第2話 SOS2

「ふあ~あ! よく寝た。」

 僕の名前は佐藤蒼。普通の小学一年生。自分の部屋で目を覚ます。

「良かった! 生きてた! わ~い!」

「勝手に殺すな! この堕天使が!」

「堕天使言うな!」

 この小さな動く呪われたぬいぐるみが天使のエルエル。

「神様に体を貸してから目覚めないから、てっきり死んだのかと心配しちゃった。」

「ちゃんと生きてます!」

 なぜか僕の体には神様が宿ってしまったらしい。

「強くなって僕が地球を救ってみせる!」

 僕は地球を守る勇者になるのだ。

「蒼! エルエルちゃん! 朝ごはんよ!」

 蒼ママがご飯だと呼んでいる。

「は~い!」

「お先! ご飯! ご飯!」

 こうして蒼の朝は始まる。


「なに? バエルがやられただと?」

 魔界。魔王シュベルトが悪魔騎士ルシファーから報告を受けている。

「はい。それも人間の子供相手に負けたそうです。」

「なに!? 子供如きに負けたというのか!? 信じられん。」

 魔王シュベルトはバエルが人間の子供に負けたことが信じられなかった。

「やはり人間は絶滅させねばいけない。いつ我が魔界に攻め込んでくるかもしれないからな。」

「はい。人間の存在は脅威です。」

 人間の破壊行動は魔界でも問題になっていた。

「アガレス! アガレスはおるか?」

「はい。魔王様。」

 悪魔アガレスが現れる。

「アガレスよ。人間界に行ってバエルを倒したという人間の子供を殺してこい。」

「御意。」

 アガレスは人間界に飛び去って行った。

「私に歯向かうものは、例え子供であっても許しはせん。地球から人間を滅ぼしてくれるわ! ワッハッハー!」

 魔界に魔王シュベルトの笑い声が響き渡る。


「もうすぐ新入生の実力を見るための新人戦が行われます。しっかり剣と魔法を勉強して強くなりましょうね。」

 新1年生も入学したばかりだが現状の実力を見るために学校内の新人戦が行われる。

「おお! 強くなって僕が地球を救います!」

 蒼は地球を救いたい気持ちが強いので張り切る。

「蒼! 剣は俺と修行しようぜ。」

「魔法は私が教えてあげるわよ。」

「樹くん、詩ちゃん。ありがとう。」

 蒼と樹、詩は入学式以来仲良しになった。

「もちろん国語、算数も英語も勉強してくださいね。」

「ええー!」

 勉強が好きな子供はまずいない。

「ついでに勉強も教えて下さい!」

「無理。俺も勉強は嫌いだ。」

「私もダメよ。勉強なんてしたことないんだから。」

 3人は勉強嫌いであった。

「笑! 助けて!」

「え、ええ!? わ、私も自信がないよ!?」

 笑も当てにならなかった。

「4人とも面倒みましょうか?」

 朧が救いの手を差し伸べる。

「朧先生! 宜しくお願い致します!」

 蒼は朧とも仲良くなった。蒼のお友達4人目。

「勝負だ! 蒼!」

「いくぞ! 樹くん!」

 剣は樹と修業する蒼。

「蒼! 魔法はインスピレーションよ! 気持ちの問題よ!」

「できねえ!? 僕は魔法が使えないのか!?」

 魔法は歌に教えてもらう蒼。

「笑。何か教えて。」

「わ、私には教えることは何もないよ。」

 笑からは何も教わらなかった蒼。

「これはどうなるんですか?」

「1+1=2ですよ。」

「おお! すごい! さすが朧先生!」

 普通科目の勉強は朧に教わった。

「これで新人戦も大丈夫! アハッ!」

 そんな訳あるか! とカバンに付いているぬいぐるみのフリをしている天使エルエルは思った。


「蒼。あんたって周りの人間に助けられてやっと生きているのね。」

「持つべきものはお友達です。アハッ!」

 帰り道、蒼とエルエルは今日の学校での出来事を話している。

「勉強はいざとなったら私が他の生徒の解答を見て教えてあげるわ。」

「カンニング!? 不正はいけないんだぞ!? この堕天使が!」

「ならいいの? 教えなくても。」

「教えて下さい。天使様。アハッ!」

「この日和見主義者め。」

 背に腹は代えられない蒼であった。

「それにいざとなったら気絶すればいいのよ。そうすれば神様が代わりに問題を解いてくれるわよ。」

「なんて悪知恵の働く奴なんだ!? やはり堕天使だな!」

「堕天使言うな!」

 相変わらず仲の良い蒼とエルエル。


「キャアアアアアアー!」

 

 その時、悲鳴が響き渡る。

「悪魔だ! 悪魔が現れたんだわ! 行くわよ! 蒼!」

「逃げよう! 生きていなければ意味がないもの!」

 怖いので逃げ出す蒼。

「絶対に逃がさないからね!」

 しかし蒼は天使エルエルに捕まった。

「離せ! 離してくれ! これが天使のやり方か! 堕天使め!」

「堕天使言うな! 私は立派な天使です!」

 蒼は事件現場に引きずられて向かう。


「ガッハッハー! モンスターども! 人間を皆殺しにするのだ!」

「スラスラ!」

「ゴブゴブ!」

 悪魔アガレスがスライムとゴブリンを使って街で暴れている。

「ギャアアアアアアー! 悪魔だ! 逃げよう! エルエル!」

「地球の騎士になる者が逃げてどうするのよ? いって死んできなさい!」

 蒼はエルエルに悪魔の生贄にされる。

「なんだ? おまえは?」

 悪魔アガレスに蒼は見つかった。

「ただの通りすがりの小学一年生です。さようなら。アハッ!」

 笑って誤魔化す蒼。

「まあ、いいか。子供ぐらい・・・・・・子供!? そうか! おまえだな! バエルを倒したという子供は!」

 優しい悪魔アガレスは最初は蒼を見逃してあげようと思ったが何かを思い出した。

「ギャアアアアアアー! バレた! 殺される!」

 慌てて走って逃げだす蒼。

「逃がすか! バエルの敵討ちだ! くらえ! アースクエイク!」

 ゴゴゴゴゴゴゴーっと悪魔アガレスは地震を起こす。

「ウワアアアアアー! 死ぬ! もっとアンパンをたくさん食べておけば良かった!」

 蒼は地震で裂けた道路の奈落に落ちていった。

「たわいもない。あんな子供にバエルがやられたというのか。ワッハッハー!」

 勝利を確信した悪魔アガレスは高笑い。 


ピカーン!


 その時、道路の奈落から光が溢れ出す。

「なんだ!?」

 光を眩しがる悪魔アガレス。

「私の器を傷つけたことを後悔するがいい。」

 蒼の体から神ゼウスが現れた。見た目は蒼のままである。

「子供なのに、こいつから感じる威圧感はいったいなんだ?」

 悪魔バエルは神ゼウスの存在を知らない。

「もう一度奈落の底に落としてやる! くらえ! アースクエイク!」

 悪魔アガレスは再び地震を起こす。


ゴゴゴゴゴゴゴー!

 

 地震が起こり地面が裂ける。

「どうだ? やったか。」

「地震など空を飛んでしまえばどうということはない。」

 神ゼウスは空に立っている。

「バカな!? たかが人間が!? 人間の子供が空を飛べるというのか!? なんて恐ろしいんだ!? 人間の子供!?」

 悪魔アガレスは蒼の体に神ゼウスが宿っていると知らない。

「愚かな。私に歯向かったことを悔やむがいい。神サンダー!」

 ゼウスは雷魔法のサンダーの神様バージョンを放つ。マジ神である。


ゴロゴロピッシャンー!


 空が曇り暗雲が立ち込め、悪魔アガレスを目掛けて稲妻が雷鳴と共に降り注ぐ。

「ギャアアアアアアー! 覚えてろよ!」

 悪魔アガレスに雷が命中。悪魔アガレスは真っ黒に焦げながら魔界に撤退していく。

「私が負けることはないのだ。」

「さすが! ゼウス様! 宇宙一!」

 よいしょを忘れない天使エルエル。

「蒼を地球の騎士に育てるのだ。後は頼んだぞ。エルエル。zzz。」

 力を使い果たし眠る神ゼウス。

「放置して行こうかしら? ダメダメ。神様に怒られちゃう。でも目覚めるまで待っているのは暇よね。顔に落書きでもして過ごそう。アハッ!」

 こうして悪魔アガレスは倒されて平和な地球が戻って来るのであった。

 つづく。



1年2組

佐藤 蒼 剣士

鈴木 樹 剣士

高橋 詩 魔法使い

田中 笑 回復職

伊藤 朧 剣士


1年2組

井上 楓 魔法剣士

木村 築 魔法

林  空 魔法

斎藤 蛍 魔法

清水 心 魔法 


校長 渡辺

購買のおばちゃん。 山本

保健の先生 中村 

剣の先生 小林

魔法の先生 加藤


悪役で教頭。吉田

担任の先生。山田

VR全否定の普通の授業の先生。佐々木

掃除のおっちゃん。山口

給食のおばちゃん。松本


神ゼウス

天使エルエル


蒼パパ

蒼ママ


魔王シュベルト


悪魔騎士ルシファー 光魔法


悪魔バエル    光魔法

悪魔アガレス   地震

悪魔ウァサゴ   暗殺

悪魔ガミジン   召喚

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