ゾクッ話
色塚京
第1話 撮り鉄
「あと3分で来るぞっ!」
電車のホームでカメラを構えて、御目当ての電車を待つ鉄オタ。
少し興奮気味なのか鼻息が荒い。
その鉄オタから放たれるオタクオーラに誰もが距離をとっていた。
しかし、1人のお爺さんが鉄オタに話しかけていった。
「そこの兄さん。ここの電車は時速何キロぐらいじゃ?」
「普通でだいたい70キロぐらいですよ」
「もう一回言ってくれんかのう?」
「だからだいたい70キロぐらいですよっ!」
鉄オタはカメラを構えることをやめ、お爺さんに聞こえるようはっきり言った
「そうかい。お兄さんありがとぉ」
答えを聞くとお爺さんはベンチに座った。
そして、撮り鉄は線路を見ると既に電車がベストショットポジションを過ぎていた。
「くっそーーー!明日もここに来るか」
悔しそうな表情をしてその日は断念した。
次の日。
鉄オタはリベンジで今日もその駅に来ていた。
改札のところを通ろうとしたその時、
ガッシャーーーーーン!
何かが電車にぶつかる音がした。
すぐに駅員が改札を封鎖し、その日も断念し、家に帰った。
家に帰って悔し涙を拭き、ポテチを食らう。
そして寝転がりテレビをつけた。
『速報です!今日の昼過ぎに〇〇駅で飛び降り自殺した男性の身元が分かりました』
鉄オタはすぐに自分の身の近くで起きた事故だと気がついた。
『亡くなったのは秋宗〇△さん(71)です』
その知らせと同時に画面に死亡した人の顔写真が出た。
写真を見て鉄オタは後悔したという。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます