序章〜死後の世界にて~ 

 「――ようこそ、死後の世界へ。朱羽遊あかばねゆう君、キミはつい先程不幸にも事故に巻き込まれ命を落としてしまいました。十六年というとても短い間でしたが、キミの人生は終了したのです。お疲れ様でした」


 そんな台詞を、あたり一面が白い光で覆われた空間の中、対面の椅子に座る見知らぬ少女から唐突に告げられた。当然だが、突然のことで全く理解が追いついていない。


 もし、この世界に神というものが存在するのであれば、きっと目の前の相手のことを指すのだろう。テレビなどで見る俳優やアイドルとは、次元が全く異なる美貌。 淡く光る柔らかそうな純白の髪。そして、この圧倒的なまでの存在感。

 年は同じくらいだろうか。出過ぎず、足りな過ぎずな完璧な躰は、淡く光る滑らかな生地に覆われている。その美少女は、髪と同じ色の瞳をパチパチとさせ、状況が掴めず固まったままの状態の俺をじっと見ていた。


(人生が終了したって……死んだってことだよな…?)


 困惑しながらも、俺は今日の出来事を思い出すことにした。


……人付き合いが苦手で、ここ数年は人と関わることを極力避けるようにしていた俺は、所謂いわゆる《ぼっち》と呼ばれる人種だった。基本的に学校と食事の買い出しの時以外は滅多に家から出ない引きこもり気味の俺は、必需品以外の買い物はネット通販だよりなのだが、今日は珍しく早朝から外出していた。今日発売のとある人気ゲーム会社の新作ゲームを手に入れるため、早朝から電車で近くのソ○マップへと向かい、開店前から既に出来ていた行列に並んでいたのだ。いつもならば、ゲームを買いに外出をすることなどあり得ないが、今回は

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