第4章:非力【OBSERVATION】
縁上回――Supramarginal gyrus
3日前。
某日。
中央大藩国、
「ねぇねぇメラちゃんメラちゃん」
「はい。貴方のメイド、メラノスティグマですよ~どうしたんです、アルカマ様?」
「うん、今日ってギル陛下お休みだったっけ」
「あー、確か臨時休養をって、御触れが出てましたね。何か火急の用でもありました?」
「ううん。これ――提出しようって思って」
「これ、陛下から頼まれていたお仕事」
「そう! 映画感想文!」
「おぉ~ちゃんと書けたんですねぇ。えらいですよ~」
わしゃわしゃわしゃ。
「ん……」
「敏感な
「んん…………はっ! 危うく質問の内容を忘れるところだった」
「しつもん」
「うん。ギル陛下はどうしておやすみを取ったのかなって」
「んー、何でだと思います?」
「最初は風邪とかちょっとした怪我かなって。でもシーファお姉ちゃんがいるからそんなこと絶対にありえないし。だからよくわかんなくて」
「うんうんなるほどなるほど。ではよい子にしているアルカマ様に答えを授けましょう!」
「ほんと、やったぁ!」
「んで、答えはですね」
「うんうん」
「昨夜から早朝にかけて陛下はシーファ奥様とハッスルした……というよりし過ぎたからですよ。今頃キツイ筋肉痛に襲われていると思います。主に腰とかに。……実はメラもさっきガイアン
「師匠に! 今、師匠はどこに」
「あ~残念なことにもう出かけちゃったんですよね。大半島に行くとか言っていましたよ。数日前に
しょんぼり(´・ω・`)。
「それで――どうしてハッスル? してたのかな。ゲームのこと?」
「
「ゆうわく?」
「そう。なんだっけな、首筋を舐めまわしたり」
「なめまわす」
「そう。他には――肩に甘嚙みとか」
「かみつく」
「そう。あとは、そうそう耳舐め!」
「みみなめ」
「っていう感じで。そしたら効果てきめんで。頑張ったという感じ」
「んー?」
「どうやらよくわかってないようですねアルカマ様?」
「うん。どうしてゆうわくするとがんばることになったのかなーって」
「そう言うってことは全然イメージできないんですね?」
「うん。全然わかんない」
メイドが唸る音。
「こうなったら……丁度いい機会ですね、実践してみましょう!」
「???」
「ここをこうして……えいっ♡」
「わ、どうしたの急におっぱい見せて。暑いの? それともメラちゃんは
「む。見ただけじゃ反応なしか。じゃこれならどうだっ!」
ふにょん。
「?」
「どう、です? 結構
「うーんと」
「さぁさ、遠慮なく感想を是非是非♪」
「ふわっとしてるよ」
「そうでしょうそうでしょう」
「あったかい」
「……うん?」
「あと、すべすべしてる!」
「(あっれー。何かすごい違和感が)ええっと、もう片方の手でほっぺた、摘まんでみてくれます?」
「こう?」
「そうそう。ここも
「ふわっとしてるよ」
「うん」
「あったかい」
「ふむ」
「すべすべしてるよ」
「なるほどなるほど……ちょーっとだけ、失礼しますね?」
ゴソゴソ。
さわっ。
ふにゃり。
「わ、急にどうしたのメラちゃんそんなとこ触ったり揉んだりして」
「なんてこと、全然機能してない! ――大変失礼しました。時にアルカマ様」
「うん」
「ムラムラするっていう感覚、わかります?」
「んーと、じれったいってこと? あとちょっとであのボス倒せたのに! みたいな」
「いやーそうじゃなくてですね、なんかこう、襲ってみたくなる、みたいな。わかります?」
「全然わかんない」
「なるほど」
メイドの奇妙な渋面。
(一応事前の説明ではそうした諸々の機能は作動する、という話だったけど)
(さっぱりなのはやっぱり年齢のせい? それとも両性状態を交互に繰り返す精神醸成環境特有のもの?)
(アルカマ様は独特な生まれだからこの辺未知数なんだよねー)
(パラケルススにはどう報告しようか。「やっぱり二次性徴期の兆候なさそうですよ」とか?)
(普通
(これは別にあたしの感想じゃないし。データあるし。提供されたし)
(あーでも毎日毎日あンの
(ま、攻略のための調査は継続ということで)
「どうしたのメラちゃんそんな渋い顔」
「いやいやなんでもないですよ、なーんでも」
「そっか」
「アルカマ様はこの後何にも予定ないんですよね」
「うん。重要な会議……はすきぃ、とかそんな名前の作戦のあれこれで、授業はみーんな休みになってるよ」
「ふぅん? じゃあまたボードゲームとかやりましょうか! 見てくださいこれ! ついこの間あの昆布髪がルールブックの復元に成功したんですよ」
「サイファちゃんが!? なんて名前のやつ?」
「えェと……『カタン』って書いてありますね。なんでも3~4人で遊ぶものらしいので他の人も誘ってみましょうか。誰か一緒にあそ……アルカマ様?」
(っ ̯ -。)(っ ̯ -。)(っ ̯ -。)
(_×ω×)ドサ――
スッ。
「おっと。これはひょっとして……何日目ですか?」
「…………きゅ、う…………」
「もう猶予は少ない、と。急いでこちらに」
大急ぎで移動する物音。
扉を開ける音。
そっとベットの上にアルカマを乗せる音。
「どこか苦しいところはありませんか?」
「だる、い……すごく……」
「そうですか、もう大丈夫ですよ、もう少しでパラケルスス様たちが来ますから、もう大丈夫……あたしはここにいますからね」
「ん……」
ナデナデナデ。
ぽん、ぽん、ぽん。
「んぅ……」
ぐりぐり、ぐり。
「そう、そう。ゆっくりと休んでください――大丈夫ですよ――次の体もきっと元気になりますから――」
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