板野かも 匿名短編企画エントリー作品集

「ギャグ・コメディー掌編小説コンテスト」参加作品

お題：「スカートめくり」

　パーティーホールの中央にぐるりと並べられたのは、下半身だけの大量のマネキン。名うてのギャンブラー達が今宵もこの船に集い、誇りを賭けた闇のギャンブルに名乗りを上げている。

「まずはこのフレアースカート。長すぎず短すぎない『こなれ感』、これは本物の女と見た！」

　ばっと手を伸ばし、一人のプレイヤーがマネキンのスカートをめくり上げる。が、そこに現れたのは男物のトランクス！

「ぐ……！」

　屈辱の男物を手に取らされるプレイヤー。だが、これでいい。まだ場札（パンツ）のない初手の段階では、とにかく着実に手札（パンツ）の枚数を伸ばすことが肝要……！

　全員が手番を消化し、男物か女物、いずれかの手札（パンツ）を手にしたところで、手番は再び最初の者に戻った。ここからは手札を失うか増やすかの戦い。手番ごとに細心の注意力が試される。

「このミニスカートだが、微妙に男受けのポイントを外している。女装ならもっと男受けするスカートを選ぶ筈！」

　が……！

「ぐっ……！　坊主（ノーパン）っ……！」

　このギャンブルにおける最悪の一手。手札を全て場に捨てさせられるハズレ札、それが坊主（ノーパン）……！

　屈辱の表情で手札のトランクスを場に叩きつけるプレイヤー。勝負はまだ始まったばかり――。