第46話 窮屈なお風呂
女主人の美味しい料理に舌鼓を打つ2人。会話も弾み、順調に夜が更けていった。
お腹がいっぱいになった2人は、しばらくの間、囲炉裏の日に当たりながら寝転がっていた。最高に贅沢な時間を堪能している2人にさらなる朗報が飛び込んできた。
「お風呂が沸きましたよ〜。」
その女主人の声に、はーい。と返事をする2人。少し間があった後、一緒に入ります?と聞く部下。ボスは、今日は1人で入ろうかなぁ。とゆったり答えた。
えー。と不満そうな部下だったが、しょうがないなぁ。と言ってまた囲炉裏の側に寝転ぶ。
風呂の支度をし、ワクワクしながら浴室へ向かうボス。戸を開けると質素ながらも木の温かみを感じる安らぎの空間がそこにはあった。
まずは、体に湯をかける。少し熱めのお湯をかけた後の爽快感がなんとも言えず心地良い。
そして、ボスは湯に浸かった。普段の疲れを癒す極上の湯。日常のちょっとした贅沢。思わずボスからはため息が漏れていた。
しばらくの間、鼻歌混じりで風呂に浸かっていたボス。すると、廊下の方からドタドタと足音が聞こえてきた。
浴室のドアを躊躇なく開き、そこから部下が入ってくる。
「部下も入りまーす。もう待ちきれません。」
そう言って、ボスの入っている浴槽にグイグイ入ってくる。
「おいおい、狭くなるだろ。」
部下の柔らかい感触を肌で感じながら、ボスはなんとか部下が入るスペースを作る。
ボスにすっぽりと収まる部下。ボスは部下の頭を優しく撫でる。
気持ちよさそうに目を細めため息をつく部下。
そのまま、ボスが撫でるのをやめようとすると、部下はその手を捕まえる。
「やめちゃダメです。」
そう言うと、部下はボスの手を自分の頭に戻す。えー。と言いながらも部下の頭を撫でるボス。
「部下を撫でるのに飽きちゃったんですかー?」
ジト目でボスに尋ねる部下。少しだけ笑った後、部下を抱きしめるボス。
「そんな事一言も言ってないだろ。」
耳元で部下に囁く。部下の頬が少しだけ赤らむ。
「まだ信じられないです。」
部下は悪戯っぽく笑い、ボスを見上げる。
「じゃあ、ナデナデよりもっとすごい事してください。」
部下の提案をボスはグッと堪える。なぜなら、ここは仮住まいとは言え、女主人の家なのだ。
人の家で同時に風呂に入っているのもいかがなものかとは思うが、それでも人の家で一線を超えてしまうのはボスでも憚られた。
でも...。というボスの言葉は部下の口付けでかき消された。
突然の部下の行為に少々驚きつつも、そのまま受け入れるボス。2人が濃厚に絡まり合おうとしたその瞬間。
「女主人もいまーす。お酒をもってきま....。」
浴槽の少し上に配置されており、家の中と繋がっている小さな窓を開けて、女主人が顔を出す。
女主人が見たのは、自分の家で絡まり合う2人の男女だった。それでも、笑顔を崩さずお酒だけおいて、ごゆっくり〜。と退散する女主人。
2人は顔を真っ赤にしながら背中を洗いあった。
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