第9話



 この連邦国では、高等校を卒業すると、卒業生のそれぞれが専門の学校へ通うことになっている。長女は勉強は出来たが、理科系は苦手だったので文系で此の連邦国の歴史を学び研究しようと思っていた。然し、お父さんの突然の死で、歴史院へ進む事を諦め、近所のお店で働いていた。


 お店を終えて家に帰ると、お母さんからお話があった。縁談の話である。隣の村の診療所のお医者さんの息子で、既に連邦国の医学専門校を卒業して隣の村の診療所で父の手伝いをしているらしい。一方、長女といえば、村では評判の美人だったので長女さえ承諾すれば成立する縁談のように思えた。然し、此の縁談は直ぐには纏まらなかった。長女の出した条件が相手方の父親には満足いかなかったようだ。長女の出した条件とは此の村の診療所の復活であった。要するに養子に迎えたいと言う事。でも、息子さんは美しい長女を好きで好きで堪らなく。とうとう父親を説得してお婿さんとして迎えられる運びとなった。


 二人は、診療所の隣に新居を構え、新しい生活を始めることになった。診療所の名前はもちろん以前のままで、トルー診療所である。

 一方、古巣のトルー家にはお母さんと次女、そして長男のトルー・シャーシャンの三人の生活が始まる。

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