第16話毒

それから夕食を皆でいただこうと言うことになり、父様、兄様、私、ソニアで食卓を囲んでいる。


「ロベルト様。ミレーナ様は本当に、お綺麗な方ですわね」


「そうだろう?自慢の妹なんだ」


「やめてください」


「あはははは!ロベルトは特に、ミレーナを大切にしているからな!」


そんな会話の中、料理が並べられる。

こちらの食事は洋食ばかり。

これはこれで美味いんだが、たまには和食が食べたいと思う自分がいる。

ま、そんな事到底言えんがな。


「それでは、いただこう」


父様の合図で皆が料理に、手を付け始めた。

スープにサラダ、メインには魚が並んだ。

相変わらず豪勢な食事だ。

しばらく、会話と料理を楽しんでいた。


「うっ!!」


「レーナ!?どうした!?」


しまった……。毒か……?


そう思ったが、身体が動かずその場にたおれた。


「レーナ!!!」


「誰か!!早く医者を!!」


兄様と父様の叫ぶ声が聞こえたのを最後に、意識が途切れた。



……ん?……生きてるのか?

意識は戻ったが、瞼が重く開けれない。

しくったね。こんなことなら、毒も慣らしとくんだった。


「…………だから」


誰かいるな。

声が遠くて上手く聞き取れん。


「……何してん………殺せ……」


不穏な言葉が聞こえたね。

ターゲットは私かい?

しかし、今はまずい。身動きが取れない。


──今回はここまでかね。


「レーナ!!」


「………っ!!?」


助かった。兄様いいタイミングだ。

今までいた奴の気配が消えた。

逃げたか……。

それにしても、一体誰だ?

ミレーナが毒に倒れるなんて、原作に書かれていないから犯人がわからん。

今回の人生では人に恨まれるようなことはしていないはずだが?

ふふっ。だが面白い。売られた喧嘩は買うのが流儀。


「レーナ!レーナ!お前がいなくなったら私は……!!」


「ロベルト、医者は命に別状はないと言っている。あとはミレーナを信じよう」


大丈夫。生き延びてやるさ。

だから、静かにしてくれ。


「……サラ。レーナの事を頼む」


「……お任せ下さい」


兄様と父様の気配が消えた。


「……ミレーナ様……なぜ、このような事に……」


サラ……?


「ミレーナ様……早く目を開けてください……いつものように、サラを呼んでください……」


サラの声が震えている。泣いているのか?

一人の人間の為に泣いてくれる人がいる。心配してくれる人がいる。

ああ。愛されているのだな。


──目が開いたら最初にサラを呼ぼう。

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