第16話毒
それから夕食を皆でいただこうと言うことになり、父様、兄様、私、ソニアで食卓を囲んでいる。
「ロベルト様。ミレーナ様は本当に、お綺麗な方ですわね」
「そうだろう?自慢の妹なんだ」
「やめてください」
「あはははは!ロベルトは特に、ミレーナを大切にしているからな!」
そんな会話の中、料理が並べられる。
こちらの食事は洋食ばかり。
これはこれで美味いんだが、たまには和食が食べたいと思う自分がいる。
ま、そんな事到底言えんがな。
「それでは、いただこう」
父様の合図で皆が料理に、手を付け始めた。
スープにサラダ、メインには魚が並んだ。
相変わらず豪勢な食事だ。
しばらく、会話と料理を楽しんでいた。
「うっ!!」
「レーナ!?どうした!?」
しまった……。毒か……?
そう思ったが、身体が動かずその場にたおれた。
「レーナ!!!」
「誰か!!早く医者を!!」
兄様と父様の叫ぶ声が聞こえたのを最後に、意識が途切れた。
※
……ん?……生きてるのか?
意識は戻ったが、瞼が重く開けれない。
しくったね。こんなことなら、毒も慣らしとくんだった。
「…………だから」
誰かいるな。
声が遠くて上手く聞き取れん。
「……何してん………殺せ……」
不穏な言葉が聞こえたね。
ターゲットは私かい?
しかし、今はまずい。身動きが取れない。
──今回はここまでかね。
「レーナ!!」
「………っ!!?」
助かった。兄様いいタイミングだ。
今までいた奴の気配が消えた。
逃げたか……。
それにしても、一体誰だ?
ミレーナが毒に倒れるなんて、原作に書かれていないから犯人がわからん。
今回の人生では人に恨まれるようなことはしていないはずだが?
ふふっ。だが面白い。売られた喧嘩は買うのが流儀。
「レーナ!レーナ!お前がいなくなったら私は……!!」
「ロベルト、医者は命に別状はないと言っている。あとはミレーナを信じよう」
大丈夫。生き延びてやるさ。
だから、静かにしてくれ。
「……サラ。レーナの事を頼む」
「……お任せ下さい」
兄様と父様の気配が消えた。
「……ミレーナ様……なぜ、このような事に……」
サラ……?
「ミレーナ様……早く目を開けてください……いつものように、サラを呼んでください……」
サラの声が震えている。泣いているのか?
一人の人間の為に泣いてくれる人がいる。心配してくれる人がいる。
ああ。愛されているのだな。
──目が開いたら最初にサラを呼ぼう。
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