70日目 ハイカラな和装セット(表編)

ログイン70日目


 それでは今日も今日とてはりきって生産作業に勤しむとしましょう。次は小物作りの後半戦、【厚底草履】から。



≪レシピ:厚底草履≫

①【コルク材】

②コットンクロス等→【ツリーコットン(赤)】

③【中綿】

④皮革等     →【対角牛の革(エナメル・黒)】

⑤-



 コルク材はソール部分に、コットンクロスは鼻緒、中綿は鼻緒の芯材、そして皮革は土台部分全体を覆うための素材なんだろうね。


 傘や着物が派手だから、足元はシンプルに黒の台と赤の鼻緒で作ることにした。

 因みに革のエナメル加工は自分でやってみた。仕立屋のスキルの中に【コーティング】っていうのがあって、【透明塗料】があれば簡単にできちゃうんだ。

 機能性に関しては現状そんな拘る必要性もなさそうなので、手持ちの端材で済ませてしまうことに。草履アイテムは[凍土]、[岩地]、[砂地]において効果を発揮するっぽいんだけど、今のところ活躍する目途も立ってないんで。


 最後に【ツリーコットン(白)】を使ってオーソドックスな【足袋】を作製。

 よーし、これで足元の準備も完了。


 さて、こういった小物も含め、今までに作ってきたパーツ達を作業台の上に並べて考える。

 これらアイテム達の纏め役と言っても過言ではない、視点の中心、“帯”。どんなデザインがいいだろうか?

 傘の裏地にも着物本体にも柄が散っているので、やはり全体を引き締める役割は持たせたい。

 けど、無地だとか、あまりにシンプルな図柄だとそこだけ浮いてしまう可能性もある。ある程度バランスよく周りに馴染ませることも必要だ。


 というわけで私は、モノクロで大きな花の紋が描かれた【イデアクロス( ・`ω・´)】を選んだ。

 イデアクロスは[発想]上昇の布ね。私個人の発想ステータスは飛び抜けて高いので、全然足りてる値ではあるんだけど――――――まあここまでくると、やっぱデザイン重視になっちゃうよね。

 帯揚げからは紅色と金色のストライプ柄をチラ見せ。帯締めには金と白を織り込んだ組紐に、紫陽花あじさいを象ったプラチナパーツを帯留めとしてあしらう。


 うん、いいね。ぱっと見は伝統的で古風な印象ながら、随所にモダンなモチーフやファンタジックな遊びのきいたネオ和装になったと思う。

 それじゃ、すべての作業を終了、っと。次はアイテムの命名画面――――――かと思いきや、意外にもこんなダイアログが現れた。



セットアップ可能なアイテムがあります。セットアイテムにしますか?

→・する

 ・しない



 私は首を傾げる。いや、この問いかけ自体は見慣れに見慣れた文章なんだけど、今回の製作で表示されるとは思わなかったんだよね。


 前の菖蒲霞の着物セットを作ったときなんかは既存のレシピにない半ズボンを加えたり、帯もオリジナルで仕上げたから、本体とズボンと帯の三つがそれぞれ独立したアイテムと認識された。


 けどこのたびの服飾アイテムは、元のレシピから独立したもの且つ同系統のアイテムというのを作ったりはしていない。

 帯と帯周りの小物は元々【振袖着物・女性用】のレシピに含まれているからね。型紙を改変したりもしていないし、普通なら全部合わせて、『振袖着物』という単品アイテムになるはずなんだ。

 足袋もあるっちゃあるけど、着物とは別素材だし……。

 それがどうして、セットアップが可能になったというのだろう?


 疑問に思うも、とりあえず『・する』を選んで次に進んでみる。

 そうして並んだ項目に、私は目を瞠った。



 セットにするアイテムを選んでください

→・振袖着物・女性用

 ・番傘

 ・厚底草履

 ・足袋



 ……え、『番傘』と『厚底草履』って、工芸アイテムじゃん! 今までの法則でいくと他職業どうしのアイテムはセットアップにならないはずなのに、何で?


 それに足袋も。

 同素材のアイテムで作ったんならともかくとして、足袋に使った【ツリーコットン(白)】は他のアイテムと系統が一致するとは言い難い。

 強いて言うなら草履の鼻緒に同じコットン地を使用してはいるけれど、だとしても着物と番傘まで一括りにされることの説明がつかない。


 全部に共通するものがあるとしたら……同じ和装シリーズってところかな?

 けど、であれば、先の市女笠セットなんかにもこの現象が起きていいはずなんだよね。他にも和服と工芸小物を併せて作ったことはあったものの、両方をセットにできたことはない。


 私、今までの作業と何か違うことを今回やっただろうか――――――。と、目の前に表示されたパネルを眺めながら記憶を遡っていくと、ふと一つのことに思い当たった。

 そうだ私今回、ちょっと変な手順で製作してたんだった。


 最初着物から作り始めて、帯に取りかかろうとしたところで、いや待てよ先に小物作ったほうが後からバランスを整えられるぞ、って思い直したんだよね。

 で、作り途中だった着物を一旦脇にどけて、番傘、草履、足袋を作った。

 そして今度はそれら小物を脇にどけて、もう一度着物の作製に戻った。

 最後、全部のアイテムを合わせて確認をした上で、作業終了のコマンドを押した。


 うん、違う。普通だったら私、工芸アイテムは工芸アイテムで作業終了、裁縫アイテムは裁縫アイテムで別々に作業を終了していたはず。

 なんか無意識にそういうもの、って思い込んでたんだよね。でもその感覚も別に間違ってはいないだろう。

 だって今までセットアップの選択肢が発生したのは、どれも同じ素材を使ったときだったから。別職業の生産品って、大概が素材から違うものばかりだものね。


 けど今回は一つ一つのアイテムよりも全体のコーディネートを強く意識して作っていたから、工芸製作を完了した後で作業終了を指定することすら、すっかり忘れてたんだ。

 で、被服製作もすべて終えた今の段階で作業終了を指定したら、全部一緒くたに精算された、と。

 どうもここがポイントっぽいなあ。


 他にも何かあるのかもしれないけど、まあいいや。今はこの生産物達を、システム的にもちゃんと完成させることのほうが先決である。


 それでどれをセットに加えるか、ということだけれど――――――私にとってセットアイテムの利点は何より、製作時間と費やした手数を増やせることである。

 即ちセットアイテムを増やせば増やすほどに、ミラクリ発生を確実にできるということだ。

 だから着物と傘と草履には当然チェックを入れるとして。


 ……ただ、足袋はレシピとスキルでぽんと作ったやつだから、全然手間かかってないんだよね。これを入れたところで、違いはないに等しいと思う。

『セットアイテムは特装スロットの枠を圧迫する』。うん、足袋は入れるべきではないね。


 よし、それじゃこれで、ほんとにほんとなかんせ~~い!



【ハイカラな振袖着物】

品質:★★★★★

テクノクロスで作られた服。

主な使用法:装着

効果:技術+290

消耗:430/430

習得可能スキル:おねだり

(おねだり:任意発動スキル 消費20~ 可愛く物乞いをする)

セットボーナス:発想+290 習得可能スキル:散傘さんさん倍返し

(散傘倍返し:条件発動スキル 消費20~ ≪傘≫アイテム使用時限定で発動 確率で相手からの攻撃を三倍にしてはね返す)


【ハイカラな番傘】

品質:★★★

雨の日用の傘。護身具。

主な使用法:装備

効果:力+70 フィールドギミック[雨]耐性(中)

アビリティ:傘技

装備条件:力50~ 

消耗:210/210

セットボーナス:発想+290 習得可能スキル:散傘倍返し


【ハイカラな厚底草履】

品質:★★

岩地に強い靴。

主な使用法:装着

効果:フィールドギミック[岩地]耐性(小)

消耗:160/160

セットボーナス:発想+290 習得可能スキル:散傘倍返し



 ……え? なんか、スキル二つ付いてない……?

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