第49話 盗賊....やめようね
「完敗だ.....まさか10にも届かぬ幼子に負けるなんて.....男として恥ずかしさでいっぱいだ、だけど、それよりも完敗したことによる清々しさの方が勝るのかな......」後頭頭を掻きながら折れた剣を地面に置く盗賊。もう戦う気はないようだが油断させる罠かもしれないので用心はしておくことに越したことはない。
一応拘束しとくか。
「そうですか.....まぁ、いい感じの勝負だったんで、自分も満足です。」
最後は割とあっさり目だったけどね。
「それで、今縛ってるけど俺を衛兵に突き出すのか?べべ《お嬢ちゃん》」
「負けたくせに生意気言わないでください。この髭面盗賊」
フードを取った盗賊は手入れをしていないのか髭面で何だか
「盗賊は分かるけど、髭ずらはひどくない!?」
抗議しながらも髭面なことは分かっている盗賊は
「うるさいですよ髭、衛兵に突き出されたいんですか?」
「くっ....卑怯な!」
卑怯で良いんだよ。舐められたら終わりなんだからさ。
もっと対応を悪くしても良いんだよ?だってアンタ盗賊ジャン
「なんか口悪くなってない?」
気付かれたかーそりゃ気づくよなぁ
「負けた髭盗賊にはこれくらいで十分です。立場をわきまえてください」
それに...あまり一緒にいるとこの人の仲間かと思われちゃう可能性があるのでね。
「よし、縛り終えた。」
そんなこんなで木の幹に盗賊を縛り終えた私は連れてきてくれたティアナさんがいない事に気がついた
そういえば、ティアナさんは何処へ行ったのだろうか。そんな遠くには行ってないと思うんだけどね。
さっきから見当たらないのだが....む?鉱石を沢山背負ってる騎士っぽい人....あれかな?多分
「おーい、決闘も終わったっっぽいし、撤収するぞー」
決闘をしている間、暇だったのか周りのゴーレムを襲いまくり鉱石大量ゲットでホクホクのティアナさんは早く換金したくて堪らないと言った感じの表情をしながら右手を振って急かしてくる。
「了解です。ティアナさん」
あぁ、そうだこれだけ言っておこうか。
後ろで座り込んでいる盗賊に振り向き私はこう言った。
「今回は見逃してあげるけど....今度盗賊なんてしたら....その時は....」
腰につけた小さなナイフをチラリと見せる
「その時は....」
「ゴクリ....」
「地下で一日中鉱石掘りなんてどうです?報酬は銅貨一枚で働いてもらうからね」
「超ブラックじゃん!?」
「給料安いよ、休憩ないよ、賄いないよ!!」
「もっとひでぇ!?」
わははーそうだろうそうだろう。某金融会社より酷いぜ!
つづく
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