〈コウ視点〉









部屋に入ると沙優ちゃんが

笑実ちゃんに自分のコートをかけているのが見え

俺たちは近づかない方がいいかなと足を止めた




シュウとアキラが「落ち着け」とカオルを止めているが

落ち着いてなんかいられないだろうと思いながら

カオルに近づいて行き「先に笑実ちゃんを」

と肩に手を置いてそう伝えた…




開いたドアからは皆んな見ていて

こんな見せ物みたいな状態は嫌だろうと思い

一度部屋から出るように言うと

カオルは笑実ちゃんに顔を向けて

掴んでいたツカサの胸ぐらをパッと離すと

立ち上がってベッドの方へと行き沙優ちゃんに

「荷物は?」と聞いていた




カオルが笑実ちゃんに手を伸ばすと

笑実ちゃんは「イャッ」と手を避けて泣きながら

沙優ちゃんにすり寄ったから

今は無理だろうなと思っていると

カオルは嫌がる笑実ちゃんをグイッと抱き寄せて

コートに腕を通させると「沙優ちゃん」と泣く笑実ちゃんを

抱き上げて出て行こうとするから「カオル!」と止めた





コウ「今は沙優ちゃんと一緒に…」





カオル「・・・・ここにはいさせたくない」





カオルがそう言うと笑実ちゃんは

顔をカオルの首に埋めて泣きだしたから

笑実ちゃんもツカサのいるこの部屋から

早く出て行きたいんだと分かり玄関の扉を開けてやった




扉がバタンッと閉まった後に「靴…」と

玄関を見て呟いた沙優ちゃんに「明日の朝に届けるよ」

と言って酷い顔になっているであらうツカサの所に行くと

力一杯に殴られたのが分かる位に腫れ上がり

顔が変わっていた…





シュウ「ルナ、顔を冷やす氷水持ってきて」





寝室からシュウがそう叫ぶと

頼まれた氷水を持って来たのは沙優ちゃんで

ツカサの事を冷めた目でみている…





コウ「・・・・ルナは?」




サユ「・・・・・・」





ガチャッと玄関の開く音と共に

ヒョウ達が帰ってきて「なんの騒ぎ?」と近づいて来て

沙優ちゃんがいる事に気付きツカサの顔を見ながら

「何、チワワに何かしたの?」と問いかけてきたけど

的中しすぎていて何も言えなかった…





ヒョウ「・・・・カオルは?」


 



アキラ「そのチワワを連れて帰ったよ…」





ヒョウ「・・・・なんでそんなバカな事したの?」





いなかったはずのヒョウは壊れたドアと

ぐしゃぐしゃのベッドを見て何かを察したのか

呆れた様にツカサに問いかけていた





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