当選スピーチ

「カクヨムヒロイン総選挙」当選スピーチ

「続いて、第9位! 162票! 板野かも作、『48million ~国民総アイドル社会~』登場、さかえクリス!」


「……あぁっ、悔しい! だけど、この上にいる8人の方々。わたしを燃えさせてくれてありがとうございます。またこういう総選挙があるのなら、今度こそは負けません。次こそは必ず『神7』に――いえ、1位になってみせます。東海ミリオンの意地を懸けて!


 悔しい反面、投票して下さったファンの皆様には、もちろん感謝の気持ちでいっぱいです。皆様がわたしに沢山の愛を下さったからこそ、わたしは、この身を焦がすほどの悔しさと、次回への決意を、このステージの上で語ることが出来ています。皆様、本当にありがとうございました。


 この総選挙の最中、21世紀の皆さんから小耳に挟んだんですけど――現実の世界では、わたしと似た顔をした中京ナゴヤのアイドル、わたし達の偉大な先輩が、この2018年という年、グループの命運を背負った戦いに挑もうとしているそうですね。

 その方にはぜひ勝ってほしいものです。わたしの時代には名前も顔も伝わらない、遠い昔のおとぎ話ではあるけれど――その方がこの街で燃やしてくれた炎は、きっとわたしの時代まで届き、わたし達の胸でいつまでも熱く燃え続けてくれるでしょう。」



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「続きまして、第8位! 獲得票数、197票! 板野かも・作、『IDOLIZE -アイドライズ-』登場、指宿いぶすきひとみ!」


「こんばんは。指宿瞳です。わたしに票を投じて下さった皆さん、本っ当に、ありがとうございます!

 わたしの出てくる物語を読んで下さっている皆さん。現実のアイドル界隈から応援に来て下さった皆さん。多くの人の支えがあったからこそ……主人公でもないわたしが、8位という素敵な順位を頂くことができました。養母ははが見ていた景色に、わたしは今、少しだけでも近付くことができた……そのことへの嬉しさで、胸がいっぱいです。


 でも、わかっています。この順位はまだ、わたしの実力じゃない。指宿瞳という名前がなければ……自分のものじゃない看板を借りなければ、わたしはきっと、80位にも入ることができなかった。巨大な力に引き上げてもらって、わたしはここに立っている。その現実を今、強く噛み締めています。

 だから、わたしの次の目標は、自分だけの力で選抜に……ううん、トップに立つことです。皆さん、どうか見ていてください。

 今日頂いた順位をバネに、わたしはもっと頑張ります。本当に本当に、ありがとうございました!」



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「参りましょう、第6位! 246票! 板野かも・作、『IDOLIZE -アイドライズ-』登場、指宿いぶすきリノ!」


「皆様、こんばんは。ご紹介にあずかりました指宿リノ、現役四十八歳フォーティーエイトでございます。


 ……まさか、このステージからの景色をまた見る日が来るなんて思いませんでした。最後に司会者さんに名前を呼んで頂いたのは、もう22年も前になりますね。人生って本当、何があるか分からないものです。……ふふ、みなさーん。指宿リノちゃんが帰ってきましたよー。なぁんて。


 今回の総選挙でわたしが一番嬉しかったのは、ファンの皆さんが、わたしだけじゃなく、瞳にも沢山の票を投じて下さったことです。お陰様で、母娘揃っての選抜入りという前代未聞の記録を作ることができました。

 いや、おかしいでしょ。実の娘じゃないとはいえ、普通に子供がいるような歳でお前何アイドルぶってんだよ、って話ですよ。まあ、でもね、この上にも、130歳の方とか明治生まれの方とか、色々いらっしゃるみたいなので、たぶん大目に見てもらえるでしょう。


 その瞳が先ほど、この順位は自分の力じゃないとか、巨大な力に引き上げてもらったとか、色々と殊勝なことを申し上げましたが……わたしは、どんな手を使おうとだと思ってるので。あ、まとめサイトの皆さん、炎上させないでくださいね。わたしが申し上げたいのは、どこから集めてきた票でも、それはわたしを勝たせようと思って入れて下さった票に違いないわけで、そうした全てを引っくるめて皆さんの愛なんだと。そういうことです。


 何年を経ても変わらずこの黄色いコートを震わせる、皆さんの声援が……皆さんの愛が、わたしの人生の宝物です。ご支援ありがとうございました。これからも、指宿リノ、そして指宿瞳を、どうかよろしくお願いいたします。」

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