皇海型戦艦1
皇海級戦艦
ドレッドノートの改良型として鯉之助が建造を強固に主張し海援隊独自に設計しイギリスで建造させた戦艦。
純然たるイギリス式の設計のドレッドノートにいくつかの欠点があり、鯉之助が海援隊独自の艦艇として設計に加わり建造させた。
艦首は垂直からクリッパー型に変更して凌波性を向上させ、日本近海の嵐に耐えられるようにしている。
重心上昇と砲塔被弾時に隣接する砲塔への被害波及を恐れてドレッドノートでは採用されなかった前後二基の主砲塔を背負い式――片方の主砲塔を高くして砲身が前の主砲の上に来るようにして全長を短縮、防御区画を減少させ軽量化。
ボイラーは円筒型から宮原機関大監が設計した管型の宮原式にして効率を上げる。
タービンはパーソンズ式タービン。
減速ギアを採用し、機関効率を高め、航続距離を長くしている。
航続距離が長くなるのはハワイを拠点として太平洋全域を活動圏としている海龍商会及び海援隊にとって重要であり、太平洋各地へ艦艇を派遣する必要性がある以上、航続距離の長大化は至上命題だった。
重油專焼缶にしたのもそのためで、樺太にあるオハの油田の活用のみならず、石炭だと投炭員が大量に必要だが、バルブ操作のみでボイラー操作が出来るため削減できる上、積み込む重油タンクも石炭より自由に設計できる。
さらに、洋上給油が容易になることとも大きく海援隊の行動力が向上した。
マストは射撃指揮所を設けつつ、斉射の衝撃に耐えるため三脚に。
主砲が二門減少したが、正面砲力以外はドレッドノートを凌駕する高性能艦になった。
さすがに海援隊独自に建造する能力が無いため一番艦の建造はイギリスだが、二番艦は部品を輸入し海援隊の室蘭造船所で建造。
三番艦、四番艦は国内建造だった。
戦艦建造の技術を日本にもたらし国産化を進めるための処置で戦艦建造のノウハウを得ることになる。
これは後の金剛型でも行われている。
前後二つの背負い式の砲塔を搭載している。砲門数はドレッドノートに劣るが、舷側への火力では遜色なく。むしろ砲塔が少ない分、速力が高く、戦闘力は上。
また背負い式にしたため防御区画が短くなりその分防御区画の装甲の削減に成功。重量軽減に役に立っている。
当時の戦艦には魚雷発射管が装備されていたが、皇海の想定交戦距離が一万から二万メートルに対して魚雷の有効射程が七〇〇〇メートル。移乗の理由により鯉之助は活用の機会が無いと判断。魚雷発射管は取り付けられなかった。
むしろ、船体に穴を開けずに済み、浸水の可能性がなくなったので防御力は向上している。
開戦直前に加入した皇海の性能を見た日本海軍も興味を持ち日露戦争により、五番艦から八番艦も計画され、戦時中にイギリスと日本国内で起工建造された。
諸元
排水量: 常備一六〇〇〇トン :満載二〇〇〇〇トン
全長: 一六〇メートル
全幅: 二五メートル
喫水: 八メートル
機関: 宮原式重油専焼缶、パーソンズ式タービン四軸
最大出力: 三万馬力
速力: 二三ノット
航続距離: 七〇〇〇海里/一〇ノット
乗員: 七〇〇名
武装: 一二インチ連装砲四基 一五.二サンチ単装砲一四門
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