第2話 学園生活のスタート


 私、リティエラ・ラ・ウォリウォールは、父は皇帝陛下側近の宰相で、皇族に次ぐ筆頭公爵家の令嬢である。

 母と2歳上の兄がいる4人家族。


 性格は少々お転婆で、少し……いや、かなりの猪突猛進気質な所もあるが、物怖じしない性格だ。

 それは3度の人生での経験から来ている事は否めない。



 1度目の人生はただただ殿下に振り向いて欲しくて、お洒落番長を自負する程にあらゆる美容関係を研究して、卒業後は洋裁店を経営するデザイナー件オーナーなっていた。


 そして……

 ある事件に巻き込まれ20歳の若さで死んでしまった。



 2度目の人生は入学式にループした事に暫くは混乱していたが、1度目の人生とは違う人生を歩む事にした。


 お洒落ばかりでは駄目なのよと、勉学に励みに励んで気が付くとなんと皇宮病院の医師となっていた。


 その医師があるが故に……

 1度目の人生と同じ20歳の年に人生の幕を下ろした。



 3度目の人生は

 1度目が商人で2度めが医師なら次は身体を鍛えたいと思い、なんと騎士になった。


 しかしやはり3度目も20歳で命を落とし、4度目の今生が始まったのである。

 


 どの人生も猪突猛進気質が影響したのか、あらぬ方向に進んでいってしまったが、それでも皇太子殿下に恋い焦がれた人生だった。

 

 結局、皇太子殿下には選ばれ無かったけれども。


 それでもどの人生も懸命に生きた。

 その人生での経験が今の私を作っているのは間違いない。



 しかし4度めの人生はもっと楽に生きたい。


 学校帰りには友達とカフェに行って美味しいスイーツを頬張り、皇太子殿下の様な凄いイケメンじゃなくても、まあまあなイケメンと(←イケメンは譲れない)小さな恋をするのも良いではないかと思う。


 何せ、どの人生も突き抜けた人生だった為か友達らしい友達のいない学生時代だったのだ。



 そうして入学して2週間のオリエンテーリングが終る頃には、ユリベラとマリアンヌと言うどちらも伯爵令嬢のお友達ができた。


 ユリベラはハキハキしていて何でも好奇心旺盛の少女で、マリアンヌは妄想が大好きな少女である。


 2人は以前から交流があった様だが、私は小さい頃は主に領地で生活をしており、学園の入学に会わせて昨年に皇都に出て来たばかりで、貴族令嬢との交流は少なかったのだ。


 それよりも………

 学園時代から3度も人生をやり直しているが為に、幼い頃の記憶がどこか薄くなっている事が若干困っている所だ。



「 今週末にスイーツカフェに行きませんこと? 」

「 近くに新しい唐揚げのお店がオープンして、毎日行列が出来る程美味しいそうよ 」

「 是非ともゲットしましょうね 」



  これよこれ。

  学生生活はこうでなくっちゃ!




 ***




 3度も学生をやっている私は、今さら学ぶ必要が無い。

 ましてや2度めの人生で医師になる程に勉強をしていた為に、勉強はさほどしなくても良い状況だ。


 兎に角、学園生活をエンジョイしたい。

 それにはまず何かクラブに入りましょう。



 因みに……

 皇立ジラルド学園3代前のジラルド皇帝が設立した為にその名がつけられている。

 貴族だけでなく一般庶民も学べる学園である。

 

 正面門から右側が貴族棟で左が庶民棟に分けられ、貴族は家から通いだが庶民は全寮制。

 入学式や卒業式や文化祭などの大きな式典や催し物は、全校生徒参加だがクラスは別である。



 我が校のクラブは……

 貴族棟には騎士クラブ、語学クラブ、美術クラブがあり、庶民棟には騎士クラブ、料理クラブ、美術クラブがある。


 その中の騎士クラブだけは将来の騎士や近衛兵や街の自警団を担う事に共通してる為に、貴族生徒と平民生徒が一緒にクラブ活動をしている。

 3度目の人生はこの騎士クラブに入部していたのだが。



 食べる事が大好きな私は料理クラブと、将来は外交官を目指すのも良いかと思い、語学クラブにも入部する事にした。


 1度目の死の原因が……

 共通語が話せなかったのかも知れないと言う事もあって。



「 語学クラブと料理クラブに入部したいのですが 」

 早速入部の手続きをする為に張り切って学生事務所へ行くと、


「 語学クラブは問題ないのですが……料理クラブは庶民棟にしか無く、入会してるのは平民生徒だけですよ? 」

 学生事務所のスタッフが驚いた顔をしている。


 基本的にはどのクラブにも入部可能だが、貴族生徒が平民生徒のクラブに入るなんて事は今まで無かった事で。

 学生事務所のスタッフが少し戸惑いの表情をみせているのだ。


「 構いませんわ 」

 ちょっとすったもんだしたが、何とか無事に入部する事となった。

 


「 貴族棟の1年B組のリティエラ・ラ・ウォリウォールです。今日から一緒に学ばせて頂きます。仲良くして下さいね 」


 亜麻色のストレートの髪は腰まであり、ピンクがかったバイオレットの綺麗な瞳は丸く大きく、肌は透き通る様に白く、唇は赤く形良く頬はふっくらとしていて。


 まだ14歳のあどけなさが残った可憐な美しい少女が、リティエラ・ラ・ウォリウォール公爵令嬢だった。



 うん……

 中身は3度も人生をやり直している20歳の私ですが。


 料理クラブで支給された割烹着と三角巾を着て、張り切って腕まくりをした。



 学校帰りの寄り道にクラブ活動。

 こうして私の4度目の人生は始まったのである。







───────



少し書き換えました。

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