第9話 話し合いの国
その国は何でも話し合いで解決した。
その国の住人は、いざこざが起きると連日話し合い、妥協点が見つかるまで努力した。
それゆえ、その国はずっと平和だった。
しかしそんな平和な国に、異物が生まれた。
「話し合いなんてめんどくさいゼ。文句言う奴の首を刎ねた方が手っ取り早いゼ」
「待て、話し合おう。話し合えば全て丸く……」
「うるせぇ!」
意見が対立したとき、その相手の首を刎ねる。
彼らはそれを「説得」と呼び、説得派を自称した。
「俺たちに文句ある奴はいねぇか~?」
刃を片手に、説得派が周囲を見回している。
そこに、話し合いの国の住人の一人が進み出てくる。
「話し合お……」
「はい黙れー」
説得派は刃を振り上げ、容赦なく話し合いを求める者に振り下ろした。
その国は混乱した。
何故なら話し合い以外の問題解決手段を、その国の人々は持たなかったからだ。
突如生まれた異物である説得派の暴挙に成す術もなく征服されていった。
話し合いは自分の隣に首なし死体を並べられるという説得方法には勝てなかったのである。
かくして話し合いの国は一部の特権階級が国民を説得することで国をまとめる説得の国に変貌した。
一般には「暴力の国」と呼ばれながら。
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