第14話 立ち向かう勇気
はぁはぁ。恐怖に怯えながらもなんとか三玄の後を追う。
しかしその場所が近づくにつれ、本能的にそこへ近づいてはいけないと警報が鳴り響く。
脚は泥にでもハマったかのように重く。視界は紫がかった霧のせいであまり見通しが良くない。先に行った三玄の姿はまだ見えないが、息が苦しくなってきた。
ドンッ。
近くで大きな音が聞こえた。
「グハッ」口から血を吐き出した三玄の姿が見えた。
三玄の視線の先を追う。そこには黒っぽい何かが骨で作った椅子に腰掛けていた。
「それで終わり?」
「まさか」
三玄が槍を握り直す。敵へと突っ込み素早い攻撃を繰り出すも、顔を左右に避けクルリと身を翻す敵。
「あの速さでもダメなのか」
三玄より速い攻撃を繰り出す人は魔法を使えないこの地域にはいない。その三玄を持ってしても傷をつけることさえできない。
僕は辺りを見渡すも何もない。三玄の力になることができない。
この茂みからことの成り行きを見守ることしかできない。
「へぇこれも避けるんだ」
三玄はなおも攻撃を繰り出し続ける。
「この茶番いつまで続けるつもりだ」
「さぁね」
三玄はくないを投げる。しかしどれも敵に当たることはなかった。
「まぁよい。死ね」
その瞬間敵の右手が大きくそして研ぎ澄まされた刃のように鋭くなった。
内臓辺りを抉られた三玄は地面に倒れ込んだ。
ゴフッ。それでもなお戦おうとする三玄は槍へと手を伸ばした。しかしその槍を敵は蹴っ飛ばすと抉った内臓部を踏み潰した。
グハァァ。
三玄の苦しい声が聞こえる。しかし今の僕に何ができようか。
三玄と目が合った。
ふと我に返った。視界が目から溢れる涙で悪くなるが、三玄が何かを伝えようとしている。口元が動いていた。
涙を拭うと口元に意識を集中させた。
「に・げ・ろ」
僕は走り出していた。
「うぉぉぉぉぉ」
三玄を踏み潰している敵に体当たりした。
はずだった。しかし敵はひょいと避けると新しい来訪者に目を輝かせた。
僕は勢いよく走ったので転んでしまったが、急いで三玄の元へいき、体の後ろに三玄を隠す。
「おやおや、こりゃまたよわっちーのがきたな」
敵はすでに戦う意志を失ったのか、椅子に再度腰掛けた。
「それで僕ちゃんはどうやって殺されたい?」
その瞬間右腕に鋭い痛みが走った。
ガハッ。右腕は切り落とされその腕は、目の前の敵が持っていた。
「動いてないのになんで」
「ははは」
敵は高らかに笑った。
骸骨に皮膚をくっつけただけのような、その敵は切り落としたその腕から溢れる血を舐めると、恍惚としていた。
「あ……悪魔」
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