第7話[姉貴]
言葉が喋れる様になり、俺が発した第一声は「母さん」だった。
あの時の母さんの表情は何か複雑そうだったなぁ。
気を利かせて「ママ」とでも言うべきだっただろうか……。
何にせよ俺が「ママ」と言っていれば、姉貴に「何か可愛くない」って言われビンタされなかっただろうな。
「まあ、それは別にいいとしても……」
俺は思わず溜め息を吐き出した。
夢にまで見た異世界転生。
母と一緒に外へ出て来たはいいが、道ゆく人間全て、三次元じゃねーかよ。
まあ、母さんや父さんを見て何となくは気づいていたけど、ちょっとショックだわ。
はぁ、この世界でも死ぬまで童貞なのか……。
先の未来に絶望しながら家に帰宅する。
「タッティーナ、お帰り」
「ルリ姉、ただいま」
俺は抱きつく姉に笑顔を向ける。
また可愛いくない事を言ってビンタされたくないからだ。
勇者の姉だけあってか、子供なのにヤケに力強い。
転生する前の俺でも簡単に泣かされてしまう程だ。
「ルリ、夕飯の支度するからタッティーナをお風呂に入れてあげて」
「うん、分かったよママ」
「さあ、タッティーナ」
「一緒にお風呂に入りましょうね」
はっ?
何言ってんの?
嫌に決まってんじゃん。
俺は全力で抗った。
だが、ルリ姉の力は凄まじく、俺は担がれながら無理矢理お風呂に入れられてしまった……。
第7話 完
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます