第352話 【遊戯神の迷宮攻略・2】
11層からの攻略は、6層目からの攻略の時よりも範囲が広くなっていて一層を攻略する時間も長くなっていた。
ただそれは俺達の考えなだけであり、普通の冒険者であればかなり早い時間で攻略していっていた。
今の時間は大体昼少し過ぎ位の時間で、俺達は既に15層まで攻略している。
そして昼食の為、15層の攻略後に休憩部屋に入った俺達は昼食を食べつつ、これからの話をしていた。
「16層からの話だけどさ、レンには悪いけど移動の時間を早めてもいいかな? 今日中に20層には行けそうだけど、もし20層のボスが手強かったら時間が足りないかも知れないからさ」
「あ~、そうだな。その可能性もあるし、別にいいよ。今日の目的が20層攻略だからね」
「ありがとう。ちゃんと、探索の時間も考えるよ。その、ずっとクロエ達がソワソワしてるからさ」
現在の時刻的に、まだ間に合うと思うのだがクロエ達は先程から少しソワソワしていた。
その理由は、多分メイに会えるのが明日になりそうだからだろう。
クロエ達としては一刻も早くメイに再開して、あのほっぺたをプニプニしたいらしい。
レンもそれには気づいていたみたいで、俺の頼みを聞いてくれた。
そうして食後、探索の時間を削り俺達は下へ潜る速度を更に早めた。
「よし、20層だな」
16層の休憩部屋で休憩してから、大体三時間程が経ち俺達は無事に20層のボス部屋に到着した。
ここは既にギルドの探索範囲外の為、情報はあてにはならない。
ただハンゾウからの情報だと、ここのボスは一匹だと聞いている。
「皆、準備は良い? 中に入るよ?」
「大丈夫だよ」
「いつでも、オーケーだよ」
「ああ、俺も大丈夫だ」
皆は俺の言葉にそう返事をすると、俺は扉を開けてボス部屋の中へと入った。
20層のボスは、一匹の巨大なゴーレムだった。
15層のボスに似ていはいたが、その時よりも大きくなっていて、あっちが速度タイプだとすると、こちらは体力タイプだろう。
「わ~、またゴーレムだ! 今回のは戦い甲斐がありそう!」
前回、一発で倒してしまったレイはそのゴーレムを見ると、目をキラキラと輝かせていた。
そして俺達が戦闘態勢に入ると、向こうのゴーレムも起動して動き始めた。
「ガガガガ」
ゴーレムは音を出しながら接近してくると、その巨大な手で張り手を行ってきた。
俺達はサッと避けると、ゴーレムの張り手は迷宮の地面に直撃した。
すると次の瞬間、足元が揺れ地震が起きたような感覚になった。
「あの攻撃、かなりヤバいな……この迷宮は頑丈だから壊れる心配はないだろうけど、足元が揺れて体勢がきつくなるな。早期決着が望ましいな」
「そうだね。何度も食らってたら、気分が悪くなりそうだから早く倒したいね」
そうクロエと話していると、反対側に避けていたレイがレンを連れて戻って来た。
「私の攻撃であの手、壊してみてもいい? 多分、いけそうだけど」
「……レイがそう言うなら、試す価値もあるだろう。レンとクロエはそのサポートを頼む、俺は俺でレイに攻撃が集中しないように別から攻撃を仕掛けてみるよ。それとレイ。今回は、全力でやってみてくれレイの攻撃力がどれ程なのか確認しておきたいから、もし倒せそうならそのまま倒してもらっても構わないよ」
「ッ! 全力だね。分かったよ」
俺のその指示に対して、レイ達は返事をして二手に分かれた。
レイの攻撃力は前回のゴーレム戦で見た限りだと、まだまだ全力ではない様子だった。
なら今回のあの巨大なゴーレムが、測定器になってくれるだろう。
迷宮のボスを測定器代わりに使おうと思った俺も大概だが、そうでないと測れないレイの攻撃力も人外レベルに到達してるな……。
そんな事を思いながら俺は作戦通り、レイに攻撃が行かないように別の場所から魔法攻撃を仕掛けた。
「よ~し、行くよ~!」
今回は全力で頼むと言ったレイは、全力を出す為に魔力を溜めて自身の攻撃力を更に上げていた。
【身体能力、剛力、強靭化】等の身体強化系スキルに加え【集中、闘志、冷静】で精神的に落ち着かせていた。
そんなレイはバチバチと魔力が体から放出されていて、攻撃力だけでなく速度も異常な程早くなっていた。
「はい、ドーン!」
「ガガガ!?」
「さらにもう一発、ドーン!」
「ガガ!?」
速度、攻撃力が大幅に上昇したレイの攻撃は俺の目でも、頑張らないと視界から外れそうだった。
そしてそんなレイの攻撃に、ゴーレムは太刀打ち出来ず防御に回るがそれでも攻撃を防ぎきれてなかった。
楽しそうに攻撃をするレイの無慈悲な連続攻撃に、ゴーレムは為す術がなく、数分後には核も潰されてしまい、ただの瓦礫の山となった。
「レイってこんなに強かったんだな……」
「俺はもうあいつを怒らしたら、死ぬ未来しか見えないな……兄妹喧嘩はもう一生やらない」
レイの凄まじい攻撃を見た俺とレイはそう言い、楽しそうな笑顔を浮かべているレイに対して笑みを無理に作って手を振った俺達だった。
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