62 ドラマチックでは無い「バンドを解散した話」

 こんにちは。


 私は昔、スリーピースのバンドを組んでいた。

 リーダーというか、バンドを作ったのはキーボード。

 そのキーボードの同級生のギター。

 そして、メン募で繋がった私がボーカル。


 どれくらい活動していたかなぁ。

 結構していたと思うんだけど……それでも三年くらいだろうか。


 私はそれが初めて組むオリジナルのバンドだった。

 その前は、オリジナルの宅録の方の作った曲を歌ったり、その方が自身のリハビリと、私の勉強為に集めてくれた色んなコピーをするバンドのみ。

 

 なので私は、そのオリジナルバンドで初めて「ゼロから自分たちで作り上げるという事」という問題とぶつかった。


 色々大変だったなぁと。

 音楽の事をほとんど知らない私が、中学生からずっと楽器をやっている人たちと渡り合わないといけない事とか(一応私は、その頃はもうボイトレはしていたけれど)、バンドの人との距離感も迷子になっていたと思う。

 

 もともと劣等感しか無い人間が、人と協同して創作するという事のハードルの高さが私を迷子にさせた。

 だって、自分の良いと思っている事と、それはきっと受け入れられないだろうと思う事をどこまで口に出していいのか分からないから。


 結局私が最後の言葉を言ってバンドは解散した。

 「音楽の方向性が違う」

 本当に……こんな在り来たりでドラマのセリフのような事を口にする場面ってあるんだな、と思った。


 まぁ、そもそもがヴァン・ヘイレンなどのアメリカのどちらかというと陽のハードロック好きと、UKロックというかオルタナティブのどちらかというと陰に属する音楽が好きでは、合わなかったのだけれど。(どちらがどちらかというのは言わずもがな)

 それでも、ちゃんと向き合えたら化学反応が生まれたのかもしれない。


 彼らは、Jポップで使い古された様な、

 Aメロ→A´メロ→Bメロ→サビ→間奏→Aメロ→Bメロ→サビ→間奏(ソロ)→サビ

 というのを使いたがらなくて、でも、それって本当に聞きにくくて……


 今はアマチュアのバンドが曲を発表する場はネットとか色々方法があるけれど、まだ動画サイトもほとんど浸透していない時代。聞いてもらうチャンスはライブハウスだけだった。

 そのほんの少しの接点を、聞きにくい……というか、何ていうのかな?「あ、次はサビだぞ!」みたいなノッて貰う為の予想を、悪い意味で裏切り続ける事になってしまって、そういう意味で聞きにくいと思っていた。

 (今でも思っているけど……)


 案の定、そのスタイルを受け入れてくれるお客さんは少なかった。

 確かに彼らは演奏も上手だし、面白い事をやっているんだろうけれど、楽器演奏や音楽理論とかが分かっていて、そこに渋さや面白さを感じるお客さんは本当に一握りだから……

 キャッチーか、懐が深いお粥か、カリスマか、二番煎じ臭の無いコミックか、超ド根性か、眉目秀麗か。

 

 そして、歌詞を書いていた私的な理由では、歌詞がめちゃくちゃ書きにくいから、パターンとサイズを合わせてほしかった←

 音楽の中に乗せる言葉には感情が乗っていて、サビに向かっていくはずがお預けになったりすると、言葉を変えないといけなくなったり、同じように聞こえるメロディも実はサイズが違ったりするのだ。

 楽譜もないし……作る時、目で見てわからない……


 私は「自分たちが表現したいけれど、受け入れてもらえなさそうな事」をするには、まず知名度と人気を獲得してからだと思う。と言った。

 しかし、彼らはそのスタイルを曲げることは出来なかった。

 (人気が出なかった原因はそれだけでは無いけれど。)


 今の地点に立って、その両方が正しいのだな、とわかる。


 信念を曲げてまで人気取りをしたくないのなら、するべきではないし、自分のやりたい事を「今まで触れてこなかったであろう色んな人」に受け入れてほしいのなら、まず「ご贔屓」を作るべきだ。



 先日、昭和後期から平成に流行った芸能人やアイドルやドラマなどのリストを見たのだけれど、私はどれにも引っかかってなかった。


 別に「あれを好きだなんて思われたらかっこ悪いから、好きじゃないフリをする」みたいにバカの壁を発動したわけでもなくでもなく、本当に自分の触手が動かなかったから、そこは通って来なかった。

 それと同じ流れで、私はファミコン世代ではあるけれど、ゲームに興味が無かった。

 文房具とかそういう思い出は共有できるけれど、「何に熱中したか」は同世代の「マジョリティを謳歌した人」たちと全く共有できないと思う。


 平たく言うと私は生まれながらにしてマイノリティ。

 そこは自覚しているからいいのだけれど。

 自分でその道を選んで来たわけでもないし、誰かに誘導されたわけでもないのに、こういう性質を持っているのは本当に不思議なことだなぁと思う。


 そういう大多数の人が「面白い」「すてき」「良い」と思ってきたことを、そう思ってこなかった私が書いている「自分が良いと思っている」お話を、大多数の人に簡単に「面白い」「すてき」「良い」と思ってもらえるわけがないんだなぁ……と。


 バンドの時は、私はマジョリティに合わせる派だったのに、今はマイノリティでしかいられない派なのだ。


 もう卑屈になっても足掻いてもどうしようもないんだなぁと。

 必要なのは覚悟だけだ。



 結局は数が正義なんだよなぁと。

 国勢も数。富裕層より貧困層が多すぎる歪な国だって、数が多い方が強い国になる。

 ほぼ同じようなシチュエーションばっかりのお話だって、それを柱にしたお話を読みたい人が多いのだから、数が力だ。文化になる。

 数はドル箱。


 私も数が多い方に属したかったなぁ。

 アイドルとか追いかけて、みんなと同じファッション誌を買いたかったなぁ……。


 ずっと自分の好きなものだけを好きでいいと思って、自分の世界だけで生きて来て、高校に入ってやっと、ある程度「普通」に擬態しないといけないんだな、という事を学んだ。

 別の話だけど、第一子というのは、姉や兄がいる人と違って……「少数派」だった場合は特に全てのパイオニアになるから、集団の中で生きるのが本当に不器用で大変なのです。


 また別でも書くかもしれないけれど「普通」ってすっごい才能です。

 ものすごいバランスの上に「普通」がある。転げ落ちると「普通」では無くなる。


 天文学的天才にあこがれるけれど、「普通」になりたい人生だった。


 そして、それでも、どうしても……、時々心が弱って卑屈になるのだけは見逃してほしい……

 また言ってるなぁって。←

 

 オリーブとかМCシスターとか読んでないで、ノンノを読んどきゃよかったなー。はぁ。

 (ごめん、ムーを読んでいた友達とつるんで、私もOUTを読んでました)


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