「匿名短編コンテスト 過去VS未来編」参加作品(再掲にあたり登場人物名を本編準拠に変更)

『大和ナナの本当にあった話「艦長を殴った少尉」』

「そんで、蓋を開けてみたら主催者の作品やったんですよ」

「はぁ! なんや、主催者自身がダイマしとったんか。『ワイの作品皆読めよー』ゆうて?」

「そーゆーことです」


  やっぱりそうだったwwww

 汚いなさすが○野汚い

   まあみんな薄々わかってたよね


「ははぁ、俺らで言うとアレやな、O-1とかに出とる芸人が『コイツらの芸おもろいでー』ゆうて自作自演で宣伝する感じやんな。ちなみにそれ見てお前はどう思ったん」

「いやー、なんか、このベニヤえげつないなーって」

「www 誰も文句言えへんもんな」


  このベニヤwwwwww

   ベニヤ呼ばわりは草

 大丈夫?この芸人消されない?


「ほな次行こか、続いての『本当にあった話』はこちら! 『艦長を殴った少尉』、これ誰や?」

「ハイ、私です」

「おぉ、ナナちゃん。自分、確かアレやんな、軍隊とか詳しいねんな」

「詳しいというほどではありませんが……」

「何や『詳しいというほどではありませんが』って。カワイイ顔して謙遜せんでええねん」


  軍人アイドルキター!

   大和ナナちゃんの喋り方すこ

 この子前にも出てたけどガチの戦史ヲタやぞ

    こんなキャラして律儀に恥じらうのが可愛い


「これは昔の海軍で本当にあった話なんですけど」

「なんや、ナナちゃんが艦長殴ったんか?」

「私じゃありませんよ!」

「わかっとるがなw 何ムキになってんねん」

「というかですね、私もじかに聞いたわけじゃなくて、後に本で読んで知った話なんですが」

「当たり前やがな。自分生まれてへんやろ」

「そうでしたね」


   この子ナチュラルに戦前生まれみたいな話する時あるよね

 マジレスすると今のナナちゃんには昔の軍人が憑依しとるんやで

    ↑どこのなろう小説だよ


「殴ったのは板倉いたくら光馬みつまさんといって、後に大戦末期の海軍を代表する潜水艦長となられた人です」

「ほぉ、その板倉さんは何があって艦長殴ったんや。艦長ってエライんやろ?」

「ええ。当時少尉のなりたてだった板倉氏からすると雲の上の人ですね。しかも、殴られた巡洋艦『最上もがみ』の鮫島さめじま艦長は男爵でもあったんです」

「はぁ、ダンシャクゆうて髭男爵とかのダンシャクか?」

「髭男爵というのが何かは存じませんが、恐らくそうかと」

「www キミなー、もうちょっと若い子らしい喋り方しなさいw」


  ナナちゃん節炸裂してるなwwwww

    今日もキレッキレやなナナちゃん

   鮫島……嫌な事件だったね……


「それで、海軍といえば五分前精神じゃないですか」

「『じゃないですか』ゆうて知らんわ。はぁ、海軍さんは時間厳守なんか」

「ええ。『人はふねを待つが、艦は人を待たない』という言葉もあります」

「知らんけどな。そんでどうしたんや」

「でも、当時の海軍では、下士官や兵たちには五分前行動を説いていながら、自分は平然と帰艦時刻を遅らせる高級士官が多かったんです。板倉少尉はこのことにずっといきどおっていて」

「ははぁ、イキドオッテいて、それで!」

「あるとき、板倉少尉らが休暇じょうりくから戻ってきたら、『最上もがみ』の内火艇ランチ……迎えの船が、鮫島艦長の私用で遅れに遅れていて」

「はぁ、そんで艦長にムカついて!」

「酒の酔いも手伝って、ボカっと」

「板倉さん、やってもうたと!」

「衆人環視の前で」

「ははぁ、そら問題になったやろ」

「大問題ですよ。ひよっこの少尉が艦長、それも華族を殴ったんですから」

「ナルホドなぁ。それで銃殺刑になった板倉さんの生まれ変わりが大和ナナやと」

「違いますってw」


 上官を殴った俺が転生してアイドルになっていた件wwww

     なろう小説やめろwww

  見てきたように話すなあナナちゃん

   ランチってなんや?

     ↑昼ごはんやろ

    草www


「ほんで、艦長を殴って板倉さんはどうなったんや」

「普通だったら、よくて懲戒免職、悪ければ上官暴行罪で刑務所行きになるところです。ところが、震え上がって処分を待っていた板倉少尉を呼び出して、鮫島艦長は静かに問われたんですよ。『酒の勢いだけとは思えない。何か理由があるんじゃないか』と……」

「ほぉぉ、優しいやん髭男爵!」

「髭男爵じゃないですけどね」

「わかっとるわ! そんで?」

「最初は言い訳一つせず平身低頭していた板倉少尉ですが、鮫島艦長の優しい口ぶりにほだされて、ついには士官の遅刻への不満を打ち明けるに至り……それを黙って聞いていた艦長は、『そういうことだったのか』と納得されて」

「なんやキミ、やっぱりその場におったんとちゃうか?」

「いえ、この時代に来てから本で読んだんですよ」

「何やねん『この時代に来てから』て、急に電波キャラぶっこんでくるな。反応に困るわ」


   ナナちゃんwwww

 【悲報】大和ナナさんうっかり口を滑らせるwww

    まあ戦時中の軍人の逸話とか戦後に本になるまで知らんわな

   鮫島艦長▲

 ちなみにこの鮫島艦長って明治維新の岩倉具視の孫なんやで

     え?これ史実の話?


「それで結局、鮫島艦長の温情で板倉少尉はお咎めなしになって、普通に次の艦に転任になったんです」

「はぁ~、ナルホドな、髭男爵も自分が遅刻したのが悪かったと認めたわけや」

「しかも、この直後、海軍全体に『高級士官といえども帰艦時刻を厳守すべし』という次官通達が出たんですよ。鮫島艦長が次官に掛け合って板倉氏の助命を嘆願されていたわけです」

「『いたわけです。』ってキミ、ホンマ、ハタチそこそこの子と思えん喋り方するよな」

「それほどでも……」

「褒めてへんわ!」


    律儀に顔赤くするナナちゃん萌え

  板倉さんっていうのは実在した人なの?

     ↑人間魚雷回天の指揮官を務めた人やで

    はえーサンガツ

 板倉さんが艦長を殴ったとき首にされてれば回天は生まれなかったんか?

   ↑他の誰かが指揮官を押し付けられてただけやで


「ちなみにその後の板倉氏は潜水艦の道に進まれ、他ならぬ鮫島閣下の命を救う活躍もされてるんですが、それについてはまたの機会に」

「『またの機会に』て、しれっと次も呼んでもらおうと思ってからに。ほな次の人行こか、『武装したイルカに襲われた話』……誰やこれ!」


  大和ナナ面白かったw

    しっかり爪痕は残したな

 鮫島さんといえばウイスキーの角瓶の話好き

  もっとナナちゃんの話聞きたかったな



 ⚓ ⚓ ⚓


参考文献

『どん亀艦長青春記―伊号不沈潜水艦長の記録』(板倉光馬, 1984, 光人社)


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