TRANSCENDERS1CHAOS MESSENGER トランセンダー1激動を告げる者

森本純輝

予告編1 「オフィシャル版」

「かつて地球に存在した超古代文明の実在性が証明された」


西暦二〇三一年の近未来。

日本に滞在する一人の地質学者コルドビック・フェビニュディンスによって導き出された結論には既存の常識を覆す巨大なパラダイムシフトがはらんでいた。


世界的なコンピュータネットワーク、人工知能アトラスに搭載された惑星のバイオリズム演算機能によって、地球規模の大変動がある一定の周期を経て繰り返されていることを突き止めた彼の研究は、同時に紀元前一万五〇〇〇年前の時代の節目に発生した地球大激変とその引き金を引いた文明の存在をも明らかにしたのだった。その文明の名は………。


「アトランティス。ある巨大な計画のために人類と世界を進化させようとした古代都市」


歴史学者である知人の協力を経て証明されたその証拠となるものは、他でもない、世界の中枢神経を担う超知能コンピュータ、アトラスだった。

当時の発明品であろうこの歴史的遺産を復元した日本の開発者、東条和毅による設計の起源を追求する動きが世間で顕在化していく中、コルドビックはその先を進んで、当時の時代に何が起きたのかをアトラスに秘められたデータベースを介して調査を開始した。

そこで判明した事実とは………。


それを知ったコルドビックの存在を抹殺しようと、ある一大組織の追っ手が彼に迫りくる。

コルドビックは伝言を開発者の息子に託し、行方をくらました。

その真相を追う息子、勇治に舞い込んできた新たな仕事。

それは、アトラスに内蔵された謎の文字コードを解読する任務だった。

しかし、それでも絶えない疑問が頭をもたげる。


「その時代に、一体何が?」





そして、世界が動き始める。


「我々の意志を受け継ぐ者たちよ。我が種族の"力"をもってその使命を完遂させるのだ」


解読の際にしきりに送信されてくる正体不明の声。

それがアトラスから送られてくるものであることは認識済みではあるものの、それを介在してメッセージを送信する者たちの居所を掴もうと、奮闘する勇治。

同時に世界中で展開される、見たこともない記号やシンボルマークが大気上で踊る。

その文字群に触れた市民たちが体験する意識の変容は、アトラスの通信機能を著しく"更新"していく。


「我々は何をもって我々とみなすのか?」


そんな根源的な問いを探求するようにして水面下で暗躍する何かに誘導されるかのように文字を解読する市民たち。

文字の意味する真相と追求思考の狭間で新たに生み出され始める人類の存在意義とは?


「地球最後のときが差し迫りつつあるこの社会で、我々が成すべきことを思い出せ」


徐々にメッセージを鬼気迫る内容に変えていく声。

そしてそれは、新たに書き換えられる世界の次代を担う者の到来を待ちわびる表現に一新される。


「《太陽の印》の目覚めによって『世界を受け継ぐ者』が現れる。それこそが、この星を再誕させる最大の導き手」


それは、人類がかねてから探し求めてきた答えを提示する地球外生命体の登場をも暗示させることになる。


《太陽の印》とは何か?


『世界を受け継ぐ者』の正体とは?


今、地球の歴史が大きく揺れ動く。


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