第6狐 「身体測定」
「
「はて、何でございましょうか。
「……はい、こちらに」
「咲よ。身体測定とは、いったい何のことじゃ」
「明日学校で行われる、体のサイズや重さを測る行事にございます」
「なるほど。
「左様なことであるか。であれば、何も気にせずとも良いのう」
明日は身体測定。人族に
────
体操服に着替えると、身体測定が行われる体育館へと集められました。
体育館は半分に仕切られていて、男女別々に計測になりますが、もちろんお互いの姿は見えています。
測定までの時間に、美狐様が男子の方を眺めておいででした。航太殿でも見付けられたのでしょうか。
「のう、咲よ」
「はい、美狐様」
「この体操服とやらに着替えてから、男どもの視線がちと気になるのじゃが」
「
「お主も華さんも静さんも、それに他の変化族の者ども全てじゃが……」
「はい」
「皆、胸のサイズに遠慮が無いのう」
「はあ、そうでございますか? 気にもしておりませんでした」
「男どもは皆、おぬし達の胸ばかりを見ておるではないか!」
「人族の本能でございましょう」
「何と! 何故それを先に言わぬ。
「美狐様、かような事は気にされずとも……」
「ならぬ! 人族の本能とあらば航太殿もそうであろう。妾も元のサイズに戻さねば」
「なりませぬ。急に胸が大きくなるなど
「嫌じゃ。大きくするのじゃ!」
「なりませぬ。時をかけて徐々に致さねば、航太殿に怪しまれますよ」
「ぐぬぬ……おのれ木興爺め! 帰ったら仕置きじゃ!」
美狐様の言われる通り、変化族の者は皆それはそれは見事なスタイル。
人族の男どもは鼻の下を伸ばし、美しき容姿の者を眼で追い、美狐様を見て笑っております。お陰で美狐様は終始ご機嫌斜めでございました。
私は華ちゃんと一緒に、馬鹿な男どもを喰い殺してやろうかと話していましたが止めておきました。
結局、身体測定はドジな
────
その夜は美狐様が大そうご機嫌が悪いまま航太殿の家より帰って来られました。
帰って来られるなり、木興様と私に噛みつかれます。
「木興爺! 航太殿が胸が大きな娘が多くて喜んでおったわ!」
「ほっほっほ。
「なんの! わらわも元のサイズに戻せば良いだけじゃ!」
「ほっほっほ。左様に思われるならば、そうなされば宜しいかと。航太殿に変化がバレて、気味悪がられるやも知れませぬがな」
「ぐぬぬ……木興爺め!」
その後、お怒りが治まった美狐様を
美狐様は寝所に入られると、着物を着た人の姿に
しばらく
恋する乙女のいじらしきお姿に、私は思わず涙が出そうでございました……。
今宵のお話しはここまでに致しとうございます。
今日も見目麗しき、おひい様でございました。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます