第9話 感謝感激雨霰→新メンバー
「ああ」「はい」
『う、ああ、
わああああああああああん…
怖かったよおおぉぉぉぉ』
「う、うおっ」
「マジっすか…!
ちょ、泣き止んでください。
大丈夫ですから、ほら、ね?」
『ぇううぅう……ぇぐっ…ひぐっ…』
「落ち着いて深呼吸っす。すー、はー」
「お前なんか慣れてんな」
「保育士のアルバイトしてたっす」
「マジか。ってかお前って何歳?」
「俺っすか?俺は21歳でした」
「わっっっっか。
え、若っ。
俺アラサーなんだけど…」
「…なんか、すんません…っと、
落ち着きましたかね」
『………んぐ……はい』
「えーっとな、俺らってな、
ゲームキャラになってるわけなんだけど…
なんのゲームのキャラなんだ、
とかある?」
『ぅえ?…えっと…多分…いや絶対…
「プラチナフィスト」だと思う』
「おー、NAMIKOの
超有名格闘ゲームっすね」
「本格格闘ゲームらしからぬ
アバターなんだな」
なんというか…
その、二足歩行の黒山羊みたいな。
具体的に述べると、
顔横から前方に伸びる
くるっと曲がった大きい2本のツノ。
明らかに普通の山羊より
何倍もでかいだろという耳。
後ろに編み込みまとめた薄汚れた白い長髪。
毛が薄く生えた黒い顔は人の形だが、
瞳の中には横長の線。
傷だらけの燕尾服というか…
執事服というか。
一見普通の手袋に見える
白のコンバットグローブ。
肩には襤褸布を被り、腰にはナイフ2本。
しかも情報通り、血まみれである。
怪我してないし、多分返り血だろう。
『このキャラはイロモノで…
でも作り込まれてるから
普通に使えるしなんなら
強い方だったんです』
「ほう」
「強かったと思うっすよ?一癖あったけど」
『家でコーヒー飲んでたら停電して…
痺れた、と思ったら
白い神様みたいな人に謝られて…
その後なんか色々あったんですけど、
気づいたらこの山の麓の池に居ました。
そこからフラフラ歩き回ってたら
オークみたいな豚男に襲われたんです』
「それで倒した、と」
『はい。なんか失われた
記憶がなんたらとか…
それが頭に入ってきた瞬間、
私がいつもやってたみたいな
コンボとか道筋が見えて…
さながら一人称視点の格闘ゲームでした』
「そりゃすごいな。
ところで俺ら、
お前さんを討伐して…っつう
依頼を受けてここにきたんだが…」
『ッッ!?』
「ちょ、それじゃ怯えさせるだけっすよ。
えっとっすね、
同郷の人間だとわかった以上
俺らにあなたを殺す意思はありません」
『…ほっ…』
「でな、一つ相談があるんだ」
『…なんですか?』
「俺らと一緒に行かないかって」
『え?良いんですか?』
「いいっすよ」
「もちろんだな」
『…なら、お願いします』
「ま、色々と問題はあるだろうが…
なんとかなるだろ」
「気楽っすねー…
そんな所も安心できる所以の
一つかもっすけど。
とりあえずその服洗わないと」
「やれやれ、異世界に来て初日に仲間が
二人増えるとはなぁ」
「とりあえず、俺らの拠点に行こう。
俺らの出身ゲームとか
諸々の話はそこでだ」
「悪魔って聞いたから
どんな怖いんだろと思ってたら
随分可愛くて安心したっす」
『かっ、可愛い…』
「?」
「ほれ、行くぞ」
「アイサー。触れててくださいっす」
『は、はい』
「ただいま〜」
「何度見ても広い」
『!?え、!?』
「どうどう」
「この人世界ランク二位っすからね」
「課金を使ってこの船
買ったわけじゃ無いぞ?」
「そもそもこの船の購入って
課金コイン使用禁止じゃ
なかったっすか?」
「そうだったっけ、忘れちまった」
『す、すごいんですね…』
「おう。ラグナロクベース内で、
だけどな〜。
あと、俺の名前は朱孤だ」
「俺はルバティガ、
アルカナ・オンラインっす。
ティガって呼んでくれっす」
「そういえばお前の素顔見たことねーや。
そのお面って外せんの?」
「外せますよ。よっと」
「ほう、黒髪双眼、
右目の白いはずの所が黒、と」
あと顔の右半分に黒い紋章みたいな…
って厨二病全開だな。
あとはゲームでよく見る
イケメンって感じだ。
「イケメンだな」
「朱孤さんに言われると
嫌味にしか聞こえないっす。
キャラメイクした時酒酔い+
深夜テンションだったんで」
『あ、あの…』
「ああ、すまん。それで、名前は?」
『アンバーです』
「ふぅん。勇気のシンボル、琥珀…か。
良い名前だな」
「え、なんでそんなことわかるんすか?
えー?琥珀以外わかんなかったっす…」
「さ、今から案内するから風呂にでも
入ってくると良い。
女の子だし何日も入ってないと
気持ち悪いんじゃないか?」
『ありがとうございます!
汗と血と草の臭いが
気になってたんです…』
「おう。ごゆっくり…って
なんだそんな惚けた顔して」
「な、な、は、え…なん…えぇ…?
いつこの子が女の子って解ったんすか!?
(コソっ)
俺全くわかんなかったっすよ…!!
(コソコソっ)」
「え?なんでって…
歩き方とか、喋り方とか、
歩幅とか、癖とか…」
「それはゲームの能力すか?」
「多分」
「すげー…」
「あ、すまん。今案内するからな」
『はいっ!』
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