第261話 当たり種族とわんちゃん

「・・・っぐ・・・ふぅ」


 進化が終わると、俺の体には何時もの如く体に力が滾っていた。恐らくグーンとステータスが上がったのだろう。

 俺はどれほど上がったのかを確認すべく、ステータスを開いた。



 名前:一狼

 種族:ウルフオリジン

 年齢:1

 レベル:1

 str:1715(201↑)

 vit:1454(136↑)

 agi:1867(203↑)

 dex:1997(103↑)

 int:2296(132↑)

 luk:1167(125↑)

 スキル:雄たけび 咬みつき ひっかき 鑑定 氷魔法 念話 守護の壁 火魔法 集中 調理 統率 教練 黒風 魔導の心得 索敵 隠蔽 シェイプシフト 話術 騎乗(被) 色香 合魔 ぺろぺろ ≪進化特典・選択≫

 ユニークスキル:ワンチャン 神つっこみ レモンの入れもん

 称号:元最弱犬 転生者 ダンジョン1階層突破 特殊進化体 群れの長 軟派者・改 スケベーヌ



「おぉ・・・上り幅がでけぇ・・・strとagiなんて200も伸びてる・・・」


 ステータスを見た俺は感動していたのだが、『そう言えば・・・』と、もう一つの感動要素である進化特典スキルを確認する事にした。



 ≪進化特典・選択≫

 ・3つ のスキルの中から一つ選択して取得できます。

『原初の波動』『韋駄天』『狼牙狼爪』



 進化特典スキルを確認してみると、なんと数が3つもあった上に全部マトモ・・・というか格好良かったので、俺はウルフオリジンと言う種族をまごう事なき勝ち種族へと認定した。


「っひょーぅ!ウルフオリジンクッソ当たりじゃん!!」


「ごぶ?当たりごぶ?」


「おう!あ、そういえば俺の姿って変わってる?格好良くなってる??」


 更に進化後の姿を聞くと、『若干シュッとした。大きくなった。毛並みがさらに良くなった』と、これまたいい事ばかりしか言われなかった。

 なので俺はウキウキしながら、進化特典スキルの事も話してやった。


「ごぶごぶ。確かにどれも名前が格好いいごぶ」


「効果も良いのじゃぞ?」


「お?」


 するとスキルの詳細をニアが知っていた様で、俺はそれを尋ねてみた。

 それによると・・・


 ◎原初の波動

 ・自身と味方にはバフ、敵にはデバフを掛ける事が出来る。

 ◎韋駄天

 ・スピードが物凄く上がる。

 ◎狼牙狼爪

 ・強力な噛みつきとひっかき。離れた場所へと牙と爪の衝撃破も飛ばせる。


 と、この様な感じだった。


「あぁ~!どれにしようかなぁ~!?迷うなぁ~!!」


 どれも名前が格好いい上に効果も良いので、俺はニコニコが止まらず尻尾をブンブンさせ、良スキル達を舐め回す勢いで眺めた。

 しかしだ、ここで取れなかったスキルは次の選択肢に出てこない事もあるので、慎重に選ぶ必要がある。


「ん~・・・バフデバフとか地味だけどめっちゃ重要だし、スピードは上げれば色々応用聞くよなぁ。いやでも単純に攻撃手段を増やすってのもありっちゃありでぇ・・・ん~~~・・・」


 俺は脳をフル回転させながら考え、途中でごぶ助やニアの意見も聞いたりしながらどれを取るか考えた。


 そうして考える事30分ほど・・・


「よし!お前に決めた!ぽちっとな!」


「ごぶごぶ。おめでとごぶ」


「おう!ありがとうな!」


「うぅむ・・・やはり卑怯臭いのぉ。あれだけで『原初の波動』を習得してしまうとは・・・」


「まぁな!けど偶にネタみたいなのブッコまれるからなぁ、一長一短だとおもうぜ?」


「ふむ」


 悩みぬいた末、俺が選んだのは『原初の波動』だった。

 理由としては、『対象が大勢』『スキルでお手軽バフデバフが魅力的』『他の2つに比べ、自力で修得しようとした時に難しい』等々だ。そしてこれらの情報だが、殆どニアから教えてもらったので後で礼を言っておこう。


「っし!ごぶ助!早速試しに行こうぜ!」


 だがしかし、今は何より効果を試してみたかったので、俺はごぶ助へとダンジョンに行こうと提案した。


「ごぶ。試し切りごぶな。行くごぶ」


 ごぶ助としても否は無かったみたいなので、俺達は悪鬼ダンジョンの30階層へと移動する。

 そして30階層へと到着すると、『索敵』を使い敵の位置を探った。


「ふむ・・・あっちにいるか。よし、取りあえず乗ってくれごぶ助」


 運が良い事に直ぐ近くで反応があったのでそこへ向かう事にしたのだが、俺は早速新スキルを使う事にした。


「ごぶ」


「んで早速・・・『原初の波動』発動っと」


「・・・ごぶっ!むずむずするごぶ!」


「へぇ?」


『原初の波動』を発動させると体から靄の様なモノが出て来たのだが、それに当たると体がムズムズする様だった。恐らく効果が出ているのだと思うが・・・


「ステータスにも表示されるんかな?あ、そう言えばウサギ倒してから確認してなかったし、ついでに見てみるか」



 名前:ごぶ助

 種族:ゴブリンオリジン・覇種

 年齢:4

 レベル:32(10↑)

 str:2359(600↑)

 vit:1877(480↑)

 agi:1954(480↑)

 dex:1690(380↑)

 int:1283(300↑)

 luk:1507(360↑)

 スキル:パワーアタック 覇王剣術 アイテムボックス 一点集中 調合 武具同調 チャネリング 察知 精霊術 オーラブレード 騎乗 斬鉄刃

 ユニークスキル:覇王

 称号:ダンジョン1階層突破 特殊進化体 世界樹の同調者 迷宮『ポンコ』の守護者 覇王(仮) 100%天然ゴブリン ラッキー☆ゴブリン



「ぽぇ・・・?」


 ごぶ助のステータスを見た俺は思わず変な声を出してしまったのだが、俺は悪くないと思う。なんせごぶ助のステータスがビックリするくらい上がっていたのだ。


「レベル上がりすぎやろ・・・っていうか、そういうシステムだったのか」


 そしてこの事により、レベルは『進化が出来るようになると、そこで一旦レベルは上がらなくなる』というシステムだったと初めて知る事となった。というか?というかだ!そんなシステムになっているという事は・・・


「それって俺の方は経験値めっちゃ無駄にしたって事じゃんかよぉぉおおお!!うわぁぁぁぁん!!」


 俺は気づいてしまった事実に嘆いてしまった。だが少なくとも8レベル分は損失しているのだ、許してほしい。


「『いぇーい!ラッキー!』とか思ってたけど、全然ラッキーじゃねぇじゃぁぁん!チックッショーーーゥ!」


「ごぶ?どうしたごぶ?」


「どうしたもこうしたもねぇ!俺は自分の不運を嘆いているんだぁぁああ!!」


「ごぶごぶ。不運ついでに、団体がお出ましごぶ」


 そうやって嘆き叫んでいると、当然と言うべきだが敵が寄って来てしまった様だ。

 しかもだ、30階層に現れるのはほぼ遭遇する事がない『幸運ウサギ』以外だと『剛鬼』という数は少ないが強い敵しかいなかったのだが、どうやらそいつが団体さんとなって押し寄せて来ていたみたいだ。


 しかしだ・・・


「・・・いや、それは違うなごぶ助」


「ごぶ?」


「この場合はな・・・んだよ。なんせ俺は今・・・無性に何かにたくて仕方がないんだ!」


 今の俺にはそいつらがサンドバッグに見えて仕方がなかったので、俺は喜び勇んでそいつらに飛び込んで行った。



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 作者より:読んでいただきありがとうございます。

「面白い」「続きが気になる」「まともな種族にスキルだと・・・!?」等思ったら☆で高評価や♡で応援してください。

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 こちらも連載中です。↓『悪役令嬢は嫌なので、魔王になろうと思います。』

 https://kakuyomu.jp/works/16816927860702355532

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