甘えたがりの美少女ちゃん
ピーピーピー ピピピピピピ
頭の上で騒がしくなる目覚まし時計でいつものように起こされた。騒がしい目覚ましを止め、僕はベットを降りて洗面所の向かう。
重たいまぶたを起こすため、水で顔を洗う。そして横に掛けてるタオルを手に取り拭いて、鏡を見る。そして何かが僕の頭の中を横ぎる。
あれ?僕、何か重大なことを忘れてるような……。
「ああぁぁ〜〜!!今日は如月さんと登校するんだった!」
高校生活、二ヶ月目にしてやっと友達ができたと思ったら次の日には一緒に登校だぞ。友達との登校に僕は胸を踊らせていた。
一つ思う点があるとするならば、昨日の学校での一言だ。如月さんが口にしたこと、あれは彼女の本心なんだと思う。
「甘えていいですか?」なんて言われたらそりゃあ男子皆、理性を保ったままではいられないだろう。
それとも、彼女にも言えない過去が存在するのか、あるいは……って、そんな深く考えてもね。
よし!昨日のことは忘れよう。
それよりも今は何故こんなにも嬉しいことなのにさっきまで忘れていたのかが問題だ……。
まぁ、それは当然……僕には友達がいなかったからね。
だからこそ、僕はこの繋がりを大事にしたい。学校一の可愛い美少女としてではなく一人のお友達として仲良くなっていきたい。
洗面所を出て、部屋の時計を見たとき、僕はあることに気がついた。
「そう言えば何時頃に出ればいいか決めてない……」
女の人を男性が何分も待たせるのは失礼なことぐらいは僕にでもわかる。でも、連絡先も知らないから連絡手段もないし……。
僕がいつもより早く準備して待ってればいいだけなんだけか。
パジャマから制服に着替えた僕は、キッチンに向かう。そこでかけてあるエプロンを手に取り身につける。
「そう言えば、お昼を交換する約束してたけど如月さんなにが好きなのかわかんないな。嫌いなものは入れたくないけどバランスは取れてたほうがいいよな〜〜」
誰かに自分の料理を食べてもらうなんて親にしかやったことしかないから聞いとけばよかった。
「明日もすることになったら聞いてみるか……」
料理は嫌いではない。なんなら得意である分類だ。友達に食べてもらうなんて嬉しすぎて腕が鳴る。
まな板を用意し右手で持った包丁で野菜を切っていく。
弁当を作り始めてから数分が経過したときだった。誰かが、玄関の扉をノックする音が聞こえた。
「こんな早い時間にどちら様だ?外の人ならチャイム鳴らすはずだからここまで来ないよな……って、まさか!」
僕は急いで玄関の扉を開ける。
やはり僕の予想は当たっていた。長い黒い髪にしっかりと整った輪郭、そして同じ学校の制服……そう、立っていたのは如月雫である。
「如月さん。おはようございます」
「おはようございます東くん。昨日、私の失態で待ち合わせの時間を伝えていなかったのでこうして迎えに来ました」
まさかとは思ったけど……
「いや、時間を聞かなかったことに関しては僕にも非がありますし……でも、どうしてここが僕の住んでる部屋だとわかったんですか?」
僕からしてみれば、今一番の疑問点はそこである。大家さんに聞くしか……
「大家さんに聞いてきました」
ですよね〜〜。
嫌ではない。むしろ迎えに来てくれたのはとても有り難いんですけど準備がまだ終わっていないんだよな。
「あの……大変申し上げにくいんですが、まだ身仕度が終わってなくて……そうだ!」
如月さんは僕を見て首を傾げる。
「中でくつろいで待ってますか?外で待たせるわけにもいかないので」
彼女は驚いたのか、体が固まって返事が返ってこない。
「如月さん?どうかしましたか……」
「はい。そうさせていただきます……」
如月さんは顔を少し下に向けながら聞こえるぐらいの小さな声で言ってきた。
僕は、「どうぞ」とドアの横に体を寄せ彼女を部屋に上げる。なにか変なことをしてしまったかなという疑問だけが僕に残る。
「ここが、
東くんの住んでいるお部屋……」
部屋の真ん中に立って何かを喋っている如月さん。そんな彼女を見て微笑んだ僕は、弁当作りに戻った。
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