028_奴隷とコンビニスイーツ
今朝は、フルーツいっぱいのヨーグルトとパンケーキだった。
こんな小洒落た朝食を食べる日がこようとは・・・
そう、『ヨーグルト』と言えばシロの大好物。
そのまま食べても好きみたいだが、生のフルーツを入れたり、缶詰のフルーツを入れたりしてバリエーションを既に覚えている。
今日のはちょっといいフルーツではちみつ漬けフルールだ。
何度かの失敗の後、一人で準備できるようになっているので、パンケーキは俺担当、ヨーグルトはシロ担当という夢のコラボレーション(?)が今日の朝食というわけだ。
「かみさま、ヨーグルトできました!」
久々の敬礼が出た。
どこで覚えたんだ、これ。
「よし、零さないようにテーブルに運ぶんだ!」
「はい!かみさま!」
俺もパンケーキを運ぶ。
ヨーグルトとパンケーキを別に盛ると洗い物が増えるので、一人だったら、全部1つのさらに盛りそうだ。
いや、それ以前に一人だったらパンケーキ自体食べないだろうな。
シロは確実に俺の生活に入り込んでいて、俺を変えている。
「かみさま、いただきます」
「いただきます」
シロがわくわくしてこちらを見ている。
許可は要らないんだけどなぁ・・・
「召し上がれ」
「はいっ!」
これって何かに似ていると以前から思っていたけど、犬の『待て』に似ているのでは・・・
以前の奴隷生活の時に何かあったのだろうか。
まあ、特別害がある訳じゃないので、自然に無くなればいいけどな。
ん?
「あれ?ヨーグルトがおいしい!?」
「はーっ!かみさま!すごい!」
「え!?どうして?普通通り作ってたろ?」
「じゃじゃーん!」
自分で効果音を口で言った後、とたとたとシロは冷蔵庫の方に小走りで行ってしまった。
「?」
冷蔵庫を開けると、何かを取って戻ってきた。
「これでしたー!」
シロの手にはカットされたレモンが半分握られていた。
「え?レモンを入れたってこと?」
「はいっ!」
「すごいなぁ、シロどこで覚えたんだよ」
頭を撫でながら褒めてやる。
「て、テレビで・・・」
頭を撫でるとシロは静かになるのだが、一生懸命答えたらしい。
そう言えば、レモンを買ってくれって言われてネットスーパーで買ったわぁ。
『はちみつレモン』っていうくらいだから『はちみつ』と『レモン』は元々合うのだろう。
心なしかヨーグルトもすっきりしたし、これはおいしい。
「おいしいわぁ」
シロが片手をほっぺに当てて笑顔で言った。
なにそれ。流行ってんの?
「『おいしいわぁ』って、これなに?」
俺も手を頬に当ててシロの真似してみた。
「テレビのCMでやってたので」
同じ家にいるのにシロが段々と俺の知らない情報を得ている・・・
人それぞれ興味の方向が違うからなぁ。
今度CMも見てみるか・・・
俺は朝の情報番組以外ほとんどテレビを見ないので、CMとかまるっきり覚えてない。
たまに見たい番組があっても録画してみるのでCMは飛ばしていた。
シロ面白いなぁ。
ちょうどテレビのCMに変わった。
「あ!あれです!かみさま!あれ!」
見てみると、有名な若手女優が出ているお茶のCMでごくごくとペットボトルでお茶を飲み、その後に手を頬に当て、『おいしいわぁ』と言っていた。
「これか」
「はいっ」
本当に色々に興味が広がっている。
そう考えると、この部屋に閉じ込めておくのはシロのために良くないのではないかと思った。
俺が外に出られないから、結果的にシロも引きこもってる。
ごみ捨ての時に気づいたが、シロは外に出るのに特に抵抗が無いようだ。
そりゃあそうか。
そっちの方が普通か。
俺の方がおかしいのか。
CMをいくつか見ているとシロが乗り出してみているものがあった。
『ヨーグルトとチーズケーキの軌跡のコラボ<<ヨーグルトDXチーズケーキ>>発売!!』
コンビニスイーツのCMだった。
シロの目はテレビにくぎ付け、口は開いていた。
(じゅる)シロは、よだれをぬぐうとこちらを向いた。
「かみさま!大変です!あれが食べたいです!」
「そうか!」
「はい!ヨーグルトとチーズケーキの軌跡のコラボです!」
「そうか!」
「シロはヨーグルトが好きです!」
「知ってる!」
「ケーキも好きです!」
「知ってる!」
「その両方が一度に食べられるなんて!夢見たいです!」
「分かった分かった」
シロがあまりにも純粋な目で見てくるので、調べてみることにした。
コンビニに売られているのは間違いない。
ただ、俺はコンビニに行けないのだ。
ウーバーなどの配達では取り寄せられるものと取り寄せられないものがある。
このスイーツは対象外の様だった・・・
すまん・・・シロ。
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