第57話 ササオの正体
――ええと……話を戻して、ササオの部屋へ。
調べられるのは、以下の場所です。
・スマートフォン:”知力”判定
・使い古されたノート:”知力”判定
・黒い手帳:”知力”判定
・謎の機械:”知力”判定
A「うーん。これはぁー……」
B「ぜんぶ”知力”判定かぁ」
A「電子工学の《雑学》は、スマホに使えるかしら」
――今回の場合は、使用不可能ですね。
ただ……ここで二人は、”精神力”による判定が可能です。
難易度は”普通”。出目12以上で成功としましょう。
A「【ダイスロール:6(+6)】 成功」
B「【ダイスロール:9(+5)】 こっちも成功」
――ではあなたたちは、”スマートフォン”と”使い古されたノート”から、なんだか禍々しい知識のオーラを感じます。
あなたたちはここで、クトゥルフ神話に関する《雑学》を使用することができるでしょう。
A「うっ。……マジか……。ここでか」
B「…………………」
A「これは、……そっか…………ううむ……」
B「…………………」
――では、次の行動を指定してください。
A&B「「《雑学》を使います!」」
――うわっ。ハモった。
A「え?」
B「あれ?」
A「ひょっとしてBちゃんも……秘術に関する知識を……?」
B「…………。ってことは、そっちも?」
――ではもう、お互いそれとなく気づいたことにして良いでしょう。
どうやら、あなたたちは二人とも、超常の存在に関する知識をお持ちのようですね。
A「はああああ? なんでなんでなんで? 怖い! 色式ちゃん、普通の女の子じゃないの!?」
B「……それは……こっちのセリフなんやけど」
――さて。それに関しては談話室で話してもらうとして。
改めて、ササオの部屋の探索をお願いします。
二人とも、難易度を”普通”に、出目13以上で成功として良いでしょう。
B「じゃ、うちが”スマホ”を。【ダイスロール:9(+11)】……ん。難易度下げなくても成功してた」
A「では、あたしも”使い古されたノート”を! 【ダイスロール:3(+8)】 ふふふふふ! こっちは難易度下げたのに失敗しちゃった!」
B「結果的に、無駄にお互いの秘密を暴露した格好に!」
――では、情報を送信します。
※円筆あくむの情報:使い古されたノート
さまざまな化け物に関する情報が書かれている。
あなたが気になったのは、以下の記述だ。
『”ミ=ゴ”
ユゴスよりのもの。イエティの正体。
体長は1.5メートルほど。薄赤色の甲殻類のような姿。
外宇宙からやってきたエイリアンの一種で、外科手術が大得意。スパイ(本物の人間)を潜ませて、人間社会を見張っているらしい。
彼らの特徴として最も有名なのは、”脳缶”と呼ばれるシロモノだ。
銀色の円錐形の筒で、摘出された脳を保存・運搬するための装置だ。
連中のスパイは、これにより自由に肉体を入れ替えて、警察の目を逃れているらしい。
【ササオのメモ】たいしたことない。いっぱいパンチすれば死ぬ。
”食屍鬼”
古来より地下世界に棲まう化け物たち。
外見はイヌに形容され、極めて嗅覚が鋭い。
食糧は主に、人間の死骸や排泄物、とのこと(キモッ)。
食屍鬼の特徴として、連中は時に人間と交配して赤ん坊を産ませたり、人間の赤ん坊と自分たちの赤ん坊を取り替えたりするらしい。
要するに、人間と食屍鬼は元を辿れば同じものであり、その境界線は極めて曖昧なもののようだ。
【ササオのメモ】いっぱいパンチすれば死ぬ。不意を打たれなければ勝てる。
”ゾンビ”
「ゾンビの創造」という呪文によって産み出される、歩く死人たち。
基本的に魔術師の意思通りに行動する存在だ。そのため、連中と相対するときは、術者の意図を読み取ることが肝要である。
「噛まれた相手がゾンビになる」展開は、映画なんかではお馴染みだったりするが、現実のゾンビはそんなことはないので安心。
【ササオのメモ】結構大変だが、パンチで殺せないことはない。
”ニャルラトホテプ”
????
よくわからないが、あんまり関わらない方がいい相手らしい。たぶんすごいつよい。
【ササオのメモ】何回パンチしてもたぶん死なない。出会ったら逃げよう。
”ノーデンス”
「偉大なる深淵の主」とも、「大帝」とも呼ばれるもの。
善なる神……と言っていいのかどうか。
ニャルとは違って人類の味方らしく、わりといいやつらしい。
【ササオのメモ】出会ってもパンチする必要はない。』
あくむ「な…………な、……な………ッ!?」
あくむ&べに「「なにこれー!?」」
あくむ&べに「「えっ? そっちも?」」
――(また、見事にハモったな)
では二人は、声を揃えて驚きますね。
そんなあなたたちを、ササオさんは気まずそうに見ています。
ササオ「えーっと。その。……俺の方は……この、……”機械”を調べたぞ。……ええと……これは……ただの『超音波測定器』だな。ごく一般的な、市販されてるやつだ」
べに「嘘つけ、おまえー! もう我慢できん! ゆるさんぱんち!」
ササオ「えっ」
――まじ?
B「まじですっ! うおおおお、うちは、格闘攻撃を宣言するぜ!」
――えっ、あっ、はい。では、どうぞ。
まず命中判定から。ファンブル以外で成功。
B「【ダイスロール:5(+10)】 成功!
さ・ら・に……【ダイスロール:3】 ……ぽかり!」
――格闘攻撃のダメージは【1D6-3】なので、ノーダメージですね。べにのへなちょこパンチは、ササオの胸板をパチンと叩いただけでした。
べに「この、うそつきめっ」
ササオ「ちょちょちょっちょ……なんだあ?」
べに「おまえさては、なんちゃって警察やろー! 偽物やろー!」
――おやおや。
B「あっ、ごめんなさい。会議フェイズ以外で情報共有するの、NGなんでしたっけ?」
――まあ、どうせ次は会議フェイズでしたし、セーフとしましょう。
どうぞロールプレイをお続けください。
べに「そもそも私、ずっとおかしいと思っててん! あの、”黒い手帳”! さっき私たちに見せた時、『ぱっと出してすぐ仕舞った』ってかんじだったから」
あくむ「ど、ど、ど、どういうことですの?」
べに「こいつ、『怪異探偵 友の会』とかいう、怪しげなサークルのメンバーだった! どー考えても刑事じゃないよ!」
あくむ「……それまじ?」
――するとササオは、しばらく押し黙ります。
ササオ「……………………………」
あくむ「……………………………?」
べに「……………………………」
ササオ「……………………………」
あくむ「……………………………ええと………」
べに「何か、言ったらどう?」
ササオ「…………くっくっくっく」
あくむ「…………わ。唐突なキャラ変の予感」
――そして、彼は突如として高笑いを始めます。
ササオ「ふわーっはっはっはっはっはっは!」
あくむ「わあ。元気に笑うなあ」
ササオ「まあ、バレてしまっては仕方がないか。たしかに俺の正体は、刑事ではない!」
あくむ「……うん。知ってた」
ササオ「だが! 安心したまえ。俺はべつに、怪しいものではない! この警察手帳も、スムーズに情報を聞き出すための方便にすぎないのだ」
あくむ「警察を騙っている時点で十分怪しいと思うのですが……」
――ササオはもうヤケクソになって、二人を無視していますね。
ササオ「この世界には、人知れず人間を襲う化け物たちがいる。俺は、そんな怪物たちと戦う者。怪異探偵、山城ササオ。それがこの俺の正体なのだ!」
べに「…………………怪異……探偵…………?」
あくむ「……………ええと……………」
――そして彼は、ぐっとあなたたちに親指を立てて、「言いたいことは言ったし、とりま談話室に行こうぜ」と、促しますね。
A「いやいやいや! そんなノリで流せるアレじゃないんですけど!?」
B「……やっぱりもっかい、殴ってもええかな?」
――勘弁してあげてください。
【To Be Continued】
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