第11話:差別や偏見がもたらす弊害 ③
しかしながら、このような状況になったとしても誰にも助けを求められないことでどんどん社会から孤立していくのだが、その孤立する背景を体験・経験したことがない人たちが“根性がない”・“逃げている”などの心ない言葉から“税金泥棒”や“自業自得”、“能力がないから仕方ない”など自分の現状が当たり前かのような発言を繰り返すことが目立ち、その発言に対して責任を感じないという人が多い。
これでは間違いなく社会は崩壊するし、そのような人が増えることで多様性や個性という“これから社会において強化していかなくてはいけない課題”から目を背け、これらに必要な考え方を持てなくなってしまうことに繋がっていくと思う。
では、何が必要なのだろうか?
私は“個別労働力の強化”・“自己反省”・“個別能力の適正化”など多様性に対するアプローチの本格化だと思う。
その理由として、現在は良い人材がたくさんいるにもかかわらず、そこにフォーカスするのではなく、自分たちの都合のいい人に対するフォーカスをすることで自分たちの考え方を広めようとする事が多い。そのため、“個の能力”ではなく“自分たちが求めることに対する能力”が先行してしまう事に繋がり、企業にとっても社会にとっても“能力が高い人”に対しては関心が高まっていくが、そうではない人には冷たい声が飛び交う。
このような状況を私は“自己利益探求型心理”と読んでいる。
これは“楽をして良い世界を見たい”という人間の性が表れている部分であり、“この人ならすぐに結果を出してくれる”という相手に対して信頼感や期待を寄せる場面が増えていってしまう。
そのため、自分で努力するのではなく、相手に努力をしてもらい、あとから便乗するなどして自分も関わっていることをアピールしてしまうのだ。
これは以前から言われていたが、未だに変わらない日本の現状だろう。
この部分を変えるためにも個別労働力を強化し、個の力を育て、組織などで活かせるのか、個人でそのまま活かすべきなのかを考えていかないといけないと思う。
まず、私が取り組みたいのは“キャリアプランの早期形成”だ。
現在、キャリアプランの形成は早い子は年中程度から始まり、遅い子は高校卒業前後とばらつきがあり、ここで人材選別が始まってしまうというのも過言ではない。
そして、日本というのは早くからいい人を確保するために積極的に声をかけるなどしてスカウトしていく事で良い人材を囲い込む事が多い。
では、そういう人以外に対してはどうなっているのだろうか?
私が調べてみると、スカウト直後から人材選別が始まり、良い人材とそうではない人材に振り分け、良い人材には手厚い待遇や住環境の整備など会社が今後のために投資をするのだが、そうではない人材に対しては一定期間所属保証をされるが、待遇や住環境の整備などはあまり行われているようには感じない。
こういう小さな事だが、人が成長するためにはかなり過酷な状況を生み出し、待遇格差が本人のモチベーションの低下につながりかねない。
特に、会社など雇用責任がある立場の人たちの意識改革が今後急速に進まなくてはいけないと思う。
私は“働きたいと思う人がきちんと働ける社会”を作らないと自分たちで自分の首を絞めていくことに繋がりかねない。
今の状況は“良い人材を求めすぎたことによる需要と供給のバランスの崩壊”だということを理解しなくてはいけない。
これが今の子供たちの将来の心理に大きな影響をしているのだと思う。
その象徴が“受験開始年齢の低年齢化”や“志望校選別に対する変化”など自分のイメージを少しでも良くしたいというケースや“良い学校を出ていた方が社会的に有利に働き、就職などをするにしても起業をするにしてもコミュニケーションが取りやすい”という自分が社会で生き残るために必要なステータスとして考えているケースなど以前の意識とさほど変わらない印象だが、細かく見ていると経済格差がかなり影響している部分もあり、本人としては“良い学校に行きたい”と思っていても家庭内の経済事情などで断念せざるを得ない場合も少しずつ増えていったことで子供たちの将来の進路選択に大きな影響が出始めている事は懸念事項だと思う。
現在、ネット上ではキッズYouTuberやティーンインフルエンサーなど若い世代が個人活動などにシフトしている傾向があり、この傾向が将来的には社会の一角を担っていく事になると思う。
そうなったときに最も困るのは“企業などの採用活動”や“社会における担い手の不足”などだろう。
昨今は少しずつ副業などが認められて来たが、ここに来てある異変が起きている。
それは、“若年層の離職率と人材流動率の上昇”だ。
これは以前から少しずつ取り上げられていた事だが、あまり問題視されていないように感じる。
その理由として、①現行の社会情勢の影響・②業種・職種の多様化による労働環境の変化・③就職差別や不当解雇など個人の労働権を侵害しているなどいずれか一方の責任ではないが、双方に関連する問題に発展しているケースも少なくない。
その他にも、“即戦力の争奪戦”や“所得格差の拡大”など人的価値の他者評価が顕著になり、それらの評価が個人の経済力に大きな影響を及ぼしかねない状態になるのだ。
しかし、日本というのは年功序列型社会のため、年齢が上の人を下の人がうやまわなくてはいけない。そのため、若手がいい意見を持っていてもその意見をいうことに対してよく思わない人が多く、これらが起因で若手が抜けたとしてもそこまで影響はないと思っている人が多い。
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