BOAの玩具箱「古物ガレージ編」vol.5 DX超剛金 野獣合体ワイルドキング(MANDAI/2001年)

 はい、もはやお馴染みとなりました「古物ガレージ」の第5回は、戦団シリーズの巨大ロボ玩具において大きなエポックメイキングとなった、2001年の「DX超剛金ちょうごうきん 野獣やじゅう合体がったいワイルドキング」(及びパワービーストシリーズ)を取り上げてみようかと思います。


 えー、好きこのんでこのサイトを訪れて下さる玩具フリークの皆様には、今さら説明の必要はないかと思いますが……。

 戦団シリーズのロボ玩具に超剛金ブランドが復活して4年目となる「野獣やじゅう戦団せんだんワイルドファイブ」は、シリーズ25周年という節目の一作であることと、前年の「クロノファイブ」の玩具売上不振も相まって、MANDAIさんとしてもメチャクチャ玩具展開に力を入れた作品となっていたんですね。

 あの一年、次から次へと発売されるパワービーストシリーズのバレ情報を追っては掲示板に張り付き(当時は某ちゃんねるもまだあまり一般的でない時代でしたね)、限定カラー品を逃さず手に入れようとジャ●コやトイザ●スに走ったのは私だけではないはず……(遠い目)。


 まあ、シリーズとしての総評は別の記事に回すとして、ここでは「ワイルドファイブ」のロボ玩具のスターターセットともいえる「野獣合体ワイルドキング」を振り返っていきましょう。


 ワイルドファイブは、いわゆるファンタジー戦団と言われる作品としては、ダイノファイブ、チャイナファイブ、ニンジャファイブ、ギャラクシーファイブに続く5作品目でして、これら過去のファンタジー戦団の例に漏れず、作中の巨大ロボもまた、戦闘機や車といったビークルではなく、動物モチーフの巨大メカが合体して人型巨大戦力になるという形になっています(設定上「機械」ではないので、巨大メカとか巨大ロボという呼称に難色を示す方もおられますね。まあ、ここでは、ヒーローが乗る巨大戦力=「巨大ロボ」という定義で話を進めます)。


 で、ワイルドファイブの一号ロボが、このワイルドキング。

 こちらの写真が、分離状態の5体です。ワイルドレオン、ワイルドホーク、ワイルドオルカ(orca=シャチですな)、ワイルドオックス、ワイルドパンサーの5体のパワービーストが合体してロボになるんですが、この分離状態のパワービーストが、とにかくスタイリッシュでかっこいいわけですよ。

 ギャラクシーファイブまでのファンタジー戦団は、生物型メカといってもまだどこか機械的な意匠が抜けきっていなかったのですが、ワイルドファイブのパワービーストは、それまでの戦団シリーズのイメージを塗り替えるように、曲線的なフォルムで生物感を出すことに舵を取ってきたんですね。これには、CG技術の進歩によって、着ぐるみではなくCGメインでの生物型メカの描写が可能になったことも要因としてあると思いますが、とにかく、このパワービーストのフォルムをひと目見ただけでも、「これまでの戦団シリーズのロボとは違うぞ」と思わせる力があります。


 私が特にすごいなと思ったのは、この、イエローのタカ型パワービーストである「ワイルドホーク」。ご存知の通り、ワイルドキングでは頭部、別合体形態のワイルドレスラー(及びリデコのワイルドナイト)では腹部の装甲を構成します。

 この小さなワイルドホークに秘められた可動範囲が、まあとにかく凄い。首の上下、クチバシの開閉、脚の上下と爪の展開、尻尾の上下、そして両翼にはなんと上下・前後・角度旋回の3つもの可動関節があります。鳥型メカとして取りうる(←ダジャレではない)ポーズがほぼ全て再現できてしまうんですね。もう、ほとんどオーパーツじゃないでしょうか、これ。これほどの可動域を持ったメカが単体の玩具ではなく合体ロボの一構成パーツとして世に出ていたという事実一つを取ってみても、当時のMANDAIさんの「本気」がうかがえるようにBOAは思えてなりません。


 閑話休題。

 さて、この5体が「野獣合体」して誕生する「ワイルドキング」がこちら。ワイルドレオンが胴体、ワイルドホークが頭部、ワイルドオルカが右腕、ワイルドオックスが腰と両脚、ワイルドパンサーが左腕を構成しています。

 ワイルドファイブのロボ玩具が、その商品展開のみならず単体のクオリティでも秀逸と言われるのは、なんといってもこのプロポーションの良さに由来するところが大きいのではないでしょうか。

 特筆すべきは、この、脚の角度です。それまでの戦団ロボ玩具といえば基本的に「棒立ち」が当たり前で、郵便ポストとか冷蔵庫とか揶揄される箱型の体型が、良かれ悪しかれ一種の様式美ですらありました。その「伝統」を大胆に切り崩してきたのがこのワイルドキングです。合体時、腰の関節接合部が少しだけ左右に開いて、両脚がナナメに開いた状態で接地するんです。それ以降の戦団ロボでは別段珍しくもなくなりましたが、この当時はこれが凄まじい衝撃でした。

 こちらの写真では、試しに前年のクロノロボ・アルファと並べてみましたが、脚が閉じているか開いているかで見栄えの差が一目瞭然です。

 ちなみに、この脚部の変形ギミックは、MANDAIの開発のNさんが電車で移動中に閃き、その場でメモに書き留めたと「戦団シリーズアートコレクション」に書いてありましたが、本当、神がかりというか、ほとんど変態じみたギミックですよね(←褒め言葉)。


 さて、ワイルドファイブのロボ玩具のスターターセット的な役割を担っているワイルドキングですが、作中での必殺技はなんと武器を用いたものではなくビームであり(これも戦団の一号ロボとしては初の設定)、単体での手持ち武器は貧弱です。一応、ワイルドオルカの尾ヒレが外れて「セイバーフィン」という剣になるんですが、まあこれは手に持たせた際の見た目もあまりよくありませんし、オマケ程度のギミックですね。ワイルドキングの武装の真価は、別売りのパワービーストシリーズを野獣やじゅう武装ぶそうさせた時に発揮されます。

 というわけで、次の記事では早速、追加武装となるパワービーストシリーズを紹介しましょう。


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