妖精ですよ?
次の日になりました。
スヤスヤ~
スヤスヤ~
うにゅ…………ふわぁ~
赤ちゃんであるシオンの隣で眠っていたフィーネは良く寝たと、ぐぐっと身体を伸ばした。
そしてふと顔を上げると─
目、目、目、
これでもか!と、大勢の人々が見詰めていた。
『うひゃーーーーーー!!!!!!!!』
なになに!?なんなのよ!!!
フィーネは飛び上がるほどに驚いたが、逃げ場所がなかった。赤ちゃんの眠る狭いベットの隅に身を寄せるしか出来なかった。
「お前達!何をしているのですか!シオンお嬢様の命の恩人である妖精様が驚いているではありませんか!?」
そこに執事長のセバスがやって来た。侍女達は慌てて背を伸ばし整列した。
「失礼致します。言葉がわかりますか?私はこの屋敷の執事長をしておりますセバスと申します。昨日はシオンお嬢様を助けて頂き本当にありがとうございます。我が主に代わって御礼申し上げます」
セバスは丁寧な口調で、深く頭を下げた。
『あ…………私の姿見えてる?』
フィーネは冷や汗をダラダラと流した。
まさか、たった2日目で姿を見せるとは!?
ヤバい!
私、死んだかも………?
悲壮感に浸ったフィーネはすぐに思い止まった。
あれ?
そういえば、別に姿を見せるなとは言われていないわね。
ならいいかなー?
この駄女神であるフィーネも、能天気な頭の持ち主であった。
「別にいいわよ。それよりこの赤ちゃんが気に入ったから、これから一緒にいるのを許してちょうだい」
!?
セバスはやはりと思った。
この世界は魔法が存在する世界である。
しかし、その中でもエルフやドワーフなどの亜人も存在している中でも、妖精は滅多に人前に姿を見せないことで有名であった。
格式高い公爵家の侍女達も、初めてみる妖精に夢中になるのは無理ないことであった。
「シオンお嬢様をよろしくお願い致します」
「任せておいて!」
フィーネは無駄に自信タップリに胸を叩いていった。
「もし宜しければお名前をお伺いしてもよろしいですか?」
「私はフィーネって言うのよ♪」
フィーネは気付いていなかった。
すでにセバスの話術にハマり、情報を言わされていることに…………
「フィーネ様は人間の食べ物をお召し上がりますか?」
「うん♪食べるわ!」
セバスは手を叩いて侍女に命じた。
「聞きましたね?妖精のフィーネ様はお腹が空いていらっしゃいます。朝食の準備をなさい」
数名の侍女は少し慌てて出ていった。
「フィーネ様、食事の準備に少し時間が掛かります。宜しければシオンお嬢様の父である当主様に会って頂けませんか?」
ここで初めてフィーネは考えた。
『う~ん?まずくないかな?まぁ、もう大勢の人に見られたしいっかー!』
フィーネは悩んだのは数秒で、すぐに返事をするのであった。
当主であるカールの執務室へ向かう途中で、セバスは考えていた。
『旦那様の仰ったことは嘘ではありませんでした。本当にシオンお嬢様は規格外な御方なのかも知れませんね』
将来が楽しみですと思いながら扉を叩いた。
「失礼致します」
「うん?どうしたこんな朝から?」
カールは起きてから朝の書類のチェックをしていた。
「妖精がシオンお嬢様と一緒に眠っておられたので連れて参りました」
????
カールはなんの事だ?とセバスを見ると、フィーネが飛んで現れた。
「あなたは!?」
「私は妖精のフィーネ。昨日、貴方に声を掛けた人物よ」
「おおっ!貴方のおかげで大切な娘を救えました。ありがとうございます!」
「良いのよ♪それより、シオンの事を気に入ったからここに住むわ!」
!?
「それは願ったりだ。これからもシオンの事をお願い致します」
「任せて!」
こうしてバーニングハート公爵家に、妖精が住み着いたのだった。
これは後にミスリル王国に大きな話題となって、公爵家の来客が増える事となる。
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