第42話 黒装束戦

――では、行動順を決定します。


 黒装束A⇒正義⇒黒装束C⇒シュリヒト⇒黒装束B⇒黒装束(隊長)


 位置関係は、

 黒装束A、B、C:右方5メートル

 黒装束(隊長):左方5メートル

 シュリヒトと正義は横並びに立っていて、その少し後方にトラックの荷台に隠れたイチローがいる感じですね。


A「なるほど。ザコはひとかたまり、と」

B「隊長がのんびり動いてくれとるんは……助かるな」


――では、黒装束Aの攻撃。【シークレットダイス:??】 ……ふむ。

 では、目の前のシュリヒトに攻撃します。


シュリヒト「どっからでもこい! にゃ!」


――ではまず、黒装束Aが間近まで接近し、ナイフで攻撃。

 【シークレットダイス:??】×2。攻撃は命中し、ダメージは4です。


A「安定と信頼の、装甲6」


――では、頑強なチェインメイルに阻まれて、ダメージは無効ですね。

 それに気づいた敵は、


黒装束A(GM)「みんな気をつけろ! こいつ、硬いぞ! 攻撃を工夫するんだ!」


――そういって、仲間に注意を呼びかけるでしょう。


B「……いまのセリフ。なんか厭な感じがする」

A「そうですね。妙なことをされる前に、さっさと片付けてしまいましょう」

B「ねえGM。これって聞いて良いのかな。ファイア、アイス、サンダー、ウォーターの中で、範囲攻撃が可能な魔法はどれですか?」


――ふむ。では、あなたがその情報を、咄嗟に思い出せたかどうか、”知力”判定をお願いします。難易度は”難しい”。14以上で成功。


B「【ダイスロール:6+8】……はい、成功」


――正義の脳裏に、冒険者になる前に受けた戦闘訓練の記憶が蘇ります。

 一度に複数の敵を攻撃する手段の中で、もっとも単純な方法は、”サンダー”の魔法を使うことだ、と。


B「神のお告げが来た!」


――とはいえ、魔法は相手によってダメージが大きく異なることにご注意ください。


正義「進研ゼミで習ったやつ! 雑魚散らしには……――サンダー!」


――では、正義が開いた巻物の中から、広範囲に広がる雷撃が飛び出します。

 黒装束B、Cは金色の輝きに呑まれるでしょう。


B「ふたり? ……あ、そっか。Aはいま、シュリヒトに接近しとるんか」


――はい。

 ダメージは……【シークレットダイス:??】×2。

 ……ふむ。では、Bのみが生き残ります。


A「……ねえGM。いま振ったダイスの数は、公開情報ってことでいいですか?」


――いいでしょう。

 片方のダメージ判定では”2D6えんぴつ2本”、もう片方は”1D6えんぴつ1本”を振りました。


B「ただこのゲーム、”2D6-3”とか、そういう判定あるやろ? あんまり参考にできへんかも知らんけどね」

A「ちなみにGM、ぱっと見た感じで、生き残ったBはどれくらいダメージを受けている感じですか?」


――ふらふらです。


A「じゃ、ダメージは通ってるってことだ。シュリヒトは、弱ってる方を殴った方がいいかな?」


――とはいえ、シュリヒトは近接武器しか持っていません。その場合、黒装束Aによる”機会攻撃”が発生してしまいますよ。


A「あ、そっか。1メートル以内にいる敵から逃げると、攻撃されちゃうんだっけ。……うーん。一枚くらい巻物を買っておくんだったなあ」


――後悔先に立たず。


A「やむを得ぬ。目の前の敵からやっつけましょうか。……黒装束Aをロングソードで斬りつけます」


――はい。《剣術(初級)》があるので……”3D6えんぴつ3本”ですね。ちなみに、ロングソードの命中率は、16です。


A「絶対当たる! 【ダイスロール:18】 ……うおおおお!? マジか! 6がみっつ! この場合って……?」


――ダイスを3つ以上振った場合も、6の出目が2つ以上あったら大成功クリティカルになります。その場合、敵の装甲を無視したダメージが入るでしょう。


A「ほほう。……でもこいつら、あんまり硬くはなさそう。ニンジャっぽいし、速度重視系のキャラ感、ある。【ダイスロール:3+2】。……5、ですね」


――では、黒装束Aはぶった斬られて地面に倒れました。

 完全に気絶していますね。


シュリヒト「ほい、二人目っと」


――最後に、黒装束(隊長)のターンですね。


黒装束(隊長)「…………………………ちっ」


――どうやら、不甲斐ない味方に腹を立てているようです。


A「なにこいつ。感じ悪くなぁい?」

B「悪役やからって、もうちょっと愛想良くてもええのにねえ」

A「友だちいなそう」

B「休みの日とか、SNSでずっと誰かの悪口いってそう」


――では、なんとなく侮辱された気持ちになった隊長は、憤然としてナイフを振るいます。なお、この瞬間にあなたたちは気づいていいでしょう。彼の持つそのナイフは……明らかに市販されているものとは違っていました。漆黒色の刀身に、のこぎりを思わせるギザギザの刃先。一見、戦闘用には見えないそれは、実用品と言うよりは、ある種の芸術品を思わせる形状です。


A「はあ。……なんだ? この説明描写」

B「わざわざGMが話すっちゅうことは、何かの意図を感じるなあ」

A「つまり、ナイフ攻撃に気をつけろってことか」

B「あ、ひょっとするとこれ、倒せば手に入るってことかな」

A「逃がさない方がいい、と?」

B「せやね。レアアイテムかも」

A「うーん。さっきのクリティカル、こいつの方に出て欲しかった」

B「かまへんかまへん。もっかい出せば済む話やさかい」

A「きがるに言ってくれるなあ」


――ええと、そろそろいい? ダイス振るね。

 【シークレットダイス:??】 ……あ。


B「?」


――正義に、ダメージを6点、与えます。


正義「ぐ……………ッ! マジか、これ!?」


――そうですね。しかも敵は、武器に毒を塗布していたようです。

 これにより、あなたのターン終了後に1点ダメージを受けるでしょう。


B「ターン直後? ってことはつまり、ポーションを飲む時間はある、と?」


――あります。


A「でも、マズいですね。……このままだと、ジリ貧になっちゃうかも」

B「うーん、……”女神の寵愛”って、敵のダイスロールにも使えるんですよね?」


――はい。ただし、今回ふり直せるのは、ダメージ判定だけですね。


B「最大値よかマシやろ。”寵愛”を一つ使って、奇跡を起こしましょう」


――了解です。【シークレットダイス:??】 ……おやおや。致命傷と思われた攻撃は、奇跡的に急所ではなかったようですね。2点ダメージです。


A「ひゅーっ」

B「あぶなーっ」


――とはいえ、毒ダメージは受けてしまいます。

 なお、毒によるダメージはどんどん蓄積していく仕様なので、ご注意を。


B「げ。毒が強いタイプのゲームか。……これ、はよ終わらせんことには、簡単に死ねるね」


――イチローを呼び戻して、肉盾になってもらうこともできますよ?


B「……ッ! いやいや! 逃がした依頼人を盾にするとか! そないな格好悪いこと、できませんのでー! がんばるもん! まさよしがんばれる子やもんっ!」


【To Be Continued】

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る