彼女の執筆

柚ノ木 卯奈

書きたくなるのは…。1

書きたくなるのは、常に何かがあったとき。

生きるのがつらい。死にたいが大きくなったとき。

自分が背負える荷物に限界が訪れたとき。



彼女はすべてが嫌になった。

彼女の思考、存在が全部拒否されたこの世界で、彼女は、飛んだ――。


受け止める程の器はない。両手を広げて待ち続けても上手い具合にすり抜けた。

出来ない、無理だ。彼女を救うことは、僕には無理だ。


孤独が好きだった。静かな時間が、一人でいる時のあの空間が。

時間は歪み、道は狂い、孤独は殺された。


気づけば彼女の周りには騒音が集っていた。

払えど払えど羽虫の如く彼女に纏わりついていた。

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