第15話 で、何で合流したんだ? って……またアンタかよ!
「何なんですの、あの男は!」
アドライアが早速、アドレーアに向けて憤慨してるぜ。俺はちょっとだけ遠巻きに聞いてる。
「英雄の末裔とお聞きして、どのような殿方かと思えば……こんな下品で乱暴な男だなんて、知りませんでしたわお姉様!」
「乱暴ねぇ……。いちおう寸止めしたんだぜ?」
「寸止めでもなんでも、あのような
「悪かったな、俺ぁ普通じゃねぇんだよ」
国王陛下であるエーレンフリートを“おっさん”呼ばわりしてるくれぇだしな。つーか騎士学校における俺の噂、聞いてなかったのか?
「あれでも実力は本物ですわ。
「ええ、それは確かに……」
おっ? これは素直に聞くのな。ちょっと意外。
てっきり、もうちょっと食ってかかるかと思ってたぜ。
そんなことより、だ。
「で、アドレーア? 何で俺たち、合流したんだ?」
「まだその理由を説明しておりませんでしたわね。ゼルシオス様には、この映像をお見せします」
言うが早いか、アドレーアが腕の端末を操作する。
と、空中に映像が投影された。映ってたのは……
「また
「誰を『おっさん』ですって!?」
「
後方からはたかれる気配がしたので、とっさに身をかがめる。
案の定、アドライアが空振りした手を振り抜いてた。ふざけやがって。
「まったく、とんだじゃじゃ馬貧乳王女だぜ……」
「誰が『じゃじゃ馬貧乳王女』ですって!?」
「おめーだよ、おめー。もうめんどくせぇ、ちょっと黙ってろ」
クソ腹が立ったので、お姫様抱っこしてやる。せいぜい恥ずかしがりやがれこのおてんば娘。
俺はアドライアの、抗議代わりの暴力をあしらいながら、
『……ドミニアに命じる。ヴァーチアと合流し、“
「おぉい!?」
過去に何度も半端な戦力で行っては誰も帰ってこず、ならばとばかりに贅沢なレベルの戦力をブチ込んでも壊滅――
とまぁ、ここまでの被害を叩き出したってワケだから、現状
内部に関しちゃ、ほとんど情報が集まってねぇ。生き残りが話すのは、「外と中とじゃ時空間が違う」だの「見た目からは有り得ない広さだった。戦艦すら入るほど」くれぇのもんだ。
「
実際、
脅威度は高度によるとしても、数が多けりゃそれ自体が厄介極まりねぇ。
「そこはゼルシオス様をはじめ、パイロットの皆様次第ですわ」
「ま、そうなるよなぁ」
実際は戦艦も援護するとして、基本的に
数の多少を問わず、やるっきゃねぇ。
「ところで……ドミニアにパイロットは、俺とライラだけなのか? アドレーア」
これはクルー達の会話を盗み聞きしたんだが……どうやら、ドミニアにはアドシアのパイロットがほとんどいなくなってるらしい。俺とライラはともかく、それ以外がゼロ人だそうだ。
「そうですわね。ですので、アドライアの乗るヴァーチアから一部のパイロットたちを借り受けて、一時的にドミニアの戦力とします」
「んなこったろうと思ったぜ」
道理で俺が
俺が来るまでに何があったか知らねぇが、だいぶ戦力事情にゆとりがねぇワケだ。たぶん、それも俺への契約を決断させた一因だろうなぁ。幸いヴァーチアと合流出来たから、もう大丈夫だろうが。
「で? それが終わったらまた元に返すワケだろ? 結局その場しのぎじゃねぇか」
「そこは問題ありませんわ。作戦終了と同時期に、ヴェルハイムで優秀な兵たちをドミニアに回す、とお父様から連絡を受けています」
「作戦までにゃ間に合わねぇのかね?」
「間に合わなかったようですわね」
戦力は多いに越したこたぁねぇが、無いものねだりも出来やしねぇ。
戦艦2
正直、これで
今回は周辺偵察だからいいようなものの……。まったく、大国の、しかも王族に割り当てる戦力じゃねぇだろうこれ!
「少なすぎねぇか? いくらなんでも、この数は……」
「そこは付近の正規軍を招集してカバーしますわね」
アドライアが、俺にお姫様抱っこされたまま話しかけてきた。
「正規軍ねぇ。数はどの程度なんだか」
「アドシアおよそ70機、巡洋艦3隻ですわね」
なら不安は
「ところで、だ。アドライア」
「何でしょう?」
俺はアドライアをそっと降ろしながら、尋ねる。
「合流するパイロット……どこにいる? ちょいと顔ぶれを見ときたくてな」
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