ランクって、何?
「お前、身分証を知らないって、どんな田舎からきたんだよ」
門からある程度離れたところでアルバートが訪ねてくる。
「ん、いや、口から出まかせですが?」
「いや、それはないだろ。門番、一応、真偽の魔石使ってたぞ」
「え? なにそれ」
さっきの白い水晶のことだろうか?
「真偽の魔石は対象の嘘を見抜く魔石だ。街とかには常備されている」
「へえ、そうなのか。あれ? じゃあ、それで俺の話が嘘かどうかわかるじゃん」
元々、街に来た理由はそれなのだから、あそこで真偽を図ってもよかったのでは?
「いや、お前、魔石なんて、簡単に騙せるぞ」
「ほえ?」
「いいか、魔石は対象の魔力なんかの波長で嘘を見抜くんだ。だから、魔法使い系の職業なら、簡単に誤魔化せる」
「それ意味あるの?」
「基本的には、そういう奴は身分証持ってるし、使うにしても魔力阻害結界のなかでやるからな。今回、簡単だったのは、俺がいたからだな」
ほう……ん? アルバートがいたから?
「なんで、アルバートがいたら簡単にいけるんだ?」
「ん? ああ、ほれ見てみろ」
そう言って、アルバートは先程、門番に見せていたカードを見せてくる。
さてと、どれどれ、アルバート、冒険者、ランクA……こ、これは……
「おい、お前……」
「ふん、俺はランク「ランクってなに?」……」
ランクか、テンプレ通りならすごいんだろうが、基準がわからん。
「ランクってのは……まあ、どうせ、あとで説明聞くだろうからそん時に把握しろ」
「……適当だな」
「説明が面倒だ」
それにしてもこの街は随分賑わってるみたいだな。人通りが多くて活気があるな。辺境だからか?
「んで、身分証とかないとこから来たってにはガチなのか?」
「ん? ああ、あれね。身分証を知らないって、嘘はついたけど。それ以外は嘘ついてないぞ」
「あ?」
「ほら、身分証を知らないのか? って質問には、どう言ったものがあなたの言う身分証になるかわからない。って、論点ずらして、身分証のない村出身か? って質問には、故郷ではギルドの登録証なんかは見たことないって、言ったんだ。俺の故郷は村ではないが故郷であることには変わりないし、ギルドなんかはなかったし、身分証も運転免許証とか、別のものなら知ってるけど、市民証……聞いたことないですね」
俺の説明を聞いたアルバートが、呆れた眼差しをこちらに向ける。
「お前、やっぱり、今ここで斬ってもいいかもしれんな」
「なんで!?」
善良な市民(市民ではない)を斬るなど、恐ろしいこと言うなこいつ。
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