亡くし屋の少女は死神を雇う。
散花
序章
その少女は気まぐれを与える。
死とは、
命がなくなること。生命がなくなること。生命が存在しない状態。 機能を果たせないこと、役に立てないこと、 能力を行使できない状態。
息を引き取ること ただし、何をもって人間の死とするのか、その判定や定義は文化、時代、分野などにより様々である。
wikipediaより引用
とまぁ、この様にそれぞれ人の考え方で定義は違うらしい。
……私? 私は死んだことがないから何もわからないわね。それは貴女も同じことでしょう?
……それでも私は、人間という生き物は『死』に対して臆病で怯え過ぎている、とは思うけれど。
臆病で怯えているにも関わらず、他人の事は無責任にいともたやすく死んでしまえと言える人間達は、呆れるくらい矛盾していてそれはそれで面白かったりするけど……。
それにしても、自分で自らの命を絶つことが許されない事象、というのはどうなのかしらね?
貴女もそう思わない?
自らの意思で決めたもの、何人たりともその意思を侮辱してはならない。と私は思うのよ。
確かに先に述べたように、人間の思考によっては天国だの地獄だの、冥界を定義し、作り、崇め奉っているみたいだけれど。
それは一個人の考えすぎて、他人に押し付けるのには傲慢的ではないのかしら。
それこそ罪に問われるべきだわ。
残された人、つまり自分が悲しいからそんなのはやめてくれ。だなんて、実際にその人の人生すべての責任を負う覚悟ならともかく、無責任に感情のみで生きる事を他人に課すだなんて……私からしたら傲慢以外のなにものでもないわ。
つまり、何が言いたいのかって?
そんなくだらない人間のシステムなんか壊してしまえばいいのよ!
ってことで、貴女に力を与えようと思うたわけ。
なに単純よ。貴女が【その力で願えば人は死ぬ】。
老若男女関係なく。苦しめることもないわ。この場合の『死』は命の糸を切ることだから。
端から見れば眠っているかのように逝けるから。
……個人的に使わないか心配じゃないかって?
貴女ならそれは絶対にないとわかって、この仕事を託すんじゃない。
それに、貴女も生きていくのならお金は必要でしょう?
うんうん、ならこれで稼いでしまいなさいな。
そのための準備ならしてあげるわ。そこまでは私が干渉したことだもの。責任のあるところまでは直接見届けるわ。
けれどその先、貴女の人生は貴女が決めるのよ。
生きとし生けるもの、全て死に繋がっているのだから。
それを忘れなければきっと大丈夫よ。
貴女を救う対価はこの業で決まり。ということで、お仕事頑張ってね!
──期待してるわ、亡くし屋さん。
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