第23話 交流会2日目
ストンズ家では私のセオ兄様がいかに素晴らしかったかを母様、ノーラ姉様、アンナ、ウォーキングもほどほどに庭師達に伝えた。きっと全ては伝わらなかっただろうが、みんな喜んでくれた。父様は今夜は遅いらしく、この熱い気持ちは執事に伝えた。
セオ兄様には夕食に、私が感じた思いの丈をぶつけていると肩を窄めてお茶も摂らず、早々自室に戻って行った。言いたりないのに。
自室でお茶を飲んでいるとそれぞれの研究テーマを思い出す。面白かった。1人じゃなくグループでやる意味を全グループ体現していた。来年選ばれるよう頑張っていこうと決めた。
明日は、エイデル様達の発表がある。少しでも関わった研究なのでますます楽しみだ。
シャーリスも見れたらいいのにと少し憂いた。
2日目も朝から快晴。昨日より汗ばむ。
講堂に入ると賑やかな一団が、クラスごとに割り振られる場所ではなく端の真ん中辺りを占拠していた。王女殿下達揃っている、第二王子と側近、近衛騎士、そしてエイデル様もいた。
昨日と同じ席に着くとローラに
「どうなっているのかしら?」
と投げかける。
「さぁ?」
呆れまじりの返答は蔑混じりの視線を王女達に向けた。
「エイデル様達のグループは今日発表よ」
「何を考えているかはわからないけど、横で殿下とエイデル様に解説していただくのではなくて」
扇子に隠されたローラの口調も厳しい。
エイデル様達の発表は女性がリーダーだった。クラスで御礼を言ってくださった方。話し方も丁寧でわかりやすく図を使った解説で大いに興味をひく発表だった。
素晴らしかった。短期間で雨量や川の水量、そこに生きる者達により良い暮らしを導く発表だった。
兄様達は蜂蜜という贅沢品を各領地の特産として経済を回す取り組みでエイデル様達は領民の生活向上というテーマだ。比べると違いもわかるし勉強になる。
凄いなと感心の気持ちを込めて拍手した。
ローラに
「凄かったね」
と言うと、なんとローラの再従姉妹だそう。高揚に頷くと、ローラはこっそり耳打ちする。
「今の発表、実はローレンス殿下がリーダーなのよ、去年の事があるから発表の場には出れないとお断りされて、副リーダーの再従姉妹が発表することになったんですって」
なんだって殿下は。発表すれば美味しいところ持っていけただろうに。去年の醜聞も払拭できる。民を思う気持ちだって伝わるだろう。王太子として優秀なこともアピール出来た。
学院で見かけた時、兄様といた。兄様の名前もご存知だった。交流会のリーダーの集まりとかあったのだろうか。
図書室にいた時は、領地や文官の分野の本を探していた。ちゃんとしているじゃない、件の事の真相も他人からじゃなく本人から聞いてみたいと思った。
拍手が長く続いているのをローレンス殿下ご自身が聞いているといいな。この音は不幸を感じず嬉しい音で包まれている事に気づけばいいな。
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