第20話
「疑わしい男を捕まえた?」
少年武官は驚いた声を上げた。報告をした若い武士は、「内密にお願いしますよ」と言う。
「本人の申し出があったので、一晩ここで見張ることになりました。もしその間に鬼が出れば、男は鬼ではないということになりますから」
「あれ、でも、鬼の仕業なんじゃ……? あ、鬼が人間に化けているんでしたか?」
少年武官が首を傾げると、若い武士は慌てて言う。
「あの陰陽師がどうしてもと言うので、調べて見ようということですよ。本人も良いと言うし、どこか、奇怪な雰囲気がありまして……まあ一応小耳にということで」
「そう、ですか。でも、今日鬼が出るとは限らないのでは」
「出なければ、私が陰陽師を適当に言いくるめますから、ご心配なく。なので今日は、相良の君には、別の人に付いていてもらうことにしました。もちろん、何かあれば私もすぐに駆け付ける準備はしておきます」
「分かりました」
少年武官は頷いた。若い武士は言う。
「相良の君は、まだ落ち込んでいらっしゃるようですね。早くどうにかしないと」
「そうですよね、本当に……お忙しいのに、すいません」
少年武官は頭を下げた。若い武士は、とんでもないと手を振る。
「相良の君をお守り出来るなんて、光栄なことです。明日からは有難く、しっかりと役目を果たさせてもらいます」
「よろしくお願いします」
二人は別れた。
しだいに太陽は沈んで行き、夜が這い寄って来る。人々は恐れ、闇から逃れるように屋内へ逃げ込んだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます