第1狐 「今宵のお話しを始めましょうぞ」
新しく
「
「もちろんじゃ。
「
「
「なんの! その様な者は
「ならぬ。妾は高校とやらに入学すると決めたのじゃ」
「
おひい様から、木興爺と呼ばれておる儂は、
代々、
今は天狐の
幼き頃よりお世話をして参った美狐様を、命に代えてでもお守りせねばならぬのじゃ。
「木興爺。この姿で良いか?」
美狐様は、青き月光の下で人の姿に
人間界にかくも美しき容姿の者は二人としておりますまい。
「
「何故じゃ?」
「かくも麗しきお姿のままで世に出られては、人族はおろか
「では、航太殿と
「なりませぬ。その昔、皇女の
「ダメか?」
「航太とやらいう人族の者が、
「そ、それはならぬ! では、これでどうじゃ?」
美狐様は普段この神社で過ごす
「おひい様。巫女のお姿になられても、その麗しさはいささかも変わりませぬ。もそっと
「何と。では、これではどうじゃ?」
「いや、いま少し……」
「ふむ。これでは?」
「むむむ、もそっと……」
「木興爺。これでは余りに不細工ではないか?」
「いえいえ、その位が宜しゅうございます」
「これで航太殿が添うて下さるかのう」
「ええ、間違いなく」
「左様か。では、この姿で高校とやらに入学しようかのう。誰やおるか!」
美狐様に呼ばれて、
「誰ぞ高校に忍び込んで、妾の入学書類とやらを紛れ込ませるのじゃ」
気狐たちが、どうしたものかと顔を見合わせておる中、儂はひとりの気狐を手招きしたのじゃ。
「
「木興様、何でございましょう」
「おぬしが行って参れ。それと、おぬしも美狐様と共に高校とやらに入学し、美狐様をお守りせよ」
「承知しました。されば行って参ります」
咲を満足そうに見送ると、美狐様は狐の姿にお戻りになられた。まことにお美しい
「では、
「結界内ではございまするが、お気を付けて」
「木興爺は心配性じゃのう」
白狐の美狐様は、月明かりに照らされ白銀の如く輝くお姿で神社の階段を下りて行かれた。
あの日より毎夜、
それどころか、人族の高校に一緒に入学されるという。
お
今宵のお話しはここまでにしようかの。
今日も見目麗しき、おひい様でござった。
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