世界、紙ってあるのか?』

おいちゃんが聞くと

『あることは、あります。ですが、もっとぶ厚くて、硬いですね』

バートさんがこんな薄くて柔らかい物は見たことないと感心しています。

『じゃあ、字を書いたりは?』

お道具箱に入っているえんぴつで、字を書きながらおいちゃんが聞きますが

『一応出来ますが、そのようものはございません。鳥の羽と、インクですね』

バートさんがものすごく、鉛筆を眩しそうに見てます。


『そうかぁ。紙は貴重なんだな。和紙なら作れるかな~。鉛筆はさすがに作ったことないしな』

『サーヤの異世界辞書でわかるのではないですか?』きらり

ん?バートさん?

『あっそうか!』

その手があったか!と納得してるおいちゃん。でも、おいちゃん?バートさんのお顔…

『完成した際は是非私にもお願いします』にっこり

ほら…すごい笑顔だよ。

『え?まだ作るとは……』

『お願いしますね』にっこり

言ってないと言わせてももらえないおいちゃん…

『は、はい』

「おいちゃん……」

がんばって?

『サーヤ、頼むぞ?』

「う?」

何を?頑張るのはおいちゃん…

『う?じゃない。材料頼むな』

「ふあ!」

それがあった!?

『よろしくお願いいたします。ね?』にっこり

「あ、あい」

そ、そんな…ここにも逆らっちゃいけない人が…


『あらあら~作るものたくさんね~』

結葉様……やめてください。シャレにやらない気がします。がっくり…



☆。.:*・゜☆。.:*・゜

遅くなりました。すみません。

お読みいただきありがとうございますm(*_ _)m

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