秋の名残

街路樹の道を抜けた時

紅葉のかぐわしい香りを感じて

ふと振り返ったのだが

やはりあるのは黒木だけ

赤はどこにもありゃしない

落ち葉はタイヤに轢かれ消え

風が舞ってもガスの匂い

さっきの香りは一体どこから

視線を遠くに向け見ると

通りの奥に赤が見える

ああ、鳥居か

その瞬間に夢を見た

秋に依存した妄想だ

街路樹いっぱい真っ赤っか

ふわふわ落ちるはバレリイナ

私とワルツを踊りましょう

鳥居に向かってテンポよく

くるくるひらひらふわりふわり

踊り終わって客を見る

紅葉いっぱい雨あられ

秋の匂いが染み渡る

我に返って自宅へ帰る

こんな事をする暇はない

鍋の支度をしなくては

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